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13話

 



 正体を隠す用の装備について、出来ればお願いしているガルーダ装備に組み込めないか、付与枠が足りなければ別で仮面を作れないかとアルスターさんに相談すると絶対に大丈夫だと言われた。もともと帝国側の利が大きすぎることで一部で懸念する声があったらしい。むしろ追加の要求はありがたいのだと。




 そして翌日、私はギルドに出向いた。なんだか分からないがランクアップしたのでギルドカードの更新をしなければならない。



「こんにちは。ギルドカードの更新にきました。」



「あら、わざわざありがとう。今日はお休みだって言ってたのに、もしかして昨日お屋敷で聞いたの?」



「はい。たまたまジークさんに会って更新しにギルドに来るようにって。」



 一月もすれば領主のお屋敷に泊まってることも結構普通に知られている。学園にいくミスティの護衛になるので、今の内から一緒に生活していると言ってある。



「じゃあギルドカード預かるわね。ご飯でも食べながら待っててちょうだい。」



「はい。お願いします。」



 受付にギルドカードを預けてテーブルに向かう。そこでたまたま食事をしていたヴァイスさんを見つけた。



「あ、ヴァイスさん。こないだぶりです。」



「おう。こないだは助かったぜ。」



 ヴァイスさんとはあれからちょくちょく一緒にダンジョンに行っていた。私は冒険者としての経験というものが一切なかったのでいろいろ教わっているのだ。


 代わりに私はヴァイスさんの修行を手伝っている。私に初めて会ったあの日から、自分の力の無さを実感して改めて修行を始めたらしい。



 同じテーブルに座って食事を注文する。



「今日はどうしたよ。お前が昼からギルドに来るのは初めてじゃないか?」



「ランクBになったのでギルドカードの更新にきました。終わるまで待ち時間です。」



「まじかよ…。早すぎ、いや実力は足りてるし実績はもしかしてこの肉か…?」



 ヴァイスさんは食べている肉を指差す。私は自分で炙るより人にちゃんと調理してもらったほうが美味しいということに気付いてから、ギルドにオーク肉を納品していた。高品質のオーク肉を安く大量に納品するかわりに、ギルドで食事をする時にいろいろと優先してもらえるようになっている。



「それと他のCランクの人からさっさと昇級させてくれっていう話があったみたいです。」



「あぁ、まあお前強すぎるもんな。しかも目立つ。お前がCランクの代表みたいになったら困るってのはわかる話だな。」



 正直なところまだ経験不足だとは思うけど、冒険者は強さが一番の基準になっているということだろう。




 食事をしながらヴァイスさんと話していると突然ぞろぞろと人が入ってきた。十人くらいの男達だ。この時間に人がたくさん来るのは珍しい。しかも一人はどうも冒険者ではないようだ。



「ここにリスティアという冒険者が所属しているな!出してもらおうか!」



 ギルドで食事をしていた冒険者たちの視線が私に集まる。周りを囲んでいる冒険者たちはともかく、私を出せと叫んだのは全然知らない人だけど私になんの用だろうか。



「んぐ、私になにか用事ですか?」



 ご飯を食べながら聞く。食事は大抵のことより優先である。



「ふん、お前がリスティアか。お前が持っている剣は私のところから盗まれた魔剣だ!返してもらうぞ!」



 私の使ってる剣はランドさんの作った重魔鉄の剣だけだが、何を言っているのだろう。魔剣というのはダンジョンで見つかった強力な付与がかかった武器のことだったはずだけど。首を傾げていると、男を守るように囲んでいた冒険者も声を上げる。



「おいおいまさかしらばっくれるつもりか?お前みたいなガキがCランクになれたのはその剣の力だろうが!俺達は見てたぞ!簡単にオークの首を飛ばせるその剣があったら誰だって強くなれるだろうよ!」



 わかってはいたけどやっぱり冒険者たちは時々私をつけてた人たちだ。悪意はあったけど手を出してこないから放置してたやつら。面倒くさいけどギルドで叩き潰しちゃうわけにもいかないかな。



「そうですね…。そもそも私の剣はこの街の工房で作っていただいたものですけど、とりあえずその盗まれたっていう魔剣の詳細を教えていただけます?」



「オークの首を簡単に飛ばすような剣を作ってもらったとは下手な言い訳だな。」



 男は私を睨んで凄む。うん、普通にしてるヴァイスさんのほうが怖いと思う。なんの反応もしない私に舌打ちをして説明を始めた。



「私が盗まれた魔剣は持つものに力を与え、非常に優れた切れ味を持っていた。見た目は当然お前の持っている剣と同じだ。」



「ふむ、なるほど。その剣が私の持っているこれだと。」



 私は剣帯から鞘ごと剣を外す。そして片手でくるりと回して見せる。



「他には特にないんですか?魔剣について、言っておくべき特徴は。」



「…ないな。お前の持つ剣との一致、そしてお前のようなガキがCランクになっているという事実だけで十分な証拠だ!さっさと剣をよこせ!」



 私がなにか狙ってるのを察して今の言い分だけでゴリ押しにきた。まあ、他にないって言っちゃったらもうアウトだけど。



「そうですか。ではこの剣とその魔剣は別物ですね。」



 そう言って私は男に剣を投げ渡す。男は剣を掴もうとして取り落とし、剣はそのまま大きな音をたてて男の足に落ちた。



「ああああ!あしがぁあああ!」



「な、てめえ何しやがっ…うおあ!」



 私は転がって足を押さえる男を掴んで冒険者の方に投げつけて剣を回収する。男と冒険者の一人がぶつかって倒れる。



「私の剣が特別だと目をつけて奪おうとしたんでしょうけど、意味ないですよ。この剣はただひたすらに重く頑丈なだけです。」



 剣を下ろして鞘の先で床を突く。ゴン、と小さな剣とは思えない音が鳴った。



「私は力が強いので、普通の武器だと軽すぎて振りづらいんですよ。だから出来る限り重い武器を作ってもらったんです。持ち上げるくらいは出来る人もいるでしょうけど、ちゃんと武器として使えるのは私だけです。」



 ギルドで食事をしていた冒険者たちも驚いて目を見開いている。わざわざ説明をしたことはなかったしね。



「それで、どうします?私としてはギルドを血まみれにするのは気が引けるので、大人しく捕まってくれると助かるんですが。」



「クソ、ガキがあ!」



 威圧すると冒険者の一人が剣を抜いて切りかかってきた。普通に躱して腕を掴んで床に叩きつける。



「おガッ」



 白目を剥いて気絶したことを確認して残りの男たちに目を向ける。叩きつける時に掴んだ腕から嫌な音がしたが、まあ気にするほどの事ではないだろう。



「馬鹿ですね。さっきまでならただ脅して武器を奪おうとしてだけで済んでたのに。」



 向こうから手を出してきたことだし全員適当に殴って気絶させるか、と一歩踏み出したところで勢い良くギルドの扉が開いた。



「そこまでだ!全員動くな!」



「えっと、衛兵を呼んできました。」



 衛兵の叫びとその後ろから顔を出したギルドの受付さんの声に、ギルド内は静まり返った。





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