捜査編
二つの部屋で起きた密室殺人、鍵はどちらも押入れには隠されていた。同じ手口?なら、犯人は同一犯なのか・・・
とにかく遺体を調べて見ないと・・・
『まだ、温かい、殺されて間もないって事か・・・』
でも、それが出来るのってこの部屋に泊まっている南さんぐらいしか・・・。まてよ、この部屋布団が敷いてあるんだ、押入れに隠れる事だって・・・
とにかく、この事を七海達にも伝えた方がよさそうだな。
そして、事情を知った全員が部屋を確認した。
「ねぇ、唯一。」と七海がこっそり声を掛けた。
「なに?」
「なんか変だと思わない?」
「変?なにが?」
「密室の仕方。どっちも鍵は押入れにあったのに片一方は鍵じゃなくてチェーンだった。何故?」
「時間がなかったんじゃないかなぁ?片一方の死体は発見時かなり冷えてたけど、もう一方は温かかった。」
「つまり、殺して間もなかったって事だよね。でも・・・わかんなくなってきた。」
「こういう時は人に話を聞くのがいいと思う。」と唯が言った。
そして、僕達は証言をとることにした。
その時間帯のアリバイはこんな感じだった。
大蔵さんは
「俺はその時間寝ていたよ。明日も撮影があるから体力を養っておきたくて」
つまりアリバイなし。南さんも同じ事を言っていた。
また、従業員は女将も含め仕事をしていたと言っている。こうなるとアリバイがない二人が怪しいのだが・・・
さて、困った。こういう時はもう一度現場に戻るのがいいらしいのだが・・・
とりあえず、帝さんが殺された部屋に戻ってきた。部屋はお酒の缶やビンで散乱している。押入れは布団が詰まっていて人の隠れるスペースはなさそうだ。鍵はこの手前に転がっていたんだよなぁ。そして、窓は全て鍵が掛かっている。
「唯一!」
「七海?どうした?」
「外も見てきたけど、昨日の雨で土がぬかるんでて直ぐ足跡がつくんだけど、それらしい足跡は一つもなかったよ。」
「そっか・・・って事は、犯人はドアから入ってドアから出た事になる。」
「そうだね。窓も閉まってるし。鍵もちゃんと掛かってる。」と唯が言う。
「で?何か分かりそうかい探偵君?」と七海が言う。
「そうだな・・・今のところは何も・・・密室のトリックは解けてないよ。」
後見るべきは、チェーンの掛かっていた扉だな・・・。床にはチェーンのカケラと思われる金属片が飛んでいる。此処が切断面・・・
「ん?これって・・・そうか、そういうことか!」
「唯一何か分かったの?」
「いや確証がないからまだ黙っておくよ。」
「そう、探偵さんの名推理に期待してるわね。」と七海は不適に笑った。