Story5
「やめて! あなたの言うことにはもう惑わされないんだから!!」
私はケイに向かって、持っていた薪を投げた。
「うあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
薪は見事にケイに命中した。
「ウア……ア……ガ……ッ」
ケイの体を炎が包み込んで、真っ黒になっていく。 その光景は、あまりにもひどくて見ていられない。
「あ……いや……っ」
炎がだんだん周りにも引火してきている。 怖くなった私は急いで玄関から逃げ出そうとした。
しかしそれは叶わなかった。 ドアノブは回るのに、鍵が閉まってるわけでもないのに、火の手が回ってきているわけでもないのに、ドアがあかない。
「どうして!? なんで開かないの!?」
必死に開けようと試みるが、どうやっても開かない。 窓のほうはもう火が回っているから、窓からの脱出は無理だ。
「じゃあ……私、は……」
その時だった。
「ニガサ、ナイ」
炎に包まれたケイが、私に抱き着いてきた。
「いやあああああああああああああああああああああっ!!」
当然私の体にも火が回る。 熱い、痛い。 逃げたいのに逃げられない。
「やめて熱い熱い熱いあついあついあついあづいあづいあづいあづいあづいアヅイアヅイアヅイアヅイアヅイアヅイ!!」
もウ全身にヒがマワった。
「ダズゲデ……オネエヂャン……」
そしテ、ワたシノ意識ハとダエタ。
Ending3 逃がさない
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