8/17
その七
少年は、肉体的には凡庸未満ではあったが、しかし、頭は良かった。
村人としての成長を望んだ村長からの後押しもあり、雑用兼ねた書記役を請負い、狩りの成果をしっかりと書面に刻み続け、村の発展に寄与するアイディアを出したりして、村民たちの、狩りもしないくせに、などという成果主義にもめげずに鋼の心で村人たちとの対話を繰り返し行い、揉め事を率先して正していき……、いつしか、少年は、青年へと立派に成長していった。
この世界に溶け込んでいく努力をして馴染む頃には、あどけないが、しかし、親の生まれ故郷からやってきたという高校生帰宅部に、ただひたすら、ぱぁああと、輝く笑顔で好奇心を募らせる如月春子と結婚することとなり、可愛い子供を三人ももうけた。