プロローグ3 【異世界への準備3 キャラ作成開始】
ケーキバイキングをお嬢さんと楽しんだ後は、お嬢さんを最寄りの駅まで送ってお別れをした。味も量も満足できて、お嬢さんのキャンプの話を聞くのも楽しくて充実したランチタイムを過ごすことができたのは嬉しい誤算である。
この後、他の店に行く予定だったが変更して一度帰宅することにした。氷点下保冷剤は完全に凍らせるのに3日かかるのに出発が3日後と時間の余裕がないため、早く凍らせる必要があるからだ。帰ったら、ポリタンクと保冷剤を丁寧に洗って乾拭きする。ポリタンクには帰り道で買ったかち氷を詰めた後、ミネラルウォーターを注ぎいれて準備完了だ。氷点下保冷剤とポリタンクを冷凍庫に入れる。冷凍庫の温度設定も最強にしたので、これで出発までに凍らせることができるだろう。
20リットル以上の大容量ではなく5リットルの本型ポリタンクを薦められた理由が、凍らせて冷却剤として利用できる点と、少容量だと凍らせるのが早い点、隙間に詰め込めることが出来るためクーラー内を有効活用できる点だったのだ。本当にあのお嬢さんは物知りだと感心するな。
少し休憩した後、買い物の続きに出発する。
金は調べると500グラム未満の地金を売買するとき、別途手数料がかかることが判った。500グラム以上の金地金を買うと手数料がかからないが、異世界で金を使うときは小分けにした方が安全だろう。大量の金を所持してることを他人に知られると、金持ちと判断されて襲われる危険があるからだ。
ネットで調べた店に到着すると、あらかじめ決めていた通りに500グラム1個、100グラム4個、20グラム3個、10グラム3個、5グラム2個の合計1キロの金地金を購入する。身分証明として自動車免許証を見せ現金払いしたが、金自体が高いのは納得できるが、別途手数料だけでも高すぎるだろう。少量の金は一度溶解してから再度作り直すらしいので、別途手数料がかかるのは仕方ないのは分かるがそれでも高いと感じてしまう。
次に向かうのは時計店である。異世界の時間や季節等の単位は間違いなく現代日本とは違うと想定できる。異世界の1日が24時間とは限らないのだが時間の経過が一切分からない状態は、現代日本で暮らす私にとって不安になることは間違いないであろう。ということで腕時計が必要だ。とにかく頑丈な腕時計であることを条件として、時計屋で店主に選んでもらった腕時計を購入した。A~Zまで登録商標したことでも有名なシリーズの一つである。ケースとバンドがチタンで無反射コーティングサファイアガラスの電波ソーラーの腕時計で、タイマーなどの多機能付きである。性能を全部わかっているのではないが、良い時計なのは判る。高かったし。
とりあえず電波がなくてもクオーツで動くらしいので異世界でも大丈夫だろう。
今日の買い物の予定は終わったので帰ることにする。帰り道に本屋に寄って、アウトドアやキャンプの入門書を買い、ホームセンターで防災グッズセットを買った。忘れ物がないかの確認用である。
帰宅すると、防災グッズの中身の確認をする。キャンプ用品と重なる物と、異世界で使えないラジオや携帯の充電器が殆んどであった。しかし面白い物もある。懐中電灯は購入済みだが、防災グッズに入ってた物は手回しとソーラー充電対応であり、電池なしでも使える点が面白い。リュックサックもダブったがこちらは防水製の小型である。着替えやタオル等を入れるのに充分役立つので、是非持っていくことにしよう。後は綿棒や三角巾を見て、救急セットを失念してたことに気付く。明日忘れずに買いに行こう。
後は夕ご飯まで、家の掃除をすることにした。丁度明後日が生ゴミの日だ。腐る物が残らないようにするため、冷蔵庫の中を確認すると一人で処理しきれない野菜や肉、卵等を発見する。
最悪、隣近所に配るか異世界に持参することになると思うと溜息が出てくる。後意外に量があるのが調味料関係だった。使用途中の塩・砂糖・醤油は勿論、パン粉・小麦粉・食用油、ヨーロッパの高級岩塩、一度しか使ってないサフラン、丼の素等の簡易調理の素、缶詰・びん詰・レトルト食品、限りなく出てくる。消費期限の過ぎた物、開封済みの物、未開封の物に分別するだけで結構時間がかかった。続きは明日にする。
予定では今日の晩御飯はステーキ専門店で最高級の和牛ステーキだったのだが、冷凍庫で発見された冷凍食品を食すことにした。腐らせるわけにはいかないからね。チャーハンとお好み焼きだけだったので、今日だけで消費できたのは救いだ。
パソコンの電源を入れる。昼にしか出来ない異世界に行く準備は終了したので、やっと重要な作業を開始できると思うと、心が躍ることを抑えることができない。異世界に行く準備として最も重要と言える、キャラメイキングを開始するからだ。
キャラメイキングは大きく4つに分かれている。基本設定画面、ステータス設定画面、サービスポイント選択画面、アイテム選択画面である。
その中で基本設定画面は、年齢・種族・性別・名前を決定する画面だ。
年齢は10歳以上なら自由に選択できる。選択できる種族は合計で8種類である。魔族からはサキュバスとリザードマン、獣人族からは龍人族と狼人族、妖精族からはエルフとドワーフとオーク、そして人間である。
基本設定はすぐ入力終了する。名前は、ネットゲームで使っていたものに直ぐ決定した。種族も人間、性別も男性と迷わず選択する。異世界に転生するのは、あくまでも2番目の人生を謳歌したいためである。新たに性別・種族を変えて新体験をしたい訳ではないのだ。
年齢は少し迷ったが15歳と決定した。若すぎると他人から甘く見られたり信用されにくいというデメリットがある。また若いとステータスが低いため、喧嘩で怪我したり魔物との戦闘で死にやすいことはすぐ判る。その危険は避けるべきである。
と言って、転生する年齢を高くする意味もない。2番目の人生の安全を上げるため、2番目の人生の出発を中年にしたりするのは本末転倒といえるだろう。というわけで15歳に決定したのである。
基本設定画面の内容に応じてステータスと能力値が決定される。ステータスは全部で11種類あり簡単な説明があるので、載せておく。
生命力・・HP・防御力に直結する。生命力が上がると、疲労蓄積スピードが減少する。
腕力・・・攻撃力に直結する。腕力が上がると、装備できる武器の種類が増える。
脚力・・・移動力に直結する。脚力が上がると、装備できる防具の種類が増える。
敏捷・・・回避力・速度に直結する。敏捷が上がると、装備できる武器と防具の種類が増える。
技量・・・命中力に直結する。技量が上がると、クリティカル率が上がり、覚えるスキルが増える。
知識・・・MPに直結する。知識が上がると、精神疲労蓄積スピードが減少する。
知恵・・・魔法攻撃力に直結する。知恵が上がると、装備できる武器の種類が増える。
精神力・・魔法防御力・異常抵抗力に直結する。精神力が上がると、装備できる防具の種類が増える。
集中・・・集中力と直結する。集中が上がると、より上位の魔法を習得することが出来る。
運・・・・ドロップするアイテムの質と量に影響する。命中力・回避力・クリティカル率・精神異常抵抗力に影響する。
BP・・・レベルアップ等々にもらえるボーナスポイント。
基本設定画面を入力すると表示されたのが、以下のがステータス画面と能力画面である。
よくあるゲームの設定画面と似ているので、ステータスや能力自体は分かりやすいのが嬉しい。しかし説明が簡単すぎる。詳しいことは自分で解き明かせということなんだと推測できるのだが。
各ステータスには基本・獲得・調整・合計の項目がある。各能力には[基本] [?1] [?2] [合計]の項目がある。これらの項目の名称は私が便宜的に名づけたものである。[?1]と[?2]はこの時点では全く不明な項目なので[はてな1]と[はてな2]としている。
基 本
種族:人 族 性別:男 性 年齢:015 名前:ロード・セラリス
ステータス
生命力: 10+ 225+ 15= 250
腕 力: 10+ 225+ 15= 250
脚 力: 10+ 225+ 15= 250
敏 捷: 10+ 225+ 15= 250
技 量: 10+ 225+ 15= 250
知 識: 10+ 225+ 15= 250
知 恵: 10+ 225+ 15= 250
精神力: 10+ 225+ 15= 250
集 中: 10+ 225+ 15= 250
運 : 10+ 225+ 15= 250
B P : 0+ 75- 0= 75
能 力 値
H P : 1250+ + = 1250
M P : 1250+ + = 1250
武器攻撃力: 250+ + =250
武器防御力: 250+ + =250
魔法攻撃力: 250+ + =250
魔法防御力: 250+ + =250
命 中 力: 250+ + =250
回 避 力: 250+ + =250
移 動 力: 250+ + =250
速 度: 250+ + =250
クリティカル率:250+ + =250
集 中 力: 250+ + =250
異常抵抗力: 250+ + =250
人間という種族の特徴として全ステータスが平均的に上昇する傾向があるらしい。ジョブ特性として万能である又は器用貧乏であるとも言えるが、最初見た感想は『同じ数字ばかり並んでる』と『数字見ても良いのか悪いのか全然わからない』だった。説明文読んでステータス表や能力表を眺めると、生命力の合計値の250の5倍がヒットポイントになるとか腕力の合計値の250が武器攻撃力の基本値になるとかは、簡単に推測はできる。
が、分からないことが多すぎる。色々数値を入力してデータを集める必要があるな。未だ夜は始まったばかりで時間は未だ余裕はあるはずだ。出来ることは出来るだけやるべきである。これは、すべてのことにいえる真実だ。