Corn pone days
これは友達の先輩から聞いた話なんだけど,
「なんかもう信憑性低いんだが?」
まあまあ落ち着いて聞けって。この宍向市にはバツ3の女性がいて,その子供が4人全員あおいって名前らしい。
仁巳 現が足元に転がる石を蹴った。
「それってさ,ほら。俺たちのクラスに碧生っているだろ?そいつの話じゃないのか?」
なるほどたしかに。
では今度は本当に怪談めいた話を。3年前にミミズ事件ってあったじゃん?
「ああ,それがどうした?」
それに関わった人が誰にも認知されなくなる現象が起きているらしい。
ミミズ事件とは,画家の枯野 三水が描いた絵の中にいる人物とよく似た人が殺されるという事件だ。
「じゃあ玲はその話をどこで聞いたんだよ」
本日2度目のなるほどたしかにだ。
「とりあえず,また明日。」また明日,いい夜を。「優雅だなおい」
俺と現は丁字路で別れた。
何とはなく,枯山三水の絵を見直していた。三水は一度容疑者として挙がったものの,すぐに無実が証明された。彼は2ヶ月前に新作を出しており,それは腕が融合されている2人の片方が陰鬱な,もう片方が明朗な表情をしている絵だった。なぜばらばらな表情なのか。ただ一つ分かることは、その2人は俺と現に似ていた。
挨拶運動をしているおじさんの前を通った。挨拶をするも,無視される。嫌なやつだな。丁字路に着き,現と合流する。
俺はヘソを曲げたぞ。「いったいぜんたいどうしたんだい?」現はこちらの調子に合わせる。
挨拶のおじさんが俺を無視しやがったんだ。「お前昨日話してたミミズ事件のアレじゃあないのか?」まさか。
本当にそうかもしれないと思い始めたのは学校に行ってからだ。俺だけ出席が取られない。誰にも話しかけられない。など,“誰にも認知されない”という事実を裏付ける理由がうじゃうじゃと出てきた。
1時限目の数学で,試しに机の上で踊ってみる。誰も見向きもしなかった。現と俺は顔を見合わせた。