ある国の物語2
唯一君が書いた物語の続きです。
少年が家へと帰ると少年の父親が帰宅していた。何故だか少し不機嫌そうにしている。少年の父親は漁師で町に魚や貝を売りに言っていたのだ。
「あぁ、帰っていたのか。」
「どうしたの?あんまり売れなかったの?」
「いや、売れなかったんじゃない。売れたんだが高い税金を取られてほとんど儲けが無いんだ。これも、全部この国の王様が悪いせいだ!」
「王様は悪い人なの?」
「あぁ、高い税金をかけて自分の富を増やしている。そして、得をするのはいつも貴族や上流階級の人間だけだ。く!」
「・・・」
少年はそんな怒れる父親の側に居られなくなってもう一度砂浜へと出かけた。
「ノエル・・・」
貝殻を見つめながら少女の事を思う。とても可愛らしい少女だったと。また、会えると信じて。そして、目を閉じた。浮かんできたのは腕を伸ばして助けを求めたノエルの顔だった。
「・・・探しに行こう。」
きっと貴族街にいるだろうと。そう思った少年は家に戻りローブを着て飛び出した。
「おい、何処に行く!」と少年の父親が聞いてきた
「大切な人の所さ。」
そう言って少年は走り出した。この町はいくつかの階層でできている。上に行けば行くほど上流階級の人間が住んでいる。そして、上流階級の上が貴族と呼ばれその上が王族と呼ばれる。上流階級の人間達は下層に住む人間達を歓迎してはいない。
「こんなところに貧乏人が居るぞ!」と町の子供が少年を指していった。
「帰れよ!ここはお前が来るところじゃないんだ!」と散々な言われようだ。だが、少年はそんな事を気にせず少女を探す。
『!』
石が飛んできた。どうやら子供が投げたらしい。少年は痛む額を押さえて走り出した。そして、人気の無い路地に逃げ込んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
息を荒げてその場に座り込む。額からは血が流れ出していた。
「ック!」
少年の意識は薄れ視界が霞んで、少年は倒れた。
目が覚めると少年は見知らぬ場所にいた。今までに寝たことの無い上等なふかふかのベッド、軟らかい香り、きれいな家。そして、何かいい香りがする。
「あら、目が覚めたのね。」
声のする方に顔を向けると見知らぬ女性が立っていた。きれいなドレスを着た髪の長い女性。暖かな笑みを少年へと向けている。
「ここは・・・」
「ここは私の家、アナタ路地裏で倒れていたのよ。額の傷は手当てしておいたから大丈夫他と思うけど。」
少年の額には包帯が巻きつけられていた。
「あ、ありがとうございます。でも、なんで僕なんか、アナタは貴族なのに。」
「貴族・・・ね。確かに私は貴族と呼ばれる階級に居るわ。でも、倒れている人を見捨てられるほど冷徹ではないの。」
「・・・貴族ってみんな僕達、庶民の事を人間として扱ってないと思ってました。」
「そうね、大部分の貴族はそうね。でも、覚えていて貴族がみんな庶民を嫌っているわけじゃないことを。」
「・・・はい。」
「じゃあ、今度はこちらが質問するわ。なんで、こんなところに来たの?」
「ある人を探してて。」
「ある人?」
「見たこと無いですか?この、貝殻のペンダントをつけた女の子を。」
「・・・いえ、見かけてないわね。どんな格好なの?」
「あの時は・・・確か、黄色のドレス、髪型は銀色の長い髪でした。」
「それって・・・いえ、そんなはずないわね。」
「知ってるんですか!?」
「いえ、ただ、それに似てる子を私は知っているわ。でも、違うと思う。」
「どうして違うって?」
「だって・・・“王女”だから。」
パタン(本を閉じる音)
「今日はここまで。」と僕は言った。
「えぇ、此処からが面白くなりそうなのに。」と七海が頬を膨らませる。
「うーん、続きがきになるなぁ。でも、唯一君が本を閉じたなら今日は此処までだね。それじゃあ、お休み。」と唯が言う。
では、続きはまたいつか
本編とはまったく関係ありません。でも、感想や質問、色々まっています