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最強極道が異世界に行ったら最弱乙女だった件  作者: くれいじーぼーい
百鬼夜行
1/2

最弱のプロローグ

あいむあくれいじーぼーい うぇんどゆーいっつりーでぃんぐあでぃすのべる?(やけくそ)

カタギが極道を蹴散らせるようになった世の中。極道の立場が危うくなったころ。一つ、極道の中でも特に秀でて勢力を上げている極道組織があった。纏城組まとぎぐみと呼ばれた極道集団。その極道集団のトップ。これは、纏城組のトップの死から始まる、最強で最弱の人間の物語。




「オラァァァ!」

鈍い打撃音と共に渋く太い怒声がとある路地裏で響く。厳つい見装の大男が自分より遥かに大きなゴリラと言っても過言ではない様な男をパンチ一つで吹き飛ばす。彼の名前は「山城慎(やましろまこと)」。日本では名の通った極道だ。纏城組の頭を務める、極道会最強の極道。気に入らないやつは何がなんでも殴る。慎に目をつけられたら最後、そいつが生き残る手段はない。

「オラァ!んなもんかボケがァ!ちったぁ儂んこと楽しませて見ぃや‼」

野太い怒声が路地裏に轟く。まるで餓えた狼のような眼光を持つ慎は、突き飛ばしたばかりのゴリラの様な男を睨み付けた。するとまるで小鹿の様に震え許しをこう

「許してくれ…い、命だけは…」

「なァにあまっちょろいこと言うとんのや‼儂ん仲間に手ェ出したっちゅうことがどないな事かわかってんねやろなァ!?」

慎が激昂したら誰も、何も止められない。慎はゴリラの様な男の襟首を掴み合げ、怒りのままに殴ろうとした__瞬間、慎は体に違和感を感じ、殴ろうとした手を止めた。瞬間、隙を突かれたように掴んでいた襟首を離され逃げられた。だが慎は追いかけようとはしなかった。その日、慎がアジトから出ることは無かった。


「何じゃぁあの感覚…まるでわしの体がわしを拒んでいるように…っぐ…」

慎は突然酷い頭痛に襲われた。喘ぐことを忘れるくらいの激痛が、一瞬で全身にまで広がった。最早体の制御が利かなくなった。慎は地面に倒れこんだ。その時、慎の部屋のドアが勢いよく吹き飛んだ。一瞬で煙に覆われドア周りの確認がとれなくなった。

だが確かに、煙の中を歩く足音が一つ。

ドコ…ドコ…

と普通の足音とは思えないほど地を揺らしながら歩いてきた。とうとう煙に影が現れた。その男は2mはある巨体に、おぞましい程の兵器を積んだ、武力派組織のボスだった。巨漢は、慎を見つけると、掴み上げ、勢いよく投げ飛ばした。慎は壁に体を叩きつけられ、軋むような痛みが更に体を襲った。全身の筋肉の繊維が裂け、皮膚が破れ、身体中から血が溢れだしている。

慎が見上げると、巨漢が不適な笑みを見せながら銃をこちらに向けて構えていた。

「あんたの時代は終わりだ…山城ォ!」

「西村ァ!!」

バァァァアン!!

たった一つの銃声で、慎の声をかき消した。





「魔術師隊!終結魔法「十字融解(クロスロード)」を展開せよ!」

ある一人の男の掛け声で、数百人はいるであろう熟練の魔術師が一斉に魔力を制御し、巨大な魔方陣を形成した。

展開された魔方陣が、息ずいた様に鼓動と共に回転を始めた。そして魔方陣は術者全員を包み込むと、光を発し始めた。術者たちが、一斉に杖を天高く掲げると、魔方陣から巨大な十字架が出現した。出現した十字架を、黙って見つめていたのは竜達の絶対神「ヴァングァード」。この竜さ居なくなれば後は勝手に竜が消失する。この世界にとって害悪とされてきたドラゴンを倒すため、熟練の魔術師が数百人以上が終結魔法という、万物の終わりを告げる禁忌の魔法を使おうとしている。

魔術師達は最大出力の魔法を、ヴァングァードに向けて飛ばした。だがヴァングァードは避けようともしなかった。刹那、近くの森や町を巻き込むような巨大な爆発を起こした。

魔術師達は、自分達の周りに巨大な結界を張り、大事を免れた。

もんもんとあがっていた煙が晴れていく。煙が晴れたその世界には、ヴァングァードの姿が無かった。魔術師達は跳び跳ねるほど喜んだ。

だがそれは一時の夢でしかなかった。

上空に巨大な影が出現する。その影が非情な現実を魔術師達に叩きつけた。その影はヴァングァードの物だった。ヴァングァードは真っ直ぐ地上へ向かって急降下を続けた。そして散り散りに逃げようとした魔術師達に向かって灼獄の炎を吐いた。魔術師達の結界は虚しく崩壊し、徐にヴァングァードの炎を受けた。

ヴァングァードの炎が吹きかれられた場所は何も残らなかった。

人類は、竜達に、圧倒的なまでの差を突き付けられ、熟練魔術師数百人全て喪うという致命的な被害を被る大敗北となった。



とても高い崖の上からさっきまでの戦闘をすべて見ていた人間が二人。一人は露出度の高い装備をしたちぢれ茶髪ロングの女性。一人は聖騎士を思わせる白銀の甲冑を身にまとった黒髪ショートウルフの男性だった。女性は木の陰に隠れながら双眼鏡で崖の下で起きていた戦いをずっと監視していた。そして決着がついたのを確認すると、すぐ後ろに立つ男に向かって


「どうやら失敗したみたい。あれだけいた魔術師が全滅してる。イグニス、どうする?」

イグニスと呼ばれた男は、腕を顔の横で振り、

「無理だ無理。大体まず魔術師たちを壊滅させたのはヴァングァードだぞ?レナ。生存者がいるなら話は別だが...」

と言って、木の陰に隠れているレナに向かって「帰るぞ」のしぐさをする。

レナは仕草を確認すると、ゆっくりと立ち上がる。

(なんだろう...?凄い何か嫌な感じが..)

「でもちょっと待って。最後にもう一回状況を確認していいい?」

この時、凄まじい悪寒を感じたレナはイグニスに頼む。

かなり呆れた顔をしてイグニスが腕を組んで、そのあと右手を右目にやった。そして深くため息を吐くと

「はぁ...仕方ねぇ、一回だけだぞ。だけどそんな長くはまたないからな」

「ありがとう」と一言いったレナは振り返り、もう一度、双眼鏡を覗き込む。

写ったのは、まだ煙の上がる地面に倒れる一人の女性とその女性に近づくヴァングァードだった。レナは、状況をとっさに把握すると、イグニスに向かって、

「人だ!人が倒れてる!まだ生きてるみたいだ!」

イグニスは「なんだと!?」とあからさまな反応をすると、レナから双眼鏡を乱暴に奪い取り覗く。写ったのは、一人倒れた女性がヴァングァードに狙われているる状況だった。

レオンは殴りつけるようにしてレナに双眼鏡を返すと「すぐに助けに行くぞ!」と叫び、咽ているレナを無視して崖を飛び降りて行ってしまった。

「イグニス...後で覚えてなよ...」

全く勝手な男だ...と苦笑しつつ、レナもイグニスに遅れて崖を飛び降りた。




「君、まだ人間として知らない世界が他より多いみたいだね」


「そんな君に私からのささやかなプレゼントだ」



"最弱"という君には縁の無い世界をね


さぁ…目を覚ますんだ…そこで見た世界が、君にどんな影響を与えるのか…楽しみにしてるよ…"相棒"



「あ、目が覚めた。イグニス!倒れてた娘、目、覚めたよ!」







あいむあくれいじーぼーい  あいうぇるかむゆーえにーたいむ

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