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宇宙人、照れてしまう。


咄嗟に光るエトラさんをお弁当を包む布で隠したに関わらず、嬉しそうに微笑むエトラさん。お願い、光を抑えてください!



ともかくこんな感じで優しい人‥もとい宇宙人のエトラさん。

宇宙人のお友達感覚がどんなものかはわからないけれど、せっかく地球に来てくれたんだし楽しんで貰いたいという思いから、プラネタリウムに週末に行こうと約束した。もちろん喜んだエトラさん発光しました。眩しい‥、目がチカチカする。



「‥週末、とても楽しみ!!地球に来て、初めて人と一緒にお出かけ」

「え?教授とどこか出かけたりしてなかったんですか?」

「教授とは研究で出かけるだけだから‥。遊ぶのなかなか出来ない‥」

「あはは、確かに!エトラさんと一緒だから余計に研究に熱が入っちゃいそう」



月教授が夢中で星について話すのが想像できて、クスクスと笑ってしまうと、エトラさんの体から金色の小さなシャボン玉がふわりと浮かんだ。お、前に見たのだ‥。


「エトラさん、この金色のって‥」

「あ、え、ええと、その嬉しいの、です!」

「嬉しいと光ったり、シャボン玉みたいなのまで出るんですね」

「う、うん、そう、です」


ちょって照れ臭そうに話すエトラさん。

感情が全部見えちゃうって大変そうだな‥。とはいえ私も思っている事はすぐ婆ちゃんに見破られるから同じかもしれない。


「そういえば電車は乗れますか?」

「え?」

「宇宙船で移動しているようなので、電車はどうなのかなぁって‥」

「電車、まだ馴れてない。日本語って難しい」

「宇宙人でもそうなんだ‥。あ、宇宙語の文字ってあるんですか?」

「ある。とても綺麗」

「どう書くんですか?」


ちょっとワクワクして聞いてみれば、エトラさんが宙に指をちょちょっと動かすと、金色の文字が一瞬で浮かび上がって目を見開いた。ま、魔法みたいだ!


金色の文字は、アラビア文字のようにも見えるし、平仮名が崩れたようにも見える。でも、金色に浮かぶ文字がキラキラと輝いていて、なんだか見ているだけで胸が暖かくなるから不思議だ。


「触っても、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」


エトラさんがニコニコ微笑むので、宙に浮いた文字を指でそっと撫でると、指先が暖かい!


「文字があったかいです!」

「はい、優しい言葉なので」

「嫌な言葉は冷たいんですか?」

「チクチクするのであまり書きたくないですね」

「へ〜〜!でも宇宙にも良い言葉と悪い言葉っていう概念はあるんだ」


エトラさんを見ていると、ニコニコして優しいからてっきり悪口を言う宇宙人っていないものかと思っていた。するとエトラさんは少しだけ眉を下げて、



「本当は、嫌な言葉良くない。でも、そういうのを学ぶのも大事だからと教えられる」

「嫌なのに教えるんですか?」

「悪いと思ってなくても傷つけてしまう事もあるから‥。けど嫌な言葉はあまり好きじゃないです」

「そう、ですね‥」



代々地球を観測してたっていうから、きっとここまでの歴史を知っているんだろう。そう考えると、この優しいエトラさんにはただただ悲しい、辛い感情になったのかもしれない。


と、金色の文字がさらさらと土が崩れるように消えてしまった。


「あ、文字が‥」

「簡単に書いたから、すぐ消えます」

「へぇええ!流れ星みたいですね」

「流れ星‥」

「はい、あの燃え尽きた星が大気圏を突入すると見える星の一つで、流れきる前にお願いを三回すると叶うって言われております!」

「お願いが叶う!?」


エトラさんがキラキラした瞳で私を見つめた。

あ、あれ?教授、この辺は説明してなかったのかな‥?



「流れ星は、エトラさんの星‥住んでいた場所では見えなかったんですか?」

「見えました。でもお願いをするのは初めて知りました」

「そうなんですね。まぁ流れ星って動きが早いからお願い事を三回言うのは難しくて‥」



だからエトラさんとお見合いをした夕方に見た星はちょっとドキドキしたんだけどね。そこは本人には黙っておこうと思ったら、エトラさんはハッとした顔をして、



「‥‥‥もしかして、ぼく、空を飛んだからあんなに写真撮られた?!」

「あ、えーと、多分、そうですね」

「イトも写真撮った?」

「え?あ、ええと、その、はい‥。綺麗だったので」

「うあぁああああ、恥ずかしい‥」

「で、でも綺麗でしたよ?」



まさか私からのメールの返信が嬉しくて光りまくった上に空を飛んだっていうのには驚いたけど‥。エトラさんに「き、キラキラして驚きました!」と、慰めになるか???と、思いつつ声を掛けると、耳をパタパタさせていたエトラさんが私をじっと見つめて、


「綺麗?」

「はい!」

「キラキラ、好き?」

「そ、そうですね!好きです!」

「‥‥そっかぁ」


エトラさんの両方の耳がパタパタと動き、チラチラと私を見つめ、



「イト、優しい‥。シュ‥、今からプラネタリウム楽しみで眠れません」

「睡眠は大事ですよ。あ、でもその前に宇宙人って寝るんですか?」

「うん、ちゃんと寝ます」



そっか、そういうのは同じなんだなぁ。じゃあちゃんと寝て貰った方がいいな。





夜更かしは良くない‥と思ってはいるんですが、ついつい起きてしまう。

最近はシンデレラタイム前に寝ておりますが、夜が好き‥。

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