皇帝陛下のお風呂から
あー、いいお風呂だった。
仕事の疲れを癒し、身も心も綺麗にしてくれるお風呂は、私のストレス解消の場。
保湿効果のある入浴剤を入れてあったから、お肌もツルツル、いい香り。
幸せだなー、とか思いながら階段を登って、自分の部屋に到着。
電気を付けようとスイッチを探す。
あれ……ない?
慣れてるからと、電気を付けずに階段を登って来たから周りは真っ暗。手探りでスイッチを探していたんだけど……
ホントにどこにも見当たらない!部屋のドアの横にあるはずだよね!普通はそこにあるよね!
ドアの位置を確かめようと、さっき入ってきたばかりの、ドアがあるはずのところに手を伸ばす。
ドアが……ない。スイッチどころか、ドアまで消えた?
いや、落ち着こう。きっとここは部屋の中、少し中の方まで来てしまったんだ。このまま前に進んでいけば壁がある。
物に躓かないようにゆっくりと進む。そうだよ、私の部屋の床は散らばってるよっ!クッションとか、脱ぎ散らした服とかでっ!
にしても、なかなか壁に到達しない。っていうかなんか、蒸し暑い感じがしてきた。
一歩一歩進んでいくたびに蒸し暑さが増していく。ていうか、さっきから全然壁に着かないんだけど。
コツンとつま先に何かが触れた。ようやく壁に着いたのかな……そう思ったんだけど、こんなに私の部屋って蒸し暑いっけ?そんなはずはないよね。
とりあえず壁に手を当ててみようと手を伸ばした。
あれれ?何もない。それで、ここが一番蒸し暑い。下から湯気が出てるような感じ?
その時、突然パッと周りが明るくなった。そして……
「誰だっ!?」
後ろから誰かが言った。
誰もなにも、ここは私の家だ!
そう思って後ろを振り向く。そして……
「キャァァ!」
気付いたら叫んでいた。
だって、そこにいたのは数人の男性。それだけならまだましだった。男性のうち一人が……裸だったのだ。
慌てて目を逸らすと、さっきぶつかった何かが目に入ってきた。
そこにあったのは、バカみたいにでっかいお風呂。どこの温泉だってくらいでっかいお風呂。
「うわああっ!」
再び叫び声をあげてしまった。
バランスを崩してしまって、そのバカみたいにでっかいお風呂に頭から突っ込んでしまったからだ。
息が……苦しいっ!
息ができない。お湯が口と鼻、両方から入り込んできて鼻がツーンとするってレベルの話じゃないよっ!
しかもこのお風呂、でっかいだけじゃなくて深いっ!
必死の思いでもがくけど、まったく状況は変わらない……
だんだん意識が遠退いていくのを感じながら、私は二十代にして、お風呂で溺れるという体験をした。
初心者ですが、よろしくお願いします。