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俺は異世界で異物です!  作者: masatus
第二章 マナ料理への挑戦
31/78

30、メレンゲクッキー

「で、結局セキュリティって、


何が問題だったの?


ていうか、この夢の中は大丈夫なの?」


「夢の中は正規通信だから心配ない


リオンとアルちゃんの会話が問題での」


《リオンの会話は、緊急通信網使ってたの!》


相変わらずこいつらの言うことは、端折りすぎてさっぱりわからない。色々会話して、要点だけ拾い上げてみた。


まず神が世界を作る。大まかな調整は神界でできるが、微調整は現地作業が必要。現地に降り立った際、神界への通信に使うのが「緊急通信網」。


その際使った言葉が、現地に神話とか、古代語として現地民に残ることがある。稀にその古代語を扱えるものが出現し、意味もわからず使うことがある。その殆どは「人材派遣要請」。人々はそれを「勇者召喚魔法」と呼んでいる。


「えーーー、それじゃ俺、


勇者だってことで家もらっちゃったけど


派遣要員として呼ばれただけってこと?」


「ま、まあ、そういうことになるのう」


《リオンは、


マッチングシステムが、


ちゃんと選んだんだよ!》


「マッチングって……えらい軽いなあ


じゃ、なんで俺が選ばれたの?」


「それは妾にもわからんのじゃ!」


《……》


そうだった!キクリは最近でこそアルゴを使いこなせているが、最初は何も考えずにボタンポチポチ押すだけの、ポンコツ運用要員だった!


「で、本題じゃが


リオンとアルちゃんの直接会話は


『緊急通信網』経由って言ったじゃろ?」


《不定期で、断続した通信が、


神界に攻撃を仕掛ているのかも、


って警戒されちゃった!》


うーん、大体状況はわかった。今後控えないといけないってことか。現地の情報、いろいろ収集するのに便利だったんだけどなあ。


「じゃあ今後、どれぐらいならアルゴと会話できる?」


「禁止じゃ……


『間違ってチートに緊急通信スキルつけてしまいました』


って理由にして(うそついて)


取り上げることを約束してしまったからのう」


「え、全くできなくなるの?


マナ料理で聞きたいことがまだまだあるのに


通信が夢だけって、


時間的に不安すぎる!」


《そう思って、今キクリちゃんに、


便利なもの開発してもらってるから!》


*****


夢から覚め、アルゴとしばらく昼間は連絡できないことに、困ったなと頭を抱えた。当面の間はガキの実と、なぜかマナ料理になっているルーベリージャムで凌げばいいかと、あまり考えないようにする。


「今日は昨日作れなかった、


お菓子づくり再開するか」


ちなみに朝食は、みんなキッチンで食べた。一度習慣なんて崩れてしまえばそんなもんだ。いや、もう立派なダイニングセットあるから、もうこの部屋はダイニング呼びでいいと思う。


まずひたすらすり鉢で、ゴリゴリと粉砂糖を作っていく。十分な量を作り終えると、次はルミの実(くるみ)をローストして、これもすり鉢で粉状にしていく。そして最後に卵 5 個。こちらは卵白と卵黄を分離し、卵黄はまた別に使うため横に避けておく。


ここからが大変だ。街の道具屋に作ってもらった「泡立て器」を取り出した。これも店主は変な顔しつつ、こちらの要望に答えて魔法で加工してくれたものだ。この道具を使ってひたすら泡立てていく。


「うおおおお、うまくいけーうまくいけー!」


とにかく、一心不乱にかき混ぜた。途中で粉砂糖を少しずつ足しながら、体感 30 分ほど経っただろうか。泡がきめ細かく、泡立て器を持ち上げるとピンとした角が形を保持できるようになっていた。メレンゲの完成である。ここに先程のルミの実(くるみ)の粉をざっくり混ぜていく。


鉄板の上に、防水と耐火魔法を掛けた布をひく。防水魔法付きの布袋の先を少し切り、簡易絞り袋として使用して、その上に手際よくメレンゲを絞り出していく。その鉄板を大きな鍋の中に少し浮かせて設置し、ローストビーフと同じ要領で、熱を与えていく。ただし火力は相当弱くした。こうしないとすぐ焦げてしまうからだ。


「この火加減、ちょー難しい……」


正直、失敗するかと思ってたがうまくいってよかった。火加減が難しすぎる。何回も何回も蓋の隙間から、様子を見てやっといい感じに焼き上がった。次に、鍋の中の鉄板を取り出し、風通しのいい場所で乾燥させる。風魔法をお願いしようかと思ったが、突風で全て吹っ飛んでいくイメージしかしないので、取りやめた。そうしてようやく「メレンゲクッキー」が出来上がった。


「さー、お楽しみの味見タイムだ!」


当然、いつものようにツバキさんが興味津々でじっと見ている。早速味見してもらいたいところだが、俺は同じミスはしない。ゆっくり後ろを振り返ると……


得物を狙うかのような目つきをした、アナスタシアがそこ立っていた。


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