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12話

 


「ただいま戻りました。これ、依頼の薬草です。」



 持っていった袋一杯に採取した薬草を取り出し、冒険者ギルドで報告する。初めてのダンジョン探索は無事に成功だ。



「はい、確認しました。こちら報酬です。…その、そちらの大袋はいったい?」



「こっちはオークのお肉です。帰ってから食べます。」



 中層の洞窟にはオークがいた。それのドロップが肉だったのだ。しかも血抜きが完璧でとてもおいしい。リーチの短い剣で戦う練習もしつつ狩りまくり大袋いっぱいのお肉を持ち帰った。今の私を後ろから見たら動く大袋だと思う。



「そ、そうですか。それとヴァイスさんからあなたが賊に襲われて返り討ちにしたっていう話を聞いているのだけど…。」



「賊…?ああ、あの追い剥ぎですか。装備と金をよこせとか言って襲ってきたので殺しちゃいましたけど、良くなかったですか?」



 生け捕りにしたほうが良かったりしただろうか。



「いえ、対応に問題はないわよ。ヴァイスさんから報告があったから一応確認したっていうだけだから。」



「それなら良かったです。それじゃあ。」



 会釈をして受付を離れる。そしてギルドで食事をしているヴァイスさんのところへ向かった。



「ヴァイスさん、あの追い剥ぎのこと報告してくれてありがとうございます。私すっかり忘れてました。」



「おう、普通あんなことがあったら忘れんと思うんだが…。まあ俺も居合わせたしな。ああいう事があったら相手のギルドカードをギルドに渡して報告しといた方がいいぞ。」



「わかりました。次があったらそうします。あ、これお礼です。」



 袋からオーク肉を取り出して渡す。大量に取ってきたし、おすそ分けだ。私の炎で炙っただけで美味しいとてもいいお肉である。



「その袋の中身肉かよ。なんで受付で売らねえのかと思ったら…。しかもめちゃくちゃいい肉じゃねえか。すげえな、最高品質なんじゃねえの?」



 普通にダンジョンで倒したオークのドロップなのだが品質とかあるのだろうか。私が拾ったお肉に違いがあったようには見えなかったが。首を傾げているとヴァイスさんが説明してくれた。



「ダンジョンのドロップ品は死体の状態で質が変わるのがあるんだよ。毛皮とか肉とかな。これオーク肉だろ?どんな倒し方してんだ?」



「ちょっとジャンプして首を飛ばしてます。」



 死体の状態で変わるのか。納得である。剣に慣れるまでも多少時間をかけてただけで、私は全部一撃で首を飛ばしている。もともと森で狩るときになるべくお肉を傷つけないようにしていた時の習慣みたいなものだったがそれが良かったらしい。森にいたときは剣なんて持ってなかったから拳とか蹴りとかで頭を吹き飛ばしていた、が正しいが。



「予想はしてたが真似出来ねえってことはわかった。ありがとよ。しばらく美味い飯が食えそうだ。」



「いえいえ、親切にしてもらったお礼ですから。じゃあまた。」



 ヴァイスさんと別れてギルドを出る。このお肉がそんなに良いものなら装備のお礼でランドさんの工房とお世話になってるハイゼン家のお屋敷にも差し入れよう。





 §




 ギルドで依頼を受けてダンジョンに潜ってはオークのお肉を狩って帰ってくる。たまに休みをいれてミスティとお茶をしたり本を読む。そんな感じで数週間が経ったころ、お屋敷にギルドマスターのジークさんが私を訪ねてやってきた。



「久しぶりだなリスティア。ようやくお前のSランクのカードが届いたんで渡しにきたぞ。」



「ありがとうございます。呼ばれれば私から行きましたよ?」



 そういえばあれから一月と少し経っている。まさかジークさんから渡しに来るとは思ってなかったけど。



「俺がお前を呼び出すとどうしても目立つからな。理由付けも面倒だ。ここで渡すなら領主への報告ってことに出来るんで楽なんだ。ほれ、これがカードだ。」



「なるほど。たしかにそうですね。これがSランクのカードですか。」



 受け取ったカードはなにも書かれていない真っ黒なカードだ。



「お前の魔力を流したら完成するんだ。やってみな。」



 言われてカードに魔力を込める。かなりの勢いで魔力が吸い込まれていって、少しずつカードが白くなっていく。とんでもない大食いだ。


 カードが完全に白く染まったところで魔力が吸われなくなった。やっと完成したようだ。カードを見ると、Cランクのカードと同じように名前と年齢、ランクが表示されている。そして、大きく違うところが一つ。



「これは…私、ですか?」



 カードには角の生えた女の子、たぶん私が描かれている。自分の顔をちゃんと見たことはないけど私のカードなんだし間違ってないだろう。



「すげえだろ。Sランクのカードは本部にある大昔の勇者が作ったとかいう魔導具で作る特別製でな。どうやってんだかわからんが持ち主の顔が表示されるんだ。それから魔武器と同じ感覚で出したり消したりできるんだと。裏面にはランクだけ書いてあるから、正体隠してSランクとして動くときはそっちだけ見せてさっさと消すことになってる。」



 ジークさんの言葉に試しにカードを消してみる。たしかに魔武器と同じように、溶けるように消えていった。取り出すのも問題なかった。本当にどうなってるんだろう。



「ギルドからの依頼もカードに届く、らしい。届いたらわかるみたいなんだが、これは実際持ってるやつじゃなきゃわからんからな。消しててもちゃんと分かるんだと。後でギルドから試しに送ってみるから確認してくれ。」



「はあ、わかりました。」



 カードを出したり消したりしながら返事をする。どれだけ試してもどうなってるのかはわからない。不思議だ。



「カードについてはそんぐらいだな。まあSランクのカードを使うことはほぼ無いだろうが、依頼を受けるときに備えて何かしら正体を隠したまま活動出来る装備は持っといたほうが良いな。俺が知ってるやつは隠蔽と鑑定妨害に認識阻害とかの付与がついた仮面を持ってたぞ。」



「わかりました。考えておきます。」



 まだ要求が間に合いそうならガルーダの服に組み込めないだろうか。出来上がったら基本ガルーダの服で過ごすだろうし、なによりSランクになったきっかけだし。付与枠の関係で組み込むのが無理なら仮面をガルーダ素材でお願いしたい。何日か前に帝都まで無事運ばれたと聞かされたけど間に合うといいな。



 その後ジークさんはアルスターさんと少し話をして帰っていった。そして本を読んでいる時、カードに確認のメッセージが届いた。なんとも奇妙だが、たしかにカードになにか届いていることが理解できる。取り出したカードから浮かび上がった半透明な謎の板に文章が書かれている。



『言い忘れていたがお前の表向きのランクをBに上げた。オークを狩ってるところを見たやつからCランクなのはおかしいだろって話が複数上がってな。明日カードの更新に来い。』



 よく知らないけどランクアップってそんな感じでいいんだろうか。




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