晴れた日の雨宿り
ちょっとした災難は、やり過ごせばいい。
傘など持っていなくても、軒下・木陰・エトセトラ、無理して外へ出なくとも、止むのを待てばよいのだ。
だから私は此処に居る。安住の地で安息の日々を過ごしていれば、ちょっとした災難は知らずに何処かへ行ってしまう。
雨が降ろうと、槍が降ろうと、天使が舞い降りようと。
私は平穏無事に何も知ることなく、この身に降りかかる全てを、受諾せずに、純粋極まりない私でいる。
避けられない災難に直面するまで傷を付けないように。
だがそれは、甘んじてソレを受け入れるだけで、ソレに私を委ねるだけで、決して私が私でいる為ではないのだと、多くのちょっとした災難が過ぎ去った後で、ぼんやりと知る。
雨に濡れた事の無い私は、その実、陽の光に当たった事も無いのだ。
純粋極まりない私は、はたして、誰なのであろう。




