宇宙人、空を飛ぶ。
宇宙人とお見合いをしてしまった‥。
あれから目々さんとカフェでエトラさんと一緒にお茶をしたけれど、エトラさんは私の働いている大学で普段は星といったらこの人!という教授の元、星や惑星、星座の成り立ち、その歴史などを学んだり、反対に自分の星のことについて教えているそうだ。
宇宙人は星にそんな風に物語をつけないので、その文化が面白いとキラキラした顔で話していた。そ、そうなんだ‥。確かに宇宙って広いし、宇宙人からしたら大変なのかも?
明日早速大学でも話をしましょう!と、再会の約束まで目々さんによって取り付けられ、私はどこか呆然とした気持ちで家に帰った。
ちょっとたてつけの悪い引き戸を開け、「ただいまぁ〜‥」と、靴を揃えて台所へ顔を出すと、叔母のしいちゃんが私を見て、
「おかえり!買い物行ったのに何も買ってないの?」
「‥‥うん、色々あって」
「お金足りなかったの?」
「‥‥いや、もう、うん、大丈夫」
「なーに?何か欲しいなら買ってあげよっか?」
「しいちゃん、私はもう21歳なので自分で買えます!」
「あはは、そうだね。大人だもんね」
可笑しそうに笑って、「夕飯はハンバーグだよ!」と言うと、台所でまた何やら作り始めた。‥今日もしいちゃんが元気でなによりだ。居間に足を運んで、部屋の片隅に置いてあるお父さんとお母さんの写真を見つめた。
天国へいったお父さん、お母さん‥、私今日は内緒でお見合いをしてしまいました。それも宇宙人と。
と、心の中で報告するけれど写真の二人は笑ったままである。
二人が生きていたらどんな反応したんだろうな。
お互いに星座研究会に所属してて、それがきっかけで結婚して私がいるんだから、宇宙人とお見合いをしたなんて言ったら、すごく盛り上がりそうだ‥。
「まぁ、お友達。あくまでもお友達だから」
そう小さく呟いてから二階の自分の部屋へ上がって、着替えてからベッドにダイブした。つ、疲れた‥。しかし、目々さん宇宙人を知っているって何?エトラさんの手前聞けなかったけど、どうやって知り合ったの?それに教授も!
やっぱり私、騙されているのだろうか‥。
それとも怪しい宗教に引っ張られてしまうのだろうか‥。悶々と考えていると、スマホがポコッと鳴った。
チラッと見れば、エトラさんのアイコンだ。
宇宙のアイコンなんて‥、本当に宇宙人っぽい。いや、宇宙人‥なのか?メールを見れば、
『今日は、ありがとうごじました。会えて、うれしかやです』
と、書いてある‥。
可愛い‥、いや、一応警戒しなきゃいけない相手にそんな感情を持つのは危険だと思うんだけど、誤字だらけの文が可愛いなと思ってしまう。‥すぐ絆されるんだから気をつけなさいとしいちゃんにもお婆ちゃんにも言われているけど、可愛い。
「えーと、平仮名で返した方がいいかな?『こちらこそ、おはなしたのしかったです。あした、よろしくおねがいします』っと」
ヒュンと一瞬でメールを返信したのを見届けてから、明日何を話そう‥と考えた。ええ、生真面目とかよく言われてます。とりあえず早くに大学に行って、教授にも本当に宇宙人なのかを確認して‥、本当なら安心だ!‥多分。
「宇宙の外交問題に関する論文ってないかな‥」
どこか遠くを見つめつつ、ベッドから起き上がってお父さんやお母さんが残してくれた星や星座の図鑑を取り出した。
「カシオペア、ベガ‥、あ、星座だったらどの辺に住んでいるんだろ」
夏と冬の星座だけでも違うしなぁ。
と、思って星座の本を明日仕事で持っていく鞄の中に入れておいた。資料は大事だ。一人納得していると、
「ちょっと、イト!外見てみなよ!」
「へ?」
しいちゃんが台所から叫んでる?
窓をガラッと開けて空を見上げると、まだ夕方なのにキラキラと大きな流れ星がゆっくりと流れている。
「え!?流れ星?!」
思わずスマホで流れ星を録画したけれど、道ゆく人達も驚いたようで指を指して星を見たり、スマホで撮影していた。だって、本当に大きな流れ星だったんだもん。これは明日エトラさんにも見せてあげよう!
夜空へ落ちていった流れ星にワクワクした翌日、目々さんにその話をしたら、ブーッと吹き出し、
「それ、エトラさんだよ」
「え!??」
「昨日イトちゃんからメールが貰えて嬉しくて空を飛んじゃったんだって」
「え!??」
「本人が今朝「嬉しくて飛んでしまったら大騒ぎになってしまった」って反省してたわ」
カラカラと可笑しそうに笑った目々さん。
え、あれ、ご本人?本当に??嬉しくて空を飛んじゃうって比喩表現じゃないの??‥‥とりあえず、これは本人に見せない方がいいのかな?と、思ってそっとスマホをポケットにしまった。
空も飛んじゃうって表現って可愛いですよねぇ。