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 うーん。水を発生させた時もイメージでできたから想像するのが大切なんだと思うけど。


 理屈で考えるならば、冷やすの逆を行えばいいどうやら、魔力を使い切ると気絶してしまうようだ。

 それから俺は毎日水を出し続けた。


 出し切ると気絶してしまうものの、そこは赤子であるからいつ眠ってもおかしくはない。


 両親に不審がられないようにこっそりと水を生成した。はじめは握り拳くらいの水しか出せなかったものの、日々鍛錬した結果、書斎いっぱいのサイズにまで成長した。


 もう家の中で訓練をすることはできないだろう。と思った矢先、あることを思いついた。


 発生した水を瞬時に蒸発させることができれば、魔力を効率よく消費できるのではないか。


 それを思いついてからはや3日。まだ感覚を掴めていない。魔法には詠唱が必要と書いてあったが、むしろ詠唱で魔法を使うことができない。


 いままで詠唱できたのは、属性を調べるものだけだ。水属性の詠唱を読んでも何も現れることはなかった。


 やっぱり蒸発させることはできないのかなぁ……


 それもそのはず、俺は水魔法使いである。冷やすことは得意でも、温めるのはできないのだろう。


 そもそも冷やせる原理がわからないが、魔法の世界でそれを言ってはダメだ。


 熱い炎を想像するが、どうも掴めない。

んだよな。


 水を生成して、それを元に戻すイメージで行けばいいのか。


 さっと水を発生させ、小さくするイメージ。徐々にだが水は小さくなっていく。


 このイメージだな。これを練習すればできるかもしれない。

そうこうしてる間に転生してから一年が経とうとしていた。そしてついに両親に言葉を話せることがバレてしまった。

考えれば不自然だったかもしれない。普通の赤子であれば、「あう、あう」喃語から短い単語を経て、文を喋れるようになっていく。

 あうあう、ぶーぶ、でんちゃきた!の流れなのだ。

 しかし、俺、ナーベル君は喃語を話すことなくいきなり流暢に話し始めた。

 だって喃語とか喋るの恥ずかしいし……


 別にやましいことがあるわけではないが、あまりにも成長が早いと気味悪がられるかもしれない。そんなこともあってなるべく喋らないようにしていたがうっかり話してしまった。


 まあ子供が何歳から喋れるようになるかなんてわからないし仕方ない。いずれはこうなっていただろう。


 ジーナは思いっきり抱きしめて頭を撫でられた。

「ほら、やっぱりナーベルは天才なのよ!」

 と誇らしげに話していた。


 それを聞いたディーゼルはそっと俺の頭に手を乗せて微笑んだ。


 そんな両親の様子を見て少しホッとした。悪魔つきだなんだと言われていたら死んでしまうかもしれなかったからだ。


 「はいじゃあ一緒に本を読みまちょうね〜」

「うん!」

 夫婦は生を受けてから毎日絵本を読み聞かせしてくれた。なんと気の早いことかと普通なら思うだろう。

 しかし、転生者である俺にとっては好都合であった。


 言葉や文字をこんなに早く習得できたのはナーベルの飲み込みの速さがあってのことだが、読み聞かせがなければもう少し理解に時間がかかっていたと思う。


 両親に感謝しつつ、今日の本を読んでもらう。

 現在俺は3才に差し掛かっていた。


 蒸発させる魔法は2才ごろに習得できた。習得に時間がかかったのはやはり適性がないからであろう。


 感覚をつかんでからは早かった。今では火魔法を扱うことができる。


 とはいえ、家で突然火を扱うわけにもいかないので、水を蒸発させるだけの魔法になっている。


 魔力も徐々に増えており、使い切るのも一苦労になってきた。火と水の出力を可能なまであげてしまったため、消費量を増やすには工夫が必要だろう。それでも一日一回は魔力を使い切れるように頑張っている。


そして3才を迎えて少し経った頃。

 妹ができた。髪の色が違うし、妊娠した形跡もない。どこかから拾ってきた子なのであろう。これが俺自身子供であったなら、両親への愛を奪い合うライバルとなっていただろう。しかし、俺はもう合算で20才を超えている大人だ。かわいい妹ができるなんて大歓迎だ。


 両親は慌ただしく世話をしている。俺も手伝っている。


 俺の妹、リーゼは暴れん坊でよく泣き癇癪を起こす。


ジーナはそんなリーゼをみて「これが赤ちゃんよ!」とディーゼルに話していた。


 リーゼが来てからというもの、この家で一番偉い人がリーゼになってしまった。

 彼女が泣けば誰もがご機嫌を取り始めるのだ。


 期限が悪くなった時には俺の最終兵器、マッサージが炸裂する。


 魔法で手をちょうどいい温度にしてリーゼの体をもみほぐす。


 そして最後にぎゅっと抱きしめる。


 リーゼはこのマッサージが気に入ったみたいでどんなに泣いていても泣きやむ。

 なので俺も家族内での序列が上がった。そう、ディーゼルよりも発言権を持った。当然だ。トップと仲が良ければ当然、出世への道が開けるだろう。


 それにしても家族全員のハートを射止めちゃうなんて罪な女の子だ。将来が末恐ろしいものである。

「「5才の誕生日、おめでとう!」」

「おめでとぅー!」

 ジーナとディーゼル、リーゼが俺の誕生日を祝ってくれた。

 俺が転生してはや5年。時が経つのは早いものだ。

 みんな俺の誕生日を盛大に祝ってくれた。5歳というのは節目の年なようでいつもより豪華だ。


 ディーゼルは木刀を贈ってくれた。

「ナーベルもそろそろ剣を持ち始めてもいいかと思ってな」

 とのこと。

「明日から剣の稽古を始めるから覚悟しておけよ!」

「はい、頑張ります!」

 ちょっと楽しみである。なにせこの世界は娯楽が少ない。書斎の本はもう何周もしてしまったし、外出も許されていない。魔導書を読み込み魔法の研究も行っているが、そろそろ1人で進めるには限界を感じている。


 ジーナは魔法の杖を贈った。実はすこし前から魔法について習っていた。

 ジーナ自身は風魔法が使えるようで、魔法の使い方を教えてくれた。

 といっても詠唱をすれば出来るから発音を間違えないように程度のものだったが。


 風魔法の呪文を唱えても発動することはなかったが、イメージを膨らませることで詠唱なしで出来るようになった。


「ナーベルはお母さんと一緒で風使いなのね!」


 もしかすると、日本での科学の知識が詠唱を邪魔しているのかもしれない。しかし、詠唱が使えないからといって特段困らないのでよしとする。


 それにしたって、魔術の才とは一体なんだろうか。水属性しか使えないはずの俺は、もう水、火、風の三属性を扱うようになってしまった。幼い体は吸収が早いから、属性が決まる前に鍛錬すると全属性が使いやすいのだろうか。


さらに変わったことがある。

外出が許可されたのだ。近所には子供がいるから遊んできなさいとジーナは言ったのだ。

 俺はこれ幸いと空き地で魔術の実験ばかり行なっていた。

 そんな1人遊びを続けている様子の俺をみかねてか、

「今日は友達を作りにいきましょう、ナーベル」

 俺の頭にぽんと手を置きジーナは言った。

 友達を作ることには賛成だ。ただ、俺に作れるのだろうか。いじめられっ子であった俺が。


 隣にはハーマンとビルドの双子の兄弟がいる。2人は顔つきや背格好までそっくりだ。それまではよかった。髪色が俺のいじめっ子と同じ髪色であった。

そして、かつての光景がフラッシュバックした。

 蔑すむ目、憐れむ目、俺を必要としないあらゆる目。

 思い出したくない記憶は不意に蘇る。

呼吸は荒れ頭が真っ白になった。

 気がつけば頭は真っ白になって座り込んでいた。自分が思っている以上にトラウマになっているかもしれない。

 ハーマンとビルドには悪いことをした。

 全く関係ない2人に対して怯えてしまうなんて。後で謝らなければと思った。

「……辛い想いさせちゃってごめんね、ナーベル」

「……いえ、お母様」

 ジーナは俺のことをぎゅっと抱きしめて

「誰にでも得意なこと、苦手なことはあるのよ。ナーベルはゆっくりお友達作ればいいんだからね」

 と頭を撫でてくれた。

 ジーナの目はまっすぐ俺を見つめ、優しく包んでくれた。


趣味なのでのんびり書かせてもらいます。

誤字等あればこっそり教えて下さい!

見切り発車なため多少の改変あるかもです!

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