表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

散歩

自由に外を出歩けるようになったため、ここ2、3日は散歩をしている。

 ここは何にもない田舎町だが、歩き回るのは楽しかったりする。前世は都心での生活だったため、植物に囲まれる生活は新鮮だ。


 道をしばらく歩いていると、川のせせらぎが聞こえた。よし、今日は川沿いを歩いてみよう、と進んでいくのであった。


 ずっと歩いて行くと、2人の子供が歩いていた。身なりのいい(といっても、前世じゃ特段目立たないだろう)男女の子供は2人とも幼いながら整った顔立ちをしていた。


 異世界人は美男美女ばかりだなぁ、とため息をつきたくなる。

「なんだ。飛び込む勇気がないのなら、我が家を名乗る資格はないな」

 と、兄らしき少年が言っている。俺より2.3歳上に見える。

「ふん、お兄様は私が川を怖がると思っているのかしら」

 と赤髪長髪の女の子。こっちは俺と同い年くらい。5才程度だろう。

 それにしても、なんだか不穏な会話内容だな。大人として見過ごすわけには行かない。

 川はそこまで深くはない。といっても大人基準であり、子供が入れば流されてしまうだろう。

 止めに入ろうとした瞬間、

 少女が川へ走り出し、入ってしまった。

 まずい、これはすぐに助けなければ。焦りを感じていたが頭は冷静だった。

 このまま俺が飛び込んで行っても二次災害になるだけだ。俺は川の流れを先回りして移動した。

 自身の後ろに風を発生させることで高速移動する。繊細な動きが必要になるため少女を釣り上げるのには使えないが、自分の体ならなんとか操れる。

 枝を風で切り、少女が流れてくる前で待ち構える。

「これに捕まって!」

 少女は枝先を掴みなんとか止まってくれた。少しずつ岸に近づける。少女も安堵の表情を浮かべている。これなら何とかなりそうだ。

 バキッ!

「「あ、」」

 げ!枝が折れた!

 また流されていく少女。ええい、最終手段だ。

 水を操り、少女を上へと吹き上げる。なんとも手荒な手段。

 着弾点に走り出し、風で衝撃を和らげる。

「イヤァァァァァァァァァァ!」

 スライディングして少女をキャッチ。風で和らげたとはいえかなりの衝撃がきた。

「いててっ」

 かなり無茶しちゃったな。

 むにっ!なんだこの手の感触。完成には程遠い、しかし甘美なこの感触は。

「どこ触ってんのよ!」

 と少女は器用にも足を俺の顔へと持ってきて思い切り蹴り飛ばした。抜群の運動センスである。

 ちなみにパンツは白でした。

「川に飛び込んだら危ないじゃないか」

「ふん、私1人でもなんとかなったわ」

 魔法で彼女の髪を乾かしてあげる。服は濡れているだろうが、着替えもない以上脱がせるわけにはいかない。疲れ切って日も落ちてきた。それにしたって頑固な子供だ。

「君だってこんなところで死にたくないだろ?」

「君じゃないわ。私には名前があるのよ」

 このガキ〜と思わなくもなかったが、子供なんてこんなもんだ。

「わかった、じゃあ名前を教えてくれ」

と言うと、少女は身なりを整えて

「私はルビィ・カーノルドよ!」

 とピンと誇らしげに胸を張る。そうか、やっぱり貴族だったか。家名を名乗るということは、継承権のある貴族の位があるということになる。

 カーノルドといえばこの一体の領主様である。道理でいい身なりをしているはずだ。

「俺はナーベル。ルビィ、危ないことはやっちゃいけないんだぞ」

「うるさいわね、庶民。あなたみたいな子供に言われる筋合いはないわ」

 まてまてナーベル。相手は子供だ。そんな怒るんじゃない。

「それに、あなたいくつよ。」

「ええと、5才だけど。」

「歳上には敬語を使いなさい庶民。私はね、おととい6才になったのよ!」

 ニコニコ嬉しそうに話すルビィ。なんだか毒気を抜かれるな。

 プライドが高いけれど、子供らしいところは子供でかわいらしいと思った。

 とはいえ、かなりお転婆そうだ。これは監視の目が必要だろう。

「えーと、ルビィ様。良ければ明日もここで遊びたいと思うのですが、一緒にどうですか?」

 きょとんとした顔をするルビィ

「私と遊びたいの?庶民」

 こいつ自分は名前で呼ばせるくせに庶民呼ばわりやめねえのな?

「ええ、ぜひ」

「いやー私は忙しいから、ほんとは遊ぶことなんて無理なんだけど。」

「あ、じゃあいいです」

 そそくさと帰る準備を始める。よし、じゃあ家帰って寝よう!

「待って待って!でも、どうしてもって言うなら遊んであげてもいい気持ちになるかもしれないっていうか」

「いえ、大丈夫です。忙しいなら無理にとは言いません」

 ちょっと涙目になるルビィ。からかいがいのある子だ。

「明日ね、明日とりあえずここにくればいいのね!予定ないし来るわ!」

 ついに折れた。

「はい、じゃあ明日遊びましょう」

 ふんっ、とそっぽを向いたルビィだったが、態度とは裏腹に嬉しそうな表情であった。

「それで、今日もルビィって子と遊ぶんです」

「へえ、それは会ってみたいな」

 ディーゼルと模擬戦をしているときにルビィの話をする。

 ディーゼルは暇さえあれば剣を振っているため、会話も剣を交えながらが多い。

 ディーゼルは剣豪にも勝ったことがあるらしく、相当強い。

「にしてもガールフレンドとはやるじゃないか。どうだ。かわいいのか?」

「かわいいと思いますけど……別にそういうんじゃないですよ」

 あんなちっちゃい子供に惚れるなんてのはない。ただ、10年後はすごい美人になるだろうなと思う。

 俺の返事を聞いてニヤつくディーゼル。ムカつくな。

「すきありっ!」

「いい攻めだ。」

 死角に入り込むように移動し、袈裟斬りをしたが、剣の鍔で受け止めて簡単に防がれてしまった。

 そのまま剣を弾き、小手

「っ!」

 頭のあまり剣を離してしまった。喉元に剣を突きつけられて負けてしまう。

「参りました。」

「男の命である剣を落とすなんてまだまだだな」

「……はい」

「そんなんじゃルビィちゃんは振り向いてくれないぞ」

「だから、そういうんじゃないですって!」


 ディーゼルの剣の修行は独特だ。普通、模擬戦の間話すなんてありえないだろうが、これも修行の一環だそうだ。

「戦いの中で常に戦いに集中できるわけではない。対人戦においては腹の探り合いをしながら勝つ。相手の発言や体の動きを繊細に捉えて支配しろ」

 とのこと。現状楽しくおしゃべりしてるだけだがいいのだろうか。

 その後はディーゼルと感想戦を行う。

「ナーベルは機転が効いていい攻めができている。あとは体の動きが単調すぎるから読まれやすい。」

「なるほど……」

「お前の動きはタンタンタンという感じだ。こんな風に」

 と軽く素振りと身のこなしをするディーゼル。

「これをより読まれにくくするにはタンタタンタターンとすればよい」

 これまた軽く動くディーゼル。……要はリズムを変えて動けっとことだよな。

 これわざわざ擬音を用いて説明する必要あるのだろうか。前の説明だけで十分わかったぞ。

 ディーゼルは少々感覚派なところもあるため、俺の頭では伝わらないこともある。

 素振りの指導も

「この場面はシュンっ!て感じではなく、ズバッだ」

 などと意味不明な擬音で説明してくる。俺自身もよく分かっていないが、体はわかるようでディーゼルの動きを真似するとできる。

 ……できてるか俺は分かっていないが、ディーゼルは頷いてるためいいのだろう。

趣味なのでのんびり書かせてもらいます。

誤字等あればこっそり教えて下さい!

見切り発車なため多少の改変あるかもです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ