ある国の物語1
唯一君が書いた物語。それは・・・
「はぁはぁ」
もっと、遠くへ。此処ではない何処かへ。
少年はその日、海で一人の少女と遊んでいた。その子は何処から来たのかわからない。でも、少年なんかには買えないとても上等な服を着ていた。
「ねぇ、貴方、名前は?」と女の子は聞いてきた。
「人に名前を聞くときは自分から名乗るんだよ。」
「ふ、ふふふ、そんな事言われたの初めて。私の名前は・・・そうね。貴方がつけて、私の名前を。」
「僕が?」
「そう。私にぴったりの名前をね。」
「う~ん。」
少年は悩んで少女に一つの名前をつけました。
「ノエル。うん、君の名前はノエル。」
「確か、旧聖語で妹って意味ね。」
「そうなんだ。僕は学校に行けないからわからないや。」
「そう。それで、貴方の名前は?」
「ノワール。」
「黒って意味よね。」
「そうなんだ。父さんからもらった大事な名前なんだ。」と少年は笑顔で言った。
「・・・・」
少女は少年の顔を見つめている。
「どうしたの?さっきから僕の顔を見て。」
「貴方、私に似てる。髪を伸ばしてドレスを着たら私みたい。」
「そうかな?」
「そうよ。ねぇ、また私と遊んでくれる?」
「うん、いいよ。だってノエルは僕の大事な妹だから。」
「妹・・・ね。それでもいいわ。なら、兄妹の契りにこの貝を使いましょう。」
少女は近くに落ちていた薄紅色の貝殻を二つに割り穴を開けて
「紐は・・・。」
「これ使う?釣りで使ってる糸だけど。」と少年は糸を差し出す。
「なら、それでいいわ。」
貝に糸を通して首飾りにした。そして、少女と少年の首に一つずつ首飾りをつけた。
「はい、これが兄妹の証。これがあれば二人は何処に居ても一緒。貝は二つで一つ。これで大丈夫。二人はまた会えるわ。」
そこに鎧を着た兵士が現れた。
「こんなところに居ましたか。さぁ、帰りますぞ。」
「いや、離して。」
「我がままを言わないでください」
「離して!ノワール!ノワール!」
だが、少年に少女を助けるだけの力は無く兵士は無理やり少女を連れ去った。
なんともいえない脱力感と自分の無力さが少年を襲った。
パタン(本を閉じる音)
「今日はここまで。」と僕は言った。
「えぇ、此処からが面白くなりそうなのに。」と七海が頬を膨らませる。
「うーん、続きがきになるなぁ。でも、唯一君が本を閉じたなら今日は此処までだね。それじゃあ、お休み。」と唯が言う。
では、続きはまたいつか。
今回は唯一が書いたお話です。いかがでしたか?このお話の続きはまたいつか。
感想や激励、質問などをお待ちしております。
では、失礼いたします。