表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/36

宇宙人、驚愕!


惑星柄のお菓子はそれはもう大喜びであった。

コンビニで買った惑星をイメージした飴なんて、うっとり眺めて「食べるのもったいない‥」と、感動しきりである。


「宇宙人ってあまり食べないって言ってましたけど‥」

「うん、星やお日様の光を取り込むんだ。それで十分なんだけど、地球に来てから食べるの楽しくて」


嬉しそうに微笑んでから、飴を口に入れて転がしていた。

そっか、楽しく食べられるなら良かった。

私も飴を食べると、エトラさんはフルーツ大福を取り出して、


「ぼく、こっちを見つけた!すごく美味しかったです!はい、イトの分」

「ありがとうございます。私もこれ大好きです」

「そうなの?同じだね。良かったぁ」


キラキラと輝く金色の体。

うん、人はいないからまぁ良いか。喜びを隠し切れないエトラさん今日も可愛いな。



「あとね、フルーツが入ったアイスがあるって教授が教えてくれたんです」

「購買に確かあったかも‥。帰りに買って行きますか?」

「買う!一緒に食べよう」

「じゃあ仕事が終わったら食べながら帰りましょう」

「うん!!!」



ものすごく眩しい光に包まれ、ちょっとエトラさんが見えない!慌てて「ちょ、ちょっと光が強いです!」と訴えると、慌てて光を抑えてくれた。その内中庭が怪しく光る‥なんて噂されないといいな。ともかく二人で約束をして事務室へ戻った。


アイスの為に頑張るぞ!

気合いを入れて結構複雑な書類や申請書の手続きをしていると、



「法学部の教室の申請書を取りに来たんだが、まだか?」



と、大きな声量に驚いて顔を上げれば、事務室のカウンターの向こうに立派な顎髭に白髪頭の法学部の教授が腕組みをして立っている‥。わ、わぁああ、目々さんが苦手な教授だ。


慌てて申請書を持ってカウンターの方へ行き、


「あの、わざわざご足労ありがとうございます。ええと、こちら折田から申請書を頼まれたのですが、あと二点こちらにサインを頂きたく‥」

「だったらそっちが持って来い!なんでわかっていて持ってこないんだ!」


い、いきなり怒鳴ってくるし〜〜!

後ろで同僚や先輩達がハラハラした顔で私を見ている様子がわかる‥。



「す、すみません。他にもまだ資料が揃っていなかったので‥」

「言い訳するな!まったく大した仕事もできないのに言い訳だけは一人前だな!」



ばっと私が差し出した申請書を奪うように取ると、ざかざかとサインをすると投げるように書類を渡され、怒り心頭‥といった様子で踵を返していった‥‥。


怒鳴られた衝撃と、大した仕事もできないと言われて、申請書を握る手が小さく震えると、


「イトさん大丈夫?今日の教授、ちょっと酷すぎだったね。ごめん、すぐこっちに来れなくて‥」


先輩が心配そうに私を見て謝ってくれた。でも庇ったら庇った分だけまた怒鳴る人だから‥。私は小さく首を横に振り、


「いえ、私ももう少し早く対処しておけば良かったんです」

「でも元々折田さんのを頼まれたのを引き受けただけだから。あまり思い詰めないようにね」

「はい‥」


先輩はまだ心配そうにしていたけれど、ともかく仕事をしないと。ちょっとショックな状態のまま、申請書と書類を揃え、仕事終わりに渡しに行く為にファイルに挟んだ。


ここのところ優しくて穏やかなエトラさんと一緒にいたから、余計にショックだ。早めにこっちも取り掛かっていたのに、私のやり方が悪かったのかな‥とか、目々さんにも迷惑かけちゃうかな‥と、グルグルと考えると仕事が全然進まなくて‥。


諦めて終業のチャイムが鳴る前に、先に教授の方へ申請書を渡しに行く事にした。


終わったらアイス。

エトラさんとアイスを食べるんだ。

ドキドキと緊張しながら教授の部屋の前に行き、ドアをノックしようと手を伸ばすけど、怖い‥。



「イト?どうしたの?」



優しそうな声に振り返ると、エトラさんと教授が一緒にこちらへ歩いていて‥。その姿を見ただけでホッと息を吐いた。月教授は部屋の前をチラッと見て、


「何、またあのおっさんはぎゃあぎゃあ言ってたの?」

「いえ、私の仕事が遅くて‥」

「書類渡すの?僕が持ってくよ」

「で、でも‥」

「大丈夫。ああいうおっさんはね、同じおっさん相手には静かだからね」


そう言って申請書が入ったファイルを私の手からサッと取り上げるように引き抜くと、どこかのん気な声で「教授〜〜、お届けもので〜〜す」と、さっさと教授の部屋へ入っていった。と、中でまた何か文句を言う声が聞こえたけれど、月教授はちょっとドアを開けて「もう帰りな」と言ってくれて、慌ててお辞儀をした。



あーあ、私ってばもう‥。

一人でちゃんと仕事もできなかった。

しょんぼりと俯くと、エトラさんの爪先が目に入った。



「イト、悲しい?」



心配そうな声にそっと顔を上げると、私より泣きそうな顔をしているエトラさん‥。優しいなぁって思ったら安心して、ほろっと涙が溢れてしまうと、エトラさんの両耳がびやっと勢いよく持ち上がった。ちょ、み、耳〜〜〜!!





働いてると色々ありますよね‥(トオイメ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ