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兄弟と共闘

ガニメデは軽く頭を下げると、メイの方に体を向け直す。

 しかしメイは、ライの発言が気になり声を掛ける。

「ライ、一緒に戦うって……俺そんなに戦闘力高くないぞ? それにお前強いんだから、一人でも大丈夫だろ……さっきも一気に十人くらい倒してたし……」

「そりゃあ、雑魚なら何人相手でも平気だよ。でも後継者相手には流石には、そうはいかないよ……一人ならまだしも手を組まれて複数で襲撃されたら、俺でもキツイよ」

 そう言って、ライは真剣な顔で応えた。

 真剣な顔をしているライを見て、メイは共闘の誘いを受ける事にする。

「わかった……可愛い弟の頼みだし、共闘するよ。でも……」

「でも?」

「殺すのは禁止だ、後継者だけじゃなくて他の人も含めて」

 メイがそう言うと、ライは安心したように微笑んだ。

「なら大丈夫だ。確かに強い奴と戦うのはワクワクしそうだけど、別に殺し合いがしたいわけじゃないからね」

「わかった、それなら共闘成立だ」

「あの……」

 二人の共闘が成立すると、ガニメデが気まずそうに声を上げた。

「あぁ悪い、ガニメデ。兄ちゃんにルールを説明するんだったな」

「ごめんガニメデ。それじゃあルールを教えてくれる?」

「はい」

 メイが申し訳なさそうに問いかけると、ガニメデは笑顔で了承した。

「……メイ様、私は壊れた場所の修復と縄を探しに行って来ますね」

「了解。頼んだよ、アレクト」

 案内役の役目を取られてすねているアレクトだったが、孤児院で子ども達の扱いに慣れているメイは普通の返事だけして見送った。

「それではメイ様、まずは基本のルールから……」

 それからメイは、ガニメデからルールの説明とギリシャ神界について簡単に教えてもらうのだった。


「なるほどね……つまり俺達は生まれた時から、ギリシャの神達のおもちゃだったと……」

「それだけが目的ではありませんが……遊びとして始まった側面もあるので、メイ様の感想を否定はできません」

 ルールと共に殺し合いのゲームが行われる事になった経緯を聞き、メイはギリシャの神々に対して激しい憤りを感じていた。

「まぁいい。だったら尚更、神達の思い通り殺し合いなんてしてたまるか。絶対に誰も殺さずに、このゲームを終わらせてやる!」

「いいねぇ。俺も神達のおもちゃになるのは嫌だし、兄ちゃんと同じ事を考えてたんだよね」

 ガニメデが説明し終えるまで静観していたライが、メイの言葉を聞いて嬉しそうに反応する。

「殺し合いのゲームではあるけど戦わないとペナルティが発生するなんて事はないし、殺さないといけないルールもない。つまり殺し合いをする必要はどこにもない……でしょ? ガニメデ」

「はい。ルール上では」

 ライが問いかけると、ガニメデは先程の神妙な面持ちから笑顔に戻り落ち着いた声で答えた。

「メイさま―、壊れた場所の修復終わらせてきました。あと頼まれてた縄と、メイ様のリュックです」

「お疲れ様、アレクト」

 アレクトが案内役の仕事の一つである戦闘の事後処理を済ませ、男達を縛るための縄とメイが逃げる際に投げつけたリュックを重たそうにしながら抱えて帰ってきた。

「はい、どうぞっと」

「ありがとうアレクト、リュックまで持って来てくれて」

 アレクトは抱えていたリュックと縄を渡すと、疲れたのかメイの肩に座り込む。

「お礼なんていいですよ。少し重かったですけど、これも案内役の仕事ですから」

「仕事だとしても、お礼は言わせてよ」

 メイはそう言うと、アレクトの頭を軽く撫でた。

「もう……やめてくださいよ、メイ様。私こう見えてメイ様より、かなりお姉さんなんですよ」

「ごめんごめん」

 アレクトが恥ずかしそうに手をどかすと、メイは笑いながら謝った。

(もしかしてメイ様って、女たらし? 弟のライ様もそうだったし……)

(こんな見た目だから忘れてたけど、アレクトって年上なんだった……つい子ども達と同じ感じで接しちゃった……まぁいっか)

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