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13話 迷惑なボスモンスター、街中で暴れました

灼熱の息を吐き、斬馬刀程の大きさの太刀を軽々と持ち上げるボスモンスターは、明らかに俺が相手をしていいモンスターじゃあない。

体調は三メートルくらいか。

あの体格だとパワーもスピードも相当の物なはずだ。


「マコト!? なんであんな路地から出てくるのよ!?」

「話は後だ! スカーレッド! 派手な魔法は使うなよ!?」


俺は指示の終了と共に地面を強く蹴り、ボスモンスターに突っ込んだ。


あの大剣が少しでも腹をかすめようものなら、間違いなく俺は死ぬ。

剣でガードしても耐えきれる気がしない。

相手の攻撃は全て躱すんだ。

これが今回の戦闘で俺が生き残るための絶対条件だ。


「エール! 『リバイバル・カウンター』の準備を念の為にしておいてくれ!」

「りょーかい!」

「グアアアァァァァァァ!!」


太刀を構えたボスモンスターも地面を蹴り、俺の元へと一直線に向かってくる。


このまま向かい撃てば吹き飛ばされるか。

 俺のレベルは僅か11。

 チート持ちの主人公気分で剣を弾こうとしたら、俺はもれなく宇宙の塵になってしまう。

 それだけは絶対に嫌だ!


「『フレイム』!」


俺はボスとの間合いが一足一刀になったところでスキルを発動。

ボスの眼前で火力を上げ、ボスの視界を一瞬だけ炎で塞いだ。


この『フレイム』は炎系統のスキルの中でも、極端に炎自体に攻撃力が少ないそうだ。

そこで、俺は炎を目くらましに使うことを思いついた。

この使い方ならば、どんなに強いモンスターでも筋力を使わずに動きを一瞬止めることが出来るはずだ。

 ・・・・・・多分。


「くらえ!」


 炎によりボスの動きが止まった一瞬を俺は見逃さない。

 俺はボスの背後にフルスピードで回り込み、体重を乗せた回転切りを背中にお見舞いした。


 しかし。


「まじかよ・・・・・・」


 俺の全身全霊の攻撃をくらったボスは、体勢を崩すことも無く。

 平然と俺の前に立っていた。


「シャアアアアアア!!」


 立ちすくむ俺に降り注ぐ無慈悲な刃。

 俺は避けることも敵わず、肩口にその重すぎる一撃を受けた。


「マコトさん!!」


 クリーミネの悲鳴じみた声が響いた瞬間、即座に俺の体を緑色に輝く魔力の奔流が包み込む。


「『リバイバル・カウンター』!!」


 おそらく、胴体みたいな硬い部分を狙っても効果はない。

 だったら、手や足みたいな鎧が薄い部分を狙って、動きが鈍くなったら胴体を狙えばいいだけの話だ。


 俺は太刀を振り切った姿勢のボスの腕を素早く斬りつけ、すぐに距離をとった。

 

 ヒットアンドアウェイ。

 一発貰ったら即アウトのギリギリの長期戦をするなら、これほど安全な戦法はないはずだ。


「クリーミネ! 攻撃はなるべく俺にやらせてくれ!」

「了解です!」


 腕に切り傷を負ったことを気にもせず、ボスは地面にひびを入れて駆け出した。

 もちろん俺たちのいる方向に。


「エール! 『リバイバル・カウンター』の準備!」

「もう一回!? あれ結構大変なんだけどな~」

「私は!? 私は何をすればいいの!?」

「自宅待機」

「何で私だけ!?」

「来ますよ!」


 クリーミネの呼びかけでストレス発散を中断し、俺は猛進するボスをみる。

 ボスは走ってる途中で膝をくの字に曲げ、突然姿を消した。


「後ろです!」

「まじですかっ!」


 嫌な予感を感じ、俺は大きく横に転がる。

 すると、コンマ一秒遅れで俺の立っていた地面に刃が突き刺さった。


 まさか。走っている途中でさらに加速し、俺の後ろに一瞬で回り込んだのか。

 いよいよチートですね助けてください。


「助けに来たぞマコトー!!」

「俺たちの町で暴れんじゃんぇぞ!!」


 俺の心の声が届いたのか、ギルドの連中がこちらに向かって走ってきている。

 なんというタイミングの良さ。

 平均レベル50の冒険者が一斉に襲いかかれば、なんとか勝算があるかもしれない。


「げっ! 『ヤギュウノタチ』じゃんか! あんなん相手にできるかよ!」

「マコト! 俺達やっぱ帰るわ」


 ボスモンスターを見た瞬間に手のひらを返す冒険者仲間達。

 この姿に、俺はさすがにイラッと来た。


「スカーレッド。そいつら全員風魔法でこっちに吹き飛ばせ」

「わかったわ」


 スカーレッドはこういう時にだけ俺に忠実だ。

 冒険者たちは俺の言葉を聞いて青ざめるが、もう遅い。

 

 スカーレッドが想像した魔方陣から吹き荒れる暴風に身を絡め取られ、俺とボスの間に綺麗に落下する。


 目が点になった冒険者とボスモンスター。

 数秒間の沈黙の後、ボスモンスターが大きく顎を開き咆哮した。


「ひいいいいい!!」

「マコト! 俺たち仲間だろ!? 酷いじゃないか!」

「お前らが初めに逃げたんじゃねぇか!」


 俺はツッコみながら、迫りくるボスモンスターに剣を構える。

 周りの冒険者たちも俺に習った。

 ボスモンスターの剣域に俺たちが入った瞬間。


 ボスモンスターのたくましい腕が、一瞬ぶれた。

 剣による攻撃だ。


「クリーミネ!!」


 俺の合図でクリーミネは俺とボスの剣の間に滑り込み、ボスの重い一撃を軽々と弾く。

 

 俺だったら吹き飛ばされていたはずだが、安心と安全のクリーミネパワーはこんな攻撃じゃあ揺るがない。

 

「みんな! 今だ!」


 俺は、弾かれ一瞬怯んだボスの腕や足を斬り付けまくった。

 他の冒険者たちも次々にボスに突っ込む。


「シャアアアアアア!!」


 ボスは連撃を与え続ける俺たちを長い尻尾で振り払い、口に青い炎を溜めた。


 見たところブレス攻撃だと思うが、なんかヤバそうな雰囲気だ。

 おそらくこのボスの持てる最大の一撃だ。

 直撃すれば確実に死ぬ。


「みんな逃げろ! ブレスだ!」


 俺が叫ぶと、ボスの周囲を取り囲んでいた冒険者たちが一斉に後退する。

 

 これで安心。


 そう思った俺が馬鹿だった。

 ボスの口を見ると、グングニルには劣るものの、この街を焼き払うには十分すぎるほどの魔力が溜まっている。

 あれが放たれたらヤバイ。

 後ろに下がった程度じゃあ躱しきれないだろう。


「クリーミネ! 来い!」


 俺は後退する冒険者たちと打って変わって、ボスの前に飛び出した。


 狙うは魔力の塊だ。

 失敗は許されない。覚悟を決めろ。


「おおおおおおおおお!!」


 俺は激しい気合と共に飛び上がり、全身のうねりと共にボスの口に溜まる魔力の塊を一閃した。

 切られた魔力の塊はボスの口に収まることが出来なくなったらしく、今にも爆発しそうな勢いで輝きだす。


「クリーミネ! ボスの下あごを思いっきり蹴り上げてやれ!」

「わ、わかりました!」


 クリーミネは俺の指示の意図が掴めないような表情を見せたが、俺の指示通りにボスの前に素早く移動し、ボスの下あごを蹴り上げた。

 辺りにゴン、と鈍い音が響き、ボスの口に溜まっていた魔力はクリーミネの蹴りの衝撃で大空へ打ち上げられる。


―――ズドォン!


 爆発音と熱線が俺の肌を叩き、上空で魔力が破裂した。

 上手くいくか確信がなかったが、どうやら成功したようだ。


「ナイス、クリーミネ! 後は俺一人に任せろ!」

「無茶ですよ! 貴方自分のレベルを忘れたんですか!?」


 抗議するクリーミネの言葉に、俺は淡々と答えた。


「レベル10。魔力値120にして。この街では最弱」

「わかっているなら―――――――


「見てろ」


 俺はクリーミネの言葉を遮り、居合の構えで突っ込んでくるボスモンスターを睨めつけた。

 さっきまでは勝てる気がしないと思っていたが、今は違う。


「負ける気がしねぇ」



「頭沸いちゃったの?」

「エール、お前失礼だな!」


 俺の見せ場を返せ。

 せっかく俺の数少ないかっこいいところを見せられる場面だったのに。


「グアアアアアア!!」


 咆哮と共に、いつの間にか目の前に迫っていたボスの剣が動いた。

 横薙ぎに迫る太刀を屈んで躱し、俺は愛剣をボスの頭に突き出して呟く。


「『リべレーション』」


 直訳すると『解放』。

 俺が何を解放したかはわかるはずだ。

 俺の剣には切ったものの持つ魔力の一部を蓄積・放出する機能がついている。


 この時のために溜めいたのだ。

 ボスの腕や足を何度も斬り、魔力の塊も切り裂いたこの剣に溜まった魔力ならば。


「お前なんか一撃だよ」


 漆黒の剣先から放出された魔力の奔流が、ボスモンスターごと大空を走り、ボスの顎を貫いた。


 手に伝わるとんでもない震動に俺は歯を食いしばるが、マジで腕が逆方向に曲がりそうだ。

 やっぱり、俺みたいなもやしにはきつかったか。


 魔力の放出が終わり、ボスモンスターは弧を描くようにして地面に落下。

 そして、沈黙した。

 その光景を見た冒険者たちは。


「すげぇよマコト! お前何者だ!?」

「今夜は宴会だ!」


 思い思いの歓声を上げ、華麗なステップで踊っている。

 レベル50の冒険者なのに、俺に止めを刺されて悔しくはないのか。



 俺はいつものようににぎやかになった街を見て、ほっと息をついて剣を鞘に納める。

 一件落着。けが人も出ていないみたいだし、ハッピーエンドで間違いないな。


「マコト! なんなのよ今のは! そんなスキル知らないわよ?」


 さっきまで物陰に隠れていたスカーレッドが、まるでみんなと一緒に戦っていたかのように自然と聞いてくる。

 

 すぐ逃げるから忘れていたが、こいつも冒険者だった。

 今度レッドウルフの群れに一人で投げ出そう。


「これはスキルじゃなくてこの剣の効果だ」

「なにそれほしい」


 俺の説明を聞いて目を輝かせたスカーレッドは、俺の剣を奪取するべく俺に飛びかかった。

 こいつ絶対冒険者よりもコソ泥の方が向いてるだろ!


「私がそれを使えば最恐よ! それを渡しなさい!」

「お前が使ったってヒマワリの支柱になるだけだ!」

「あ! それは言い過ぎでしょ!? 土下座しなさい!」

「誰がするか!」


 猛るスカーレッドを挑発する俺に、その周りで笑う仲間達。


 そんな光景が俺は心底気に入ってしまったらしい。

 この街を護れてよかった、と心の底から思った。






こんながっつりした戦闘は、この小説初ですね。

うん、まぁ・・・・・・

俺に戦闘シーンは早かったか・・・・・・

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