6、聖女が清楚と誰が決めた
――王国では、魔族からの書簡が届いていた。
玉座の間に駆け込んだ伝令が、黒い封蝋の封筒を掲げる。王は嫌な予感を押し殺し、ゆっくりと封を切った。
「……なんと」
一読した王の顔色がみるみる変わる。即座に周囲へ命じた。
「いかん。重臣をすべて集めよ。緊急軍議だ!この場で良い!」
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玉座の間では、怒号と諦め、または魔族の意図の検証など様々な声が飛び交い全くまとまる気配がない。
そこへ、監視塔からの伝令が飛び込んだ。
『報告! ナイトブルーム国方面からこちらに向かって飛行する影を多数確認! 魔族軍だと思われる集団が急速に接近しています!』
「なんということだ……『返答せよ』としておきながら、もう来たのか。考える暇も与えぬつもりか!」
王は玉座に深く腰掛けた。肘掛けに肘をつき、片方の拳に頭を預け、しばし沈黙したのち
「……聖女の、あの馬鹿げた勇者召喚の研究は、今どうなっておる」
王はそっと天井を仰いだ。あの「テスト」と称した実験で、ここがきれいに吹き飛び、太陽の光が神々しく差し込んだのは昨日のことのようだ。いまは魔法で元どおりになっている。
「聖女様はほぼ完成だとおっしゃられていましたが、まだまだ実行には不安があるかと……」
「ええい、状況が状況だ。やってみるしかあるまい。聖女を呼べ!」
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ほどなくして、祭服の上のエプロンを脱ぎながら聖女が入室した。一見、清楚で整った顔立ちをしているが、よく見れば目の下にくっきりとしたクマがある。娘は今しがたまで研究に没頭していたようだ。
「はい、お父様。何事でしょう。ずいぶん慌ただしいようですが……」
「アナスタシアよ、よく聞け。突然のことだが、魔族がこちらに向かってきておる。
何をする気かは不明だが、奴らの強靭な肉体と強化魔法を持ってしてひとたび暴れられれば
こちらは対抗するすべがない。そこでだ……」
アナスタシアの瞳は一瞬で生気がやどり、目を見開いて王に視線を向け詰め寄った。
「なんと……ついに勇者召喚魔法をお認めくださるのですか!」
「あ、ああ、察しがよいの。無駄だと思っていた研究が、国を救うかもしれぬ……」
聖女は王を見つめていたが焦点はそこにはなく、瞳の奥にぎらりと怪しい光を宿すと、「……まさに実験日和……! 記録をつけなきゃ。再現性は?マナの供給は十分かしら……」と、聖職者らしからぬ言葉を念仏のようにぶつぶつこぼしたあと
「えへっ……えへへへっへ」
と不気味に笑った。
その場にいた者はすべて半歩後退りした。表情には出すまいと努力はするが、ドン引きしているのは明らかだった。
その狂気を一番近くで浴びながらも、真っ先に気を取り直したのは王だった。
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「おーい、キクリ様ー、おーい」
いくら叫んでも返事がない。俺は神界との連絡方法を聞くのを忘れていた。
「アルゴーーーー!!!」
「何じゃやかましいのう。妾は忙しいんじゃ。手短に頼むぞ」
アルゴが取りつないでくれたみたいだ。助かった。しかしこの女神は自分の仕事をなんだと思ってるんだ。責任感もへったくれもない。どうやらさっきの爆発にも気がついてないようだった。キクリにお願い(指示)し状況を確認してもらった。
「なんじゃお主、面白いことになっとるのう!これは愉快じゃ、アルゴよもう一度頼む」
俺はやってみた系のユーチューバーじゃねえぞ! と腹立たしく思いながらも、ぐっとこらえて「もう一度、俺に操作権をくれ!」とキクリに懇願した。
「日常生活に支障ない対策って言ったよな?」
《はい支障はありません》
「いやおしっこ爆発したでしょ」
《はい支障がない距離まで遠ざかったので保護膜が解除されました》
あーーーーーもーーーーこれだから AI は嫌なんだぁぁぁ!このポンコツポンコツポンコツゥーーーーーーーーー
初めての小説になります。
普段は「小説家になろう」で読むばかりで、書くのはまったくの初心者です。
拙い文章かもしれませんが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
今更ながら新しいものを生み出す苦しみを味わっております。
でも楽しい!
たぶん次異世界にいけるかと




