災難再び
短くなってしまいました。
文章力のなさに、とほほです。
次の日。
今度は猫が降ってきた。
あ、違うか。降ってきたみたいに襲ってきた?
今朝も永山くんは家の前で待ち構えていた。
「おはよー、音々!」
無駄に爽やかな笑顔だよ。
朝から気力減らすのも嫌なので、
「おはよ。」とだけ返してスタスタ歩き出す私。
朝のテンション、低いのよ。
そんなテンションの低い私の横を、気にすることなくついてくる彼。
駅までの道も何事もなく。
電車の中でも特になく。
電車を降りて学校に向かう途中で、不意に右手の甲に痛みが走った。
「???んあ?」
見てみると、引っ掻き傷。
は?なんで??
あっ、かまいたちとか?
つい、妄想が口に出てしまった。
「かっ、かまいたちぃ??」
妄想を口走った私を呆れた目で見ながら、
「ばーか。かまいたちなんているわけねーだろ。猫だよ、猫。ほら。」
と、彼は前方3mほどを指差す。
あ、ほんとだ。
真っ赤な目を爛々と輝かせているその猫は、なぜか「フーッ!!」と威嚇している。
ええ~??猫に恨まれるようなことしてないよぉ。
あ、コウモリと猫は犬猿の仲とか?そんなの聞いたことないな。
「なんでぇ?って、どこから降ってきた??」
「さぁ?つーか、あれはフツーの猫じゃねーけどな。」
「へ?フツーの猫じゃない?」
フツーじゃない…?ン十万もするようなセレブ猫…じゃないよね、はい、ごめんなさい。
「化け猫?」
いるのかよ?って、自分でつっこむわ。
「いや、使い魔だな。どっかの高等魔の。」
「つ、使い魔?」
なんすか、それ。またワカラナイ単語だけど、もういい。めんどくさいものっていう分類で間違いないと思う。
「そ。これ以上なんかされるのもこまるし、どっかに行ってもらおうか。」
今は登校時間ど真ん中。
つまりはうちの学校の生徒がうようよいるのよね。
そんなとこでファンタジーなことやってたら悪目立ちしすぎるわっ!
ただでさえ流れを止めてて、ちろちろ見られてるし。
すると彼は、昨日と同じように猫に向かってさりげなく手を翳した。
言葉は発しなかったけどね。
すると使い魔の猫は、すっと消えてしまった。
もう、どこに消えたとか聞くまい。めんどくさいことはどしどしスルーの方向で。
「さ、もう大丈夫だから、とりあえず保健室に行こうか。」
にこーっと笑う彼。
「は?なんで?」
きょとんとする私。教室の間違いじゃなくて?
「傷の手当じゃねーか。ほれ、行くぞ。」
そういうとおもむろに私の手を握って、学校へと急ぎだした。
「や、もう大丈夫だってば。血だって止まってるしー!」
じたばたと暴れる私をものともせず、ずんずん保健室に入っていく永山くん。
「消毒くらいしとかねーとな。つーか、オレと一緒にいたのに怪我させてごめん。」
なんて、殊勝にあやまちゃったりなんかして、どうしたの?
ちょっとしゅんとした表情に『キュン』ってなってしまったじゃないの!
いかんいかん。
傷のある右手を取ると、おもむろに「ぺろっ☆」と舐められた。
はぁぁ?舐めたぁ??
「んぎゃ~~~!!舐めたわねっ!?」
「うわ~!乾いた血でもめっちゃ美味い!なにこれー!」
わたわたしている私とは正反対に、血のうま味(?!)に感動した彼は、目をキラキラさせている。
おい、さっきの『キュン』を返してくれ。