プロローグ6 【異世界への準備 2日目】
ブックマークが増えてきて嬉しいです。
朝起きると、生野菜でサラダを大量に作り食パンと一緒に食べる。『食パンは明日で消費できるな。余ったサラダも今日中に消費できる。』と考えて少し安心する。生ゴミは減らさないとね。
今日も予定が詰まってる。
予約してた病院でインフルエンザの予防接種をさっさと済ませる。
次に図書館に向かう。異世界に持参する本の選定をするため実際に現物を見て参考にするというのは、良い考えだと思ったからだ。午前中は図書館で過ごすことにした。
今日の昼御飯はステーキ専門店で最高級の和牛ステーキだ。今まで食べたことがない、最高級の和牛ステーキは本当に口の中で溶けてる気がする。素人意見では脂の味が透き通ってるのだ。ステーキを一口噛むと口の中に大量の脂と肉が暴れてるのに、サッパリしていて体の中に染み込んでいくと言うのかな。語彙の少ない私は、初体験の味にただただ感動していた。
昼食後はネットで見つけたサバイバルゲーム専門店に向かう。店員の意見を聞きながら、スタンガン・催涙スプレー・特殊警棒そしてサバイバルナイフを購入する。
ネットで調べただけなので正確ではないかもしれないが、護身グッズは所持は合法だが携帯は正当な理由がない限り法律に触れるらしい。
合法な物は購入できる。勿論OK。購入した物を自宅に持って帰る。正当な理由だからOK。家の中で保管する。これもOK。脅迫されたから護身用に持ち歩く。これはアウト。・・・やはり法律はよく分からん。
サバイバルナイフも、脅迫されたから護身用に持ち歩くのは基本アウトになるが、但しキャンプで使うためキャンプに持って行くのは包丁と同様にOKとなるようだ。
とりあえず、スタンガン・催涙スプレー・特殊警棒・サバイバルナイフを店で購入し、安全に梱包された状態で自宅まで持ち帰るのは、合法ということらしい。後は異世界に持って行くので問題ないだろう。
使いこなせるとは思わないが、スリングショットとパチンコ玉も購入する。あくまでも威嚇用ですよw
防具としては防弾チョッキや鎖帷子が思い浮かぶが、店内で見た迷彩服とポケット等がたくさん付いてるベストを購入することにした。着るだけなので素人でも問題ないだろう。店で見て面白いと思ったグッズも一緒に購入する。サパイバルツール、泥水を濾過して飲用にするグッズ、救急セットや毒を吸引するグッズ等だ。役に立つかどうか不明だが、少年の心をくすぐるグッズなのだ。
帰り道に大型本屋に寄る。
味噌・醤油・鰹節の製造の専門書は必須だと決めていたが、ネットで調べても図書館で読んでみても、素人が一から作ことは困難であることは明白だ。しかし異世界でも発酵食品や酒類を作る職人がいるはずなので、彼らと協力すれば製造することが可能かもしれないと気楽に考えることにしている。製造が出来ないとしても仕方ないというぐらいの気持ちで本を選んでいく。
発酵の専門書や世界の発酵食品についての本も選ぶことにする。1つくらいは異世界でも役に立つかもしれない。例えば納豆は、私は苦手で食べないが、大豆と米藁があれば出来る気がする。
栽培の専門書が欲しいのは、米、小麦、大麦、玉蜀黍と大豆だな。世界でも重要で生産高も多い作物だ。異世界の食料生産量を上げることが可能かもしれない。その他には薬草図鑑や家庭菜園と果樹と草花や植木の本もあった方がいいだろう。異世界の類似した植物の栽培に役立つかもしれないからね。
それよりも肥料とか剪定の技術の本が役立つかもしれん。堆肥づくりや土壌づくりの本、挿し木や取り木などの技術書を選ぶ。
農業以外の本も選んでいく。ロープ等の結び方、救急治療、皮のなめし方、畜獣の捌き方、折り紙、風呂敷の使い方、綾取り、釣、日曜大工、清掃、裁縫そして中学レベルの理科社会数学の参考書等々である。
そしてラノベやネット小説では、異世界で多分一番役に立ってる料理や調理やお菓子の本は勿論忘れはしない。海藻や魚図鑑、燻製、乾物、練り物、酒類の製造も役に立つと思う。夕方まで時間かけて必要になりそうな本を選んでいくと、店の人が吃驚するほどの大量の本になってしまった。店員も喜んで車まで運んでくれた。
私が持っていくのはあくまでも本のみである。種籾など種や苗は決して持参しない。もし持参したとしても異世界の植物との生存競争に勝てるとは思えないが、万が一があってはならない。生態系を壊す切欠になる行為は出来る限り避けるのが第一原則である。こちらの世界の栽培法の知識はあくまでも異世界にある植物を育てるときに使う。
繰り返すが生態系への影響は極力避けることを第一原則としている。道具や技術や知識も異世界に影響を与えるのではないかという疑問も勿論ある。そしてその影響は生態系への影響よりも大きいのではないかという疑問も同時に生じる。そしてその疑問に答える回答を私は持っていない。独りよがりの独善的な考えかもしれないが、私がその原則に基づいて行動しているとだけ知ってもらいたいだけである。
今日の晩御飯は寿司である。昨日のうちに予約している。暫く寿司を食べられない異国に行くので極上の寿司を食べたいと希望も伝えてある。予約して何か月も待たされる超一流店ではないが、知人お勧めの隠れ名店ということだ。ネタとシャリが渾然一体となっているとはこういうことかと、初体験を楽しむことが出来た。
帰宅して少し休憩をしてると電話があった。
「もしもし、先代、生きてますか? 昨日今日と二日続けてインしてないですけど。」
「うるさい。準備で忙しいの判ってるだろ。」
「判ってますよ。先代が異世界からの招待状に当選したことは秘密でしょうから話してないですよ。でも他のギルメンが先代がインしてないので理由知ってますか?と聞いてくるんです。」
私が異世界に行って行方不明になったらそのときは話すのだろうが、今は秘密でいい。
「暫くしたら、少しはインする予定だ。」
「それでお願いします。では、早速報告を始めます。」
やはりその件だった。私も気になってたところだ。
「1点目の百科事典の件ですが、はっきり言ってこれが一番問題です。通常のルートだと注文して納品されるのに何週間もかかることがありますので、裏ルートで何とか入手できるよう頑張ってます。」
「裏ルート? 何故そこまでする必要があるのだ?」
「私も調べて知ったのですが、現在の日本で総合百科事典は1つしか無いんですよ。これ以外だと電子書籍版になるか、子供用の百科事典になるんです。」
「2点目のシルバーカートはOKです。100キロ積載可能でその上に座って休憩できるような頑丈なやつを購入済みです。防水性能も高く少々の雨なら濡れる心配はないです。車輪とサスペンションは会社で改造したので、積載重量はもっと重くても大丈夫だと思いますが過信しないでくださいね。それと別件で、一つ注意があります。」
「なんだ?」
「実は 百科事典が63キロなんです。」
「何だと?」
「全30巻とおまけが4冊あって63キロあります。カタログに載ってるので間違いないです。ですからカートに未だ載せることが出来るのは37キロが限界となりますので注意してくださいということなんですよ。」
「判った。過積載に注意する。」
と返事したが、63キロとは予想よりも重すぎる。
「3点目の自転車は、エクスキャリバーという初心者向けのマウンテンバイクタイプに決定しました。
それで追加オプションの一つである、マウンテンバイク用の荷台ですが、シルバーカートとの連結の件から見ても市販品は弱いと思われるので、カートとの連結機能も込みで会社で作成します。
明日中に納品は徹夜で作成するので大丈夫です。ただし荷台とカートとの連結機能は、充分強度を保証できますが、マウンテンバイクが耐えられるかどうかは保障できないですよ。
その他のオプションは ライト・泥除け・前輪用カゴ・サイドバッグ・空気入れ・水筒・鍵そして工具や修理用品です。ただ、ヘルメット・サングラス・ウエア・手袋は先代が直接店で購入した方がいいと思ったので買ってません。実際、どうします?」
安全と利便性を考えてサバイバルショップで迷彩服とベストを購入し、登山専門店で雨具を購入している。しかしそれ以外の服は基本今持っているものと考えている。冬用は昔買ったスキーウェアを持って行く予定だし、着替えの上下と下着も新しく買うつもりはない。
ただ、ヘルメット・サングラス・手袋は サイクリング用やキャンプ用の専用のものを購入した方が良いのだろうか?
「明日、自分で買いに行くよ。それで明日の何時頃に持って来れるか判るか?」
「百科事典次第ですから、正確なことは言えません。別々で良いのなら、百科事典以外は夕方には先代の家に持って行けますよ。どうしますか?」
「面倒だから、夜の9時にまとめて持ってきて欲しい。百科事典は夜の9時が無理なら諦めるよ。」
「判りました。それでは明日の夜9時に先代の家に納品させて頂きます。」
「それで頼む。料金はその時に払うよ。」
「えっ? 料金は未だ確定してないですから、後日請求書を送るつもりなんですけど。」
料金後払いになるのが普通なのだが、異世界に行ってしまうと払えないからな。大体の金額を聞きだした後は、雑談して電話を終了した。
その後は忘れないうちにいつものゲームにログインする。その時にいたギルメンやフレとチャットして、暫くインできないと連絡し、他のいなかったメンバへの伝言も頼んだ。しんみりするのは好きじゃない。軽くチャットした後、お別れしてゲームからログオフする。
<獲得ポイント最大化>の効果でステータス値が上がったが、これが他にも影響が出ていたことが判った。[ファーストジョブ]が点滅しており開くと、選択できるジョブに商人と職人が追加されていたのだ。
しかし、魔法使い・シーフ・僧侶は未だ候補に出てこない。異世界に存在しないジョブなのだろうか?いや魔法文化の進んだ異世界だと紹介文に確かに書かれている。少なくとも魔法使いは、名称が違うことがあっても存在しないとおかしい。能力値以外にも、何か条件があるのだろう。
サービス選択も少し検討してみる。SPの残高210は、やはり経験値獲得アップに振った方が得だと思える。SPを124使って獲得経験値が合計700%にすると、成長速度が7倍になるチートと化す。これがベストなんだろうな。そして残ったポイント86はアイテムボックスの強化に使うかな。ボックスの数を50から100に増やすのに40ポイント、1ボックスに入れる個数を50から100に増やすのに40ポイントと、そして残った6ポイントはHPとMPの増加に使うと余りが無い。
BPが未定のままなので確定ではないが、他の能力が使えなかったり内容が不明だったりと選択し辛いので,1つの案としては充分ありえると思う。
昨日の実験の結果は次のとおりである。
実験1
1,000回ほど実行した。約900回は2ケタのボーナスポイントと低い数値だったが、1回だけ最高値が1,009 と4桁になった。BPの最大値は 9,999 なのかもしれない。もっと高い数値が出るまで粘る価値は充分にある。
実験2
500回ほど実行した。ステータスの基本値の件は、相変わらず確率が低い。10以外の数値が出たのは27回で最高値が23だった。数値も相変わらず低いが、2回だけ複数のステータスで10以外の数値になった。このことにより、“複数のステで同時に数値が変動することがある” が確認できた。
現状では数値も低いので効果があまり期待できないことになっている。しかし、能力値の上昇でファーストジョブの選択肢が増えたことから、もし基本値に良い数値が出れば更に選択肢が増えることが期待出来るだろう。諦めずに続けることにする。
冷蔵庫内の残り物で簡単なおつまみを作る。朝に作ってたサラダと冷えたビールも用意する。昨日よりは時間があるので、息抜きに掃除とかしながら、昨日の実験の結果を踏まえてゆったりと実験を開始する。
実験1
今日も1,000回ほど実行した。BPの最大値は153だった。もしかして昨日の最大値1,009 はスーバーラッキーだったのか? やり直したのは大失敗だったのか? いや未だ時間はあると気を取り直すが、少し時間を空けた方がよさそうだ。実験2をやってみる。
実験2
昨日と同じく500回ほど実行した。結果も昨日と大差はなく、最大値が28と若干あがったぐらいである。ファーストジョブの選択肢が増えるほど、基本値に良い数値が出るのは無理なのだろうか? 28だって10の2.8倍なのだ。充分に良い数値だと考えることも出来るのだ。
実験1と2を続ける気力が減少する。掃除でもして気分転換でもするか。明日が生ゴミの日で明後日が資源ゴミの日だったな。生ゴミと燃えるゴミをまとめる。次に服を分別する。クリーニングに出す物、異世界に持って行く物、資源ゴミに出すその他に分ける。クリーニングに出す程でもない服は全て資源ゴミに出すと決めると、ゴミ袋5個分も出来た。やはり不要な物はいつの間にか溜まっていくよね。
クリーニング用にまとめた服は明日出しに行こう。引き取りは後輩に任せようw後輩への引き継ぎ事項がまた1つ増えた。異世界への旅立ちが失敗したら自分で取りに行けばいいのだ。
片付けしたら気力が湧いてきた。2つの実験を続けるためまたパソコンに向かう。
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