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俺は異世界で異物です!  作者: masatus
第四章 反マナ世界の真実
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61、再び魔瘴境へ!チョコが食べたい!

「アナスタシア、ここで何作ってるの?」


「ツバキちゃんの教室作ってる!」


アナスタシアはツバキさんといろいろ相談しながら、俺の家の 100m ほど先の場所に、新たな建物を立てている。


「教室?」


「そう!


初めてツバキちゃんが、


自分からやりたいって言ってくれたの、


嬉しくって!」


先日レシピを城下町で公開した後、広場の意見箱にすぐに教えてくれって意見が殺到したらしく、その話をツバキさんにしたら、ぜひやりたいと自分から名乗りを上げたそうだ。アナスタシアもその意見を尊重したかったが、専属侍女という役割もあるため、家の近くであれば問題なしと、国王から許可をもらったらしい。


「それにしては、


洒落ているというか、


既視感があるというか……」


「それはね、


ロウェナちゃんに聞いて


アルちゃんが細かいところまで教えてくれたの!」


どうやらショッピングモールで入った、喫茶店の作りを再現しているようだ。ロウェナから俺の世界のことをいろいろ聞いたらしいが、その中でも『パフェ』が絶品だった、あれはどうしてももう一度食べたいと何度も聞かされ、羨ましくて仕方がなかったらしい。せめて店構えでも先に再現して、ゆくゆくはここで『パフェ』を提供するんだと熱く語った。


「ところでリ・オ・ン」


俺はアナスタシアの物言いに、なにか怪しさを感じて身構える。


「ん、何?」


「あれだけ時間あげたのに、


なんで何も進展してないの?」


一瞬何を言われているのか全く理解できず、しばらく固まっていたが、やがて顔が熱くなるのを感じていた。やっぱりお前もグルだったのか!忙しかったなんて嘘じゃねえか!アルゴを睨むとツバキさんの頭の上からニヤけた顔をこちらに向けていた。お前一体どこまで話したんだ?


「そういうの、『ヘタレ』って言うんだってね!」


「アルゴ、余計なこと教えるな!」


俺が声を荒げると、アナスタシアは「きゃーこわーい」と笑いながら、風魔法で俺を軽々とふっ飛ばした。家の玄関に激突する寸前、風でふわりと止められた。


「今度、私もリオンの世界につれてってねー」


とアナスタシアの大きな声が、風に運ばれて後からやってきた。


*****


料理教室がいざ始まると、料理人や道具屋、宿屋の女将、子供連れの主婦まで城下町から人々がたくさん集まってきた。アナスタシアの作った建物は、俺が提案した調理道具はほぼ揃えられ、ちょっとしたキッチンの展示場のようだった。外にはテラスが用意され、丸テーブルと椅子が並べられている。俺がよく知る喫茶店風の様式も、皆珍しそうに見学していた。


建物には控えの部屋も用意されており、ツバキさんの手伝いをしたり、新しいアイデアをまとめたりと、俺もその部屋を活用している。この様子なら、1 ヶ月もすれば、城下町に出ればいろいろな料理を楽しめるのではと、少しワクワクしていた。


俺は外のテラスで提供するメニューを今考えている。アナスタシアがどうしても喫茶店を再現したいとうるさいからだ。


「コーヒーに紅茶、この辺は南部の特産か。


今は輸送に難があるけど、


アナスタシアがテレポート用の魔法陣開発してるから


いずれなんとかなるとして……」


アイスに生クリーム、パンケーキ、プリン、各種フルーツ……これだけあればいろんなデザートは作れるが、何かが足らない。


「そういやロウェナの食べたパフェ、


どんなんだったかな……」


丸い形のバニラアイスが二つ、生クリームには焼き菓子が添えられ、食感が楽しいコーンフレーク。その淡い色合いとは対象的な色合いで、コントラストを引き立てる、スイーツの頂点……


「そうか、チョコレートが足らないのか!」


「そうじゃ、そのチョコレートがもう一度食べたいのじゃ!」


その声がどこからしたのかと驚いて顔をあげると、いつの間にか目の前の椅子にロウェナが座っていて、こちらに身を乗り出していた。俺は驚いて後ろにひっくり返りそうになった。


「びっくりした、


いきなりなんだよ……」


「わっちは最初からずっとおる、


お主が呆けているだけじゃ


それより、リオン


チョコレートが食べたいのじゃ!」


「私もたべたーい」


いつの間にか背後からアナスタシアが俺を見下ろしていた。大体なにか新しい食べ物のことになると、ほとんどといっていいほどすぐに現れる。こいつの食へのアンテナ感度は一体どうなっているんだろうか。


「いや、そんなこと言われても、


どこに材料があるんだよ。


作り方もよく知らないし……」


そこにアルゴをつれたツバキさんが、この部屋につかつかと早足で入ってくる。


「魔瘴境の東端にカオ(かかお)豆があるよー


作り方も知ってるよー」


俺は 3 人 + 1 匹に、ニコニコしながら顔を覗き込まれていて、視線を逃そうにも全て封鎖されていた。


「はいはい、


取りに行けばいいんでしょ!」


*****


――その頃、神界では二人の神が、通信画面を覗き込んでいた。


「なんだ、この通信?


発信元どこ?」


「ああ、それな


前から気になっているんだけど、


特定できないんだ」


「どういうこと?」


「うーん、調査中にころころ変わるんだよ」


「でどこの世界と通信してるの?」


「それが、


以前、不正利用騒ぎがあった、


キクリ担当の世界なんだよ」


「「うーむ……」」


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