子供たち 1
如月、魚氷に上る日。
今日も、子供たちはご飯をいっぱい食べ、ムキムキになっていく。
どうやら、食べ物が彼らの筋肉を成長させていくらしく、図書館で読み漁ったギリシャ神話を思い出す。
あの世の食べ物を食べたら、冥土の世界にしばらく住まなければならず、母ちゃんであるデメテルが泣いてたっけ。それで、冬という季節が生まれたのだ。
まあ、うちの家計はそのムキムキのせいで真冬だが。
ため息をつきたくなる米びつ。毎度毎度、底が見えるのに苦労する。
まあそれでも、子供たちは可愛いし、育ち盛りだから仕方ない。
幸い、俺と嫁さんの素子は、食が細く、この世界の食べ物を毎日食べても、ムキムキにはならなかったし。小食だし。ちょうどいいバランスなんだろう。
長男は、ムキムキのままに、アホヅラではあったが、誇らしげにドラゴン一匹倒してきた。一番でかい獲物だったとか。
次男は、ムキムキのままに、細長い面構えではあったが、飛竜を乗せて帰ってきた。生きたまま連れてくるんじゃない。
末っ子の長女は、ムキムキのままに、そのあどけない顔をしながらも、小ぶりなドラゴンを複数倒して、解剖し倒してきたというのだから、世の中、何がどうなっているのか、知れたもんじゃない。
初めての狩人デビューということで、不安ながらも送り出し、無事に帰宅して、初めての狩り成果のあまりの豪快さ、立派さに、真っ青になった俺を心配してくれる嫁さんは可愛いが、その、一番可愛い嫁さんに似ているはずの、たおやか顔の長女の成果に一抹の不安が隠せない。
娘よ、どうして、こうなった。