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一番星を君に!(最終話)


エトラさんとお付き合いをする事になった。


だけど全然現実感がない。だって宇宙船に乗って地球を見て、宇宙人とお付き合いをするのだ。現実感が私を追いつくまでには時間が掛かるだろう。


ちなみにエトラさんとエトラさんのお父さんはこってりレイハナさんに怒られ、後日宇宙船が飛んだ記憶は世間から綺麗さっぱり消されていた。‥宇宙人ってすごい。


あと私は結局大学に出勤したけれど、雨に散々降られてしまったせいかその晩、熱を出してしまった。


お婆ちゃんにリクエストしていたお肉の甘辛炒めは、おじやに変更を余儀なくされ、エトラさんはそれはもう心配して、ものすごい花束を抱えてお見舞いに来てくれたけれど、叔母のしいちゃんとお婆ちゃんはそれはもう大盛り上がりで‥。


ものすごい歓待ぶりに驚くエトラさんとそれを抑えるので大変だった‥。


そしてもう一つの問題はようやく復帰して、花火大会に一緒に行こう!と、誘ったら「無理させたらまた熱が出ちゃう!」と言って、宇宙船に招待されて‥、大きな丸いソファーでエトラさんとくっ付くように座っているこの現状です



「イト、大丈夫?」

「だ、大丈夫です!元気いっぱいです!」

「熱、下がったけど、まだ体が辛い?」

「いえ‥、本当に大丈夫ですよ」



大丈夫だけど恥ずかしいけど。

赤い顔でどうしたものかと思っていると、カラコロと下駄の音がした。


「エトラ、お前はもう少し距離を取れ。ベタベタし過ぎだ」

「レイハナさん?」


急に声がして後ろを振り返れば、クールでビューティーなレイハナさんが頭にお面を付け、両手には大量の食べ物を持っている。ついでに金魚や水風船にピカピカ光る剣まで持っているけれど、ものすごく楽しんでいらっしゃる?



「イトさん、たこ焼きと焼きそばと揚げポテトだ。タバスコはいるか?」

「沢山ありがとうございます。でも、ええとたこ焼きだけで大丈夫ですよ。ちなみにタバスコは遠慮しておきますが、揚げポテトには合うと思います」

「なるほど。早速やろう」

「レイハナ‥、体を壊しますよ」



エトラさんが分かりやすいくらい渋い顔をすると、レイハナさんはしれっとした顔で「これくらいでは壊れない」と、言いつつ私にほかほかのたこ焼きを渡してくれると、私の横に座って足元がガラス張りになっている花火大会の会場を見下ろした。


「人間は、花火が好きなんだな‥。ものすごい人だったぞ」

「この辺では結構有名ですからね。今回は打ち上がるだけですけど、花火と一緒に音楽が流れたり、光を当てて更に盛り上げたり色々見せ方もあるそうですよ」

「え、今度はそれも見たいな。イト、一緒に行こうね!」


金色にピカピカと光るエトラさん。

‥まぁ、今日は宇宙船だし大丈夫かな?私が頷くと、エトラさんは更にピカピカと光った。


ま、眩しい!

目を思わず瞬くと、レイハナさんが揚げポテトにこれでもかとタバスコをかけつつ、「もう少し光を抑えろ」と容赦無く突っ込んだ。


「まったく、少しは落ち着け」

「レイハナにだけは言われたくありませんね‥」


まぁ、ピカピカ光る剣なんて今やレインボー色に変わってるしね。

でも楽しんでくれるのは地球人としては素直に嬉しい。



と、ドン‥という音と共に、金色の光が足元で弾けた。



「わ、綺麗!!エトラさん、綺麗ですよ!」

「うん、花火って綺麗だねぇ。映像で見るのと本物で見るのとは全然違う」



目をキラキラさせて花火を見つめるエトラさんの瞳が、夜に光る星のようだ。

パッと花火が弾ける度に流れ星みたいだな‥と、花火でなくエトラさんに見惚れてしまう。花火も、そう考えると星のようなものかもしれない。


レイハナさんや、目々さんや折田さんも、足元で次々と打ち上がる花火を見て夢中になっている姿を見て、あながち間違ってないかも?


と、エトラさんが私の耳元に顔を寄せるのでドキッとする。



「全部、星みたいだね」

「‥私もちょっと思ってました。弾けて消えちゃうのは流れ星のようだなって」

「そっか。同じように思ってたんだね」

「そうですね。地球人と宇宙人、ですけど同じですね」



私の言葉にエトラさんは嬉しそうに頷いて、


「イトが星を好きで良かった」

「え?」

「だって一緒に星の話できる。でもぼくもっとイトが好きなのを知りたいから教えてね。一緒に沢山好きになりたい」

「あ、ありがとう、ございます」


うわぁあああ、なんて優しい事を言ってくれるんだこの人は!

そんな風に言われたら嬉しくて胸がギュッと締め付けられる。それなら私だってエトラさんの好きなものをこれから沢山知りたい。同じように色々知っていきたい。


‥宇宙人と地球人だから。



「私、星が好きです。あと、一番星みたいなエトラさんも」

「‥‥イト!!!」



感動したエトラさんの喜びようが、それは凄かった。

宇宙船はどの花火よりも大きく光り、レイハナさんに「エトラーーーー!!!!!」と、叫ばれ、宇宙船が大きく揺れた‥‥。



やはり愛の言葉は星空の中でしておいた方が安全なのかもしれない‥。





私にしては短めのお話です!!

いつもならね、絶対100話超えちゃうんで‥。頑張って短編にして、みました???

ど田舎に住んでいたので星がよく見えたんですが、真夜中の流星群を見て以来、宇宙って面白いなぁと思っていたのでようやくお話にできて楽しかったです。ここまで読んで下さりありがとうございます!!

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