「役立たずのニセモノ雑用聖女」と追放された私、ダンジョンを【真・浄化(ラグジュアリー神殿)】に改造したら、美形神獣王にめちゃくちゃ溺愛されちゃいました
「おい、ルシア!
役立たずのニセモノ雑用聖女め、貴様を我が『天光の騎士団』から追放する!」
最難関とされる『黒蛇の呪いダンジョン』の最深部。
どす黒い瘴気と不快な臭いが漂う冷たい石畳の上で、勇者ディルックが冷酷に言い放った。
後ろに控えるホンモノ聖女や魔導師たちも、クスクスと意地の悪い笑みを浮かべて、私を見下している。
「ディルック、待ってください。
ここは呪いと瘴気の渦巻く場所です。
私の結界がなくなれば、あなたたちも――」
「派手な攻撃魔法も使えず、ただ『臭い消し』や『汚れ落とし』しかできない地味な女が何を言う!
最高峰の治癒術士を仲間に迎えるのだ。お前のような裏方など不要だ!」
ディルックは私が背負っていた薬草リュックを蹴り飛ばすと、あざ笑いながら転移スクロールを掲げた。
「魔物に喰われて、惨めに果てるがいい!」
眩い光とともに、勇者たちは姿を消した。
「……はぁ。人の忠告も聞かないなんて、本当に困った人たち」
ポツンと一人取り残された私は、やれやれと深く溜め息をついた。
――彼らは大きな勘違いをしている。
私の固有スキルは、害ある呪いや瘴気、毒といった悪しき魔素の分子構造を解体し、最高品質の神聖エネルギー・芳香・極上の癒やし効果へと【反転昇華】させる、伝説級の【真・浄化】スキルなのだ。
「まあいいわ。せっかく自由になれたんだもの。まずは居心地の良いお部屋を作りましょう」
足元に広がる毒沼と、周囲を覆う禍々しい黒霧にそっと手をかざした。
スキル発動――【真・浄化(ラグジュアリー神殿)】
『ポロン……♪』と、頭の中に心地よい鈴の音が響く。
瞬間、毒沼は虹色にキラキラと輝く「美肌と回復のヒーリング・スパ」へと塗り替えられ、瘴気は甘く気品あるローズとラベンダーの「極上極楽アロマ」へと変化した。
「よし、白磁の大理石で壁を作って、シルクのようなフカフカのベッドを置いて……」
数時間後。
殺伐としていた呪いのダンジョン最深部は、眩い光と花の香りに包まれた『超高級スパリゾート神殿』へと大変貌を遂げていた。
「ん〜っ、至福の空間! スパに入ってお肌もすべすべだし、最高ね」
極上のアロマティーを手に寛いでいると、神殿の奥から「くぅん……」と弱々しい鳴き声が聞こえた。
見れば、強力な呪いに侵され、毛並みがボロボロになった「黒い子狐」が倒れていたのだ。
「まあ、可哀想に……! もう大丈夫ですよ」
やさしく抱き上げ、【真・浄化】の温かな光で包み込んであげる。
すると、子狐の身体から黒い泥のような呪いがスルスルと抜け落ちていった。
「きゅ、きゅ〜ん……っ」
呪いが解けた子狐は、雪のように真っ白なモフモフ毛並みを取り戻し、気持ちよさそうにお腹を見せて、擦り寄ってきた。
「ふふ、可愛い。ずっとここにいていいのよ?」
頭を撫でてあげると、子狐はウットリと目を細めた。
――だが、直後。
まばゆい光が子狐を包み込み、ぐんぐんと背が伸びていく。
「え……!?」
そこにいたのは――流れるような銀髪に神秘的なオッドアイを持つ、息をのむほど美しい絶世の美青年。
「――永きにわたる呪いの封印を解いてくれたこと、心より感謝する。
愛しき救世主よ」
青年は私を抱き寄せると、手の甲に甘い誓いのキスを落とした。
なんと彼は、ダンジョンの主であり、伝説と称される神獣王『銀狼皇ヴェルザ』様だったのだ。
「苦しみから救い、心地よい安らぎをくれたのは貴女が初めてだ。
……一生、私の側で甘やかされてはくれないだろうか?」
「は、はい……!? (えええっ!?)」
あまりの展開に顔を真っ赤にする私。
それ以来、元の小狐の姿に戻っては膝の上で甘え、人間の姿になっては甘い言葉で私を溺愛するヴェルザ様との、夢のような極楽スローライフが始まったのだった。
一方――。
「ぜぇ……ぜぇ……! なぜこんなに身体が重いんだ……!?」
勇者ディルックたちは地獄を見ていた。
浄化役を失った『天光の騎士団』は、ダンジョンの瘴気をダイレクトに浴び続け、肌は荒れ果て、装備はボロボロだった。
「くそっ! どんな呪いも癒やす奇跡の神殿ができたと聞く!
そこへ行けば……!」
みじめな姿で、命からがら扉を開けた勇者たち。
目に飛び込んできたのは、眩い白磁のロビーで、美形青年に抱きすくめられながら優雅にティータイムを楽しむ私の姿だった。
「ル、ルシア……!? なぜお前が……いや、ちょうどいい!
今すぐ治癒の湯とやらで、俺たちの呪いを解け!」
「そうだわ! 早くしなさいよ!」
ディルックたちが、狂ったように詰め寄ってくる。
私は困ったように首を傾げた。
「おあいにく様。当スパ神殿は『心の清らかな方』限定となっておりますの。
汚らわしい邪心と呪いをお持ち込みの方は立ち入り禁止です」
「な、なにぃ!? 貴様、元仲間の俺たちを見捨てる気か! 無料で治療しろ!」
ギャーギャーと騒ぎ立てるディルックたち。
すると、ヴェルザ様の瞳が、冷やややかに細められた。
「……我が愛しき番であり、神殿の主であるルシアに無礼を働く不審者どもが。……消えよ」
ヴェルザ様が軽く指を鳴らした瞬間、恐ろしいほどの神聖な嵐が吹き荒れた。
「ひ、ひぃぃぃぃっ!? 神獣王――!?」
勇者たちは悲鳴を上げて、外へと吹き飛ばされた。
着ていた呪い装備はすべて浄化・消滅し、すっぽんぽんの無一文で転がり出ることになった。
「……ふう、お騒がせいたしました」
「気にすることはないよ、ルシア」
ヴェルザ様は愛おしそうに私を姫抱っこすると、優しく微笑んだ。
「さあ、あんな愚か者どものことは忘れて、一緒にアロマスパに入ろう。
今夜はたっぷり、君を甘やかさせておくれ」
「っ……! もう、ヴェルザ様ったら……本当にエッチなんだから」
追放された雑用聖女は、最高の癒やし空間と至高のパートナーを手に入れ、今日もダンジョン最深部で甘く幸せなスローライフを満喫するのでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
追放された雑用聖女ルシアが、極上アロマスパを作り上げ、美形神獣王に甘く溺愛されるスカッとスローライフをお届けしました。
「もふもふに癒やされた!」「ヴェルザ様がかっこいい!」と思っていただけましたら、作品下部にある【★評価】や【ブックマーク登録】で応援していただけると、とても励みになります!
どうぞよろしくお願いいたします!




