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宇宙人に告白。


タバスコを飲もうと覚悟を決めた顔をしたエトラさんだったけど、まずは話し合いである。


と、私と向き合ったエトラさんはびしょびしょの私を見て、


「待って?イト体がびしょ濡れ!!」


私の体に手をかざすと一瞬で服が乾いた。え、す、すごい!

宇宙人ってなんでも出来るんだな‥と、驚いている私を見つめたエトラさんはそれはもう肩を落とし、



「‥‥レイハナに聞いた。僕を心配して宇宙船追いかけたって」

「あ、ええと、声が聞こえたので咄嗟に飛び出してしまったんです。あと、私知らない内にエトラさんに何か酷い事をしてしまったようで、本当にすみません!」

「何も悪いことなんてされてないよ?!」



驚いたようにエトラさんが叫ぶと、ハッとした顔をしてまた体を縮こませた。


「‥‥イトは、ぼくに嫌なことなんて何一つしてない。ぼくの方が驚かせて、怖がらせて、」

「何も怖いと思ってませんよ?」

「‥あとぼくが一緒にいると、イト、好きな人と一緒にいられなくなるでしょ?」

「え?」


好きな人‥。

そうだった、そこも誤解されてた。

でも、どうしよう‥。それを説明するとなると、エトラさんがその好きな人だと言うことになる。けれど断られたら?最初は自分から友達で!なんて言ったのに、好きなんて今更言って、困らせたら?


さっき後悔したばかりなのに、私はまた怖くなってしまう。

エトラさんは迷う私を見てシュンと下を向いて、



「‥ごめんね。ぼくイトが優しくて、嬉しくて、一緒にいたくて‥」

「私も一緒にいたかったです!」

「え、」

「あ、」



い、言ってしまった‥。

エトラさんが目を丸くして私を見ていて‥。

宇宙人と地球人、話をしなければ永遠に分かり合えない‥。私は覚悟を決めて手をギュッと握った。



「‥私は、エトラさんとずっと一緒にいたいです」

「え、で、でも‥、他に好きな人が、」

「その好きな人がエトラさんなんです。お友達からって話をしましたが、その、す、好きになってしまいまして‥。でも、ご迷惑でしたらこれからもずっとお友達としてお付き合いして頂ければ‥」

「や、やだ!!」

「嫌だ‥」

「ああっ、ち、違う!!違うの!!お友達は嫌なの!!」



と、友達さえも嫌‥。

ショックで顔が青くなりそうな私の手をエトラさんがギュッと握ると、



「ぼく、イトが大好きなの!友達じゃ嫌!ずっと一緒にいたいし、お菓子を交換こして食べたいし、星を見たいし、えーと、く、くっ付いていたいの‥‥」



真っ赤な顔をしたかと思うと、体から金色のシャボン玉が次々とエトラさんの体から飛び出してきて、ちょっと泡に溺れそうな感覚になる。


パチパチと金色のシャボン玉が弾けて、その中で顔が真っ赤なエトラさんが私を見ている。


話し合いって、やっぱり大切だな。

そして勇気も大事だ。

こうなったらどうしよう、ああなったらどうしようと、話す前から怖がって、私はエトラさんの気持ちを考えることができなかった。自分の気持ちを優先して、悲しむエトラさんの気持ちに気付けなかった。



「‥イト、全部気付くのは無理だよ?」

「もしかして考えを読みました?」

「ちょ、ちょっとだけ!でも、イトが全部悪くない!ぼくも怖かった‥。イトの口から、好きな人がいるって聞くの怖くて、泣いて、逃げて‥、ごめんね」

「それは私も同じです」

「‥僕達、似てるね」

「宇宙人と地球人なのに、不思議ですね」



お互い顔を見合わせて微笑むと、エトラさんは目を細めて私の手をギュッと握った。


「イト、大好き。ごめんね、泣かせてごめんね」

「それは私も同じです」

「ううん。ぼくだよ」


宇宙人って、結構頑固なんだな。

じとっと睨んだのにエトラさんは嬉しそうにはにかんで、「夢みたい」って呟いたけど、夢じゃあ嫌だな。


エトラさんが私の額に、自分の額をコツンと合わせた。



「イト、ぼくの一番星」

「一番星‥」

「どこにいてもずっとキラキラしてて、ずっと見ていたいから」

「わ、わぁ‥」



ものすごく照れ臭い事を言われて、顔が真っ赤になるとエトラさんは「可愛い」と呟いて、私の方へ顔を寄せ‥、ドキッと胸が大きく鳴った。



「仲直りはできたな」



レイハナさんがエトラさんの後ろから声を掛け、私とエトラさんは体が大きく跳ねた。


「レイハナ!!なんでこんな時に空気を読まないんですか」

「空気とは読むものでなく、体内に取り込み血液や細胞を循環させるものだ」

「そうだけど、そうじゃなくて!!」


エトラさんは焦ったように言うけれど、まぁ概ね合ってますね‥。

レイハナさんは可笑しそうに笑って、



「タバスコは必要か?」



優しい言葉に「もう、大丈夫です」と言うと、私の頭をまた優しく撫でてくれた。と、それを見ていたエトラさんがムッと頬を膨らませ、


「なんでそんなに仲良しなんですか!」

「それはもちろんお昼を一緒に食べた仲だしな」

「それならぼくの方が早かったです!」

「あとお前のように泣かせたこともない」

「うっ‥‥」


ま、まぁまぁ、そんな責めないでやって頂けると‥。

レイハナさんを見上げれば、エトラさんに後ろからギュッと抱きしめられて、



「イトを一番好きなのはぼくです!」



耳元でものすごい愛を叫ばれて、私は真っ赤になってしまうと、レイハナさんが「タバスコよりも赤いな」と言ったけど、そう例える?と、目を丸くした。





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