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グローサー・マジック  作者: チャラン


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第7話 クライムランドの由来

「フラット、俺たちは言うまでもなくクライムランドという国に住んでいるよな? じゃあ、クライムランドは何故(なぜ)クライムランドと呼ばれるようになったか、国名の由来を知っているか?」


 胸斑病の治療方法を尋ねたのに、ワイズは全く関係がないことをフラットに問いかけている。スカされたというよりは、トンチンカンにすら感じられる質問に、フラットは再び苛つきを覚えていたが、


「知らないよ。その事が胸斑病と、どう関係してるんだ?」


 と、努めて感情をコントロールしながら正直に答え、その問いかけが何を意図しているのかと、逆に尋ねた。


 フラットがまだ怒りの感情を(くすぶ)らせているのに気づいたワイズは、


「結論を急ぐな。順を追って話をつなげていく」


 そう手で制しながら(なだ)め、淡々と話を続けた。


「我々の国はその昔に、クライムランドと名付けられた。つまり読んで字のごとく、登る国という意味を持つ国名なのだが、登ると聞いて何か思い浮かぶものがあるか? フラット?」


 再びの問いかけだが、心の落ち着きを取り戻したフラットが冷静に答えをひねり出そうとしたところ、家業の食料雑貨店の仕事を手伝っているとき、いつも遠くに望むクライムランドの誇りに考えが行き着いた。


「あっ! そうか! 大岩壁のことか!?」

「うむ、いいだろう。正解だ。山に囲まれた盆地に造られたこの国には、モールベアの生息域近くに大岩壁があることが知られており、そのそびえ立つ威容は、クライムランドの象徴として認識されている。つまり、お前が毎日見ている大岩壁が国名の由来というわけだ」


 フラットが良い答えを導き出したことで興が乗ってきたのか、ワイズは言葉に力を込め、更に論を述べていく。


「登る国、クライムランドの国名の由来になっているとは言ったものの、大岩壁にはきついオーバーファング……ネズミ返しのことだが、それがあるため、未だ一人として登頂に成功した者はいない。しかしながら、大岩壁周辺に生息するモールベアは、クライミングが非常に得意な特性を持っており、習性的にも大きな岩や木に登ることがある」


 トーンを上げ、モールベアについての解説を続けていたワイズは、そこで言葉を切ると、


「そのモールベアの習性とクライミング能力に興味を持った俺は、大岩壁周辺で観察を続けた。辛抱強く観察を続けた結果、驚くべき発見があった。モールベアは大岩壁を登れるんだ! 人間の登頂を阻んできた、あの大岩壁に!」


 最後は激しいジェスチャーを交え、興奮気味に論述の第一段階をまとめた。

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