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「嘘」をテーマにした1話完結モノ

曖昧さの中の真実

作者: 朝倉春彦

「彼の良い所は"最後まで信じきれない"部分にあるのによ」


先輩はコーヒーを飲み干した後で、不意に言った。

窓の外には夜景が広がる時間帯、私は普段の先輩らしからぬ言葉に驚いた。


「珍しいじゃないですか、先輩、0か1かみたいな所あったのに」

「曖昧さも大事なんだ。よく見てると、そんな中でもどっちかに寄ってるモンだしな」

「そんなもんですか」


私はスマホを取り出しながら、眺める頻度が減っていたSNSを開く。

そこには、1から10まで私の興味に寄った言葉がズラリと並んでいた。


流れては、消えていく言葉達。

都合の良い言葉だけ…だから、私はこのアプリを滅多に開かない。


私は、先輩が不意に呟いた言葉の意味を、未だに飲み込めないでいた。

適当に相槌を打ちながら、裏でちょっと頭を回す。


先輩は、そんな私の様子を見て、私が言葉を飲み込めていない事に気づいたのだろう。

クスッと笑うと、空になったコーヒーの缶を近場に置いて、私の方に顔を向けた。


「都合の良い事はよく耳に入るだろ?」

「はい」

「悪いことは?」

「滅多に」

「お前も0か1な奴ってわけさ」

「そうですね」


諭してくれるような先輩の声。

私は素直に反応して見せる。


「ただ、それだけじゃぁ続かないんだ。悪い事にも目を向けないと」

「向けないと?」

「まず、こういうミスを犯す」


先輩はそう言って、今日私がミスを犯した書類の一部を見せて来た。


「これはな、コッチを見てれば気づけたミスだ。誰からの情報かはわかるよな」


続いて見せられたのは、先輩のスマホ画面。

そこには、私が"滅多に見ないサイト"の記事が表示されていた。


「俺も嫌いだよ。こーゆーの。でも、偶には目を通す価値がある」

「それをもたらしてくれたのが、"彼"だったと」

「そーゆーこった。普段は曖昧な奴なんだがな、切るに切れないのさ」


私は先輩の言葉を聞いて、改めて手にしたスマホの画面に向き直る。

青い鳥が運んでくるのは、幸せだけで良いと思ってた私の考えが、薄っすらと揺らいできた。



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