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日本のファッションかぁ

 皇帝陛下が出ていったので、私はほっと一息つきます。

 今思い返してみると、私、皇帝陛下と普通にお話してましたね。途中までは敬語を使っていた記憶がありますが、最後の方はそれこそ友達とお話するような口調になっていたような……

 皇帝陛下が気にしている様子がなかったというのもありますが、目の前にいるのが一国の王様だってことをすっかり忘れてしまっていました。

 喋りすぎで喉渇いたな。まわりを見回してみましたが、飲み物はどこにも無さそうです。


「ミリナさーん」


「はい」


 いつの間にか姿が見えなくなってしまったので、少し大きめの声でミリナさんを呼んでみました。

 返事が返ってきたのは右の方、顔を向けてみると、ミリナさんが寝室だという部屋から出てきます。


「お呼びですか?」


「あの、何か飲み物ありませんか?」


「承りました。どのようなものがよろしいですか?」


 そういえば、ここの飲み物とか食べ物ってやっぱり違うのかな……とりあえず無難なものをお願いしよう。


「お茶ってありますか?お茶ならなんでもいいので……」


 種類とかたくさんあるだろうけど、考えません。聞いてもどうせわかりませんし。日本であっても、玉露とかダージリンとかカモミールとか、お洒落なものはそれくらいしか知りません。

 私の思いが通じたのか、ミリナさんはそれ以上聞くことなくお茶を用意するためにいなくなってしまいました。

 といってもすぐそこに見えるドアの部屋にですけど。

 すると、またドアをノックする音がしました。誰だろう、皇帝陛下が忘れ物でもしたとかかな。

 ミリナさんはこのノックに気付いていないようです。気付いたら真っ先に出ていきそうですからね。

 出ていった方がいいのか、ミリナさんを待つ方がいいのか、どうしよう。偉い人だったら失礼かな。友達感覚で皇帝陛下と喋ってた私が言えることではありませんが。

 行こうか行くまいか迷っていると、ドアが開く音がして、誰かが入ってきました。

 いいんですか!?ノックの意味がないじゃありませんか!

 さすがに気付いたのか、ミリナさんも出てきて来客の方をじっと見ました。


「ミリナ!お客様がいらしているんですって?美しい黒髪の女性だと聞きましたわ」


 そう言って部屋をキョロキョロと見回しているのは一人の可憐な少女、可憐って言葉がここまで似合う子はいないんじゃないかってくらい可憐な女の子。ゆるくウェーブのかかった茶髪に、吸い込まれそうな青い瞳、綺麗に整った顔立ち……うわぁ、完璧な美少女だよ。綺麗に結い上げられた髪とよく合う若草色のふわふわしたドレスに身を包んでいて、物語に出てくるお姫様のようです。

 そしてその謎の美少女と目が合いました。きらきら目を輝かせ、ゆったりとした上品な動作でこっちに近付いてきます。後ろからぞろぞろと四人のミリナさんに似た格好の女の人も一緒にやって来ました。


「女官達の間で噂になっていましたの。噂通りの綺麗な黒髪ですわ。あなたがお兄様のお客様ですね!?」


「お、お兄様?」


 お兄様のお客様って……この子はまさか……


「ティルリーラ様、このような時刻にどうかなさいましたか?」


「黒髪のお客様がいらしているんです。一目お会いしないと気になって今夜眠れそうにありませんもの」


 美少女はなにやら興奮した様子でミリナさんとお話しています。どこで口を挟めばいいんだろう。

 っていうかさっきから黒髪黒髪って、相当珍しいんですね、これ。ここの人が日本に行ったらどんな反応をするんだろう。

 思考が完全に脱線し、状況に付いていけていないことに気付いたミリナさんが私の方を向いて説明してくれました。


「ナナミ様、このお方は皇帝陛下の妹君の……」


「ティルリーラ・セフォーリアですわ。ナナミ様とおっしゃるのですね。お会いできて嬉しく思います」


 ミリナさんの説明を遮って美少女……ティルリーラ様が自己紹介をしてくれました。間近で見ると、本当に綺麗な女の子だな。王族って美男美女ばっかりなのかな。皇帝陛下といいさっきのゼルなんちゃら様といい、このティルリーラ様も、みなさんそれぞれ美しい容姿をお持ちだ。


「失礼ですがよく見させていただいてもよろしくて?本当に地毛で、真っ黒な髪なのですね。今まで思い付いた中にいくつか黒髪に似合うデザインがありますの。こんなにぴったりな方が現れるだなんて……」


 そう言って私の髪の毛をじっと見つめるティルリーラ様。あの、デザインってなんのことでしょう?


「ティルリーラ様はドレスのデザイン等を数多く産み出しているお方です。ナナミ様の噂をお聞きになって、ぜひお会いしたいと」


 ティルリーラ様のお付きの女の人が答えてくれました。

 ということは、ティルリーラ様はいわゆるファッションデザイナーですか?凄い人なんですね。


「想像と実際に見るのとではやはり違いますわ。新しい案が浮かびそうです……」


「お話の途中で失礼いたします。お茶でございます」


 ちょっと姿が見えないなと思っていたら、お茶を淹れてくれていたんですね。ありがとうございます。しっかり二杯用意されていますね。さすがです、ミリナさん。


「ありがとう、いただくわ」


 そう言ってティルリーラ様はお茶を啜ります。さすがお姫様、お茶を啜る動作ひとつとっても上品です。私には真似できませんね。

 ティルリーラ様に続いて、私もお茶を啜ります。色は茶色で、紅茶みたい……というか、味も紅茶。ほんのり甘いお花のような香りもしますね。美味しいです。


「ところで、あの、顔立ちといい髪といい、まるで異国のお方のようですが、どこの国のお方ですか?私はお兄様のように異国には詳しくありませんの」


 ……これは、普通に答えてもいいのかな。異世界から来ましたー、なんて初対面の人に言っても絶対に信じてもらえない気がする。

 私は助け船を求めてミリナさんの方を向きます。私の視線の意味を察知してくれたのか、ミリナさんはティルリーラ様の方を見ました。


「あまり知られていない国でございます。とても遠いところにあるそうですので、皇帝陛下でさえもご存知でなかったそうです」


「まあ、そうでしたの?お兄様でさえご存知でない国があるだなんて、でしたら衣服のデザインもこの国とは異なりますか?」


 興奮しているのがしっかり伝わってきます。皇帝陛下も興奮しているのはわかりやすかったですね。さすが兄と妹。

 にしても日本のファッションかぁ、私、そもそもここの人がどんなファッションなのかすら知らないんですが……


「あっ」


 思い出しました。そう言えばバートさんにいかがわしいと言われた私のファッション雑誌、あれってどこにあるんだろう。


「何か……?」


「あの、私がここに来たときに持っていた本って、どこにありますか?バートさんが持っていたのは知っているんですけど……」


 ミリナさんは少し考えて、それからハッと思い出したように言います。


「あの本でしたら、私がバート様より預かっておりますが……お見せしてもよろしいのですか?」


 ちょっと怪訝そうな顔、中身を見て、バートさんと同様にいかがわしとか思ったのかな。でもあれが日本の夏ファッションだし……


「少々お待ちください。持ってまいります」


 少しためらいながらも、ミリナさんはファッション雑誌を取りに行ってくれました。


私はファッションセンス皆無ですよー(苦笑)


何かおかしなことを言っていたら教えてくださると嬉しいです。

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