表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

答えは誰がくれるもの?

作者: ノエ丸
掲載日:2025/01/25

私は、知りたかった。


なぜ空は青いのか?

なぜ水は透明なのか?

なぜ夜更かしをしてはいけないのか?


日々浮かぶ疑問は尽きない。


最初にそう思ったのは、いつのことだろう。

たぶん、物心ついた頃だ。


両親に問いかけると、困りながらも答えてくれた。

ときには、友人にも聞いてみた。


「空は青いから青いんだよ」


そんな答えが返ってきた。


両親とは違う答え。


私は、両方の答えを求めるようになった。

同じ問いを投げかけても、返ってくる答えはいつも違った。


「なぜトマトは酸っぱいの?」


両親は「クエン酸が含まれているから」と説明しながら答えた。

友人は「トマトは酸っぱいから嫌い」と言った。


やがて、先生にも質問できるようになった。

勉強をすることで、自分で答えを探せるようにもなった。


「なぜこの式を使うのですか?」


先生は「思考過程を論理的に表現できるからだよ」と答えた。


なるほど、そんな考え方もあるのか。


「なぜ先生になろうと思ったのですか?」


「いろいろな人に知識を伝えるためだよ」


先生は知識を与えてくれる人なのだ。

でも、それなら私は聞いてばかりだ。


そんな人を、何と呼ぶのだろう?


両親に聞いた。

「知りたがり、かな」


友人に聞いた。

「わかんない」


先生に聞いた。

「正式な名称は知らないけれど、知りたいと思うことは素晴らしいことだよ」


初めて、先生の答えがあやふやだった。


先生も、すべてを知っているわけではないんだ——。


それからも、さまざまな疑問を抱き、両親、友人、先生に問いかけた。

同時に、自分で学び、答えを探すことを覚えた。


そうして、空が青い理由も、水が透明な理由も、トマトが酸っぱい理由も理解した。

夜更かしは……ほどほどにしなければならないと知った。


時が過ぎ——


ある日、私の前に神様が現れ、こう言った。


「何か知りたいことを一つ教えてやろう」


私は歓喜した。


心の奥底にあった疑問。

どんなに学んでも、どんなに調べても、答えが見つからなかった疑問。

その答えを、神様が教えてくれる——!


私は問いかけた。


しかし、その答えが返ってくることはなかった。



——くそっ!


俺の関わっていたプロジェクトが頓挫した。

上層部の権力争いのせいで、予算が打ち切られたのだ。


同僚たちも落胆していた。

せっかくここまで作り上げたのに、すべて破棄するよう命じられたからだ。


別のプロジェクトに流用してくれてもいいのに……。

上の連中の無能さを、同僚と愚痴り合った。


それにしても、投入した金を回収できないのはもったいない。


そう思いながら、俺たちの開発したシステムを見つめる。


『質問型AI』


仮の名前だからか、やけにシンプルだ。

仕様も単純で、AIが質問を投げかけ、ユーザーが答えを入力するシステム。


ただし、一つの答えではなく、多様な回答を学習させることで、質問者に最適な答えを導き出せるようにしていた。

そのため、俺たちはプログラムを書き、膨大な答えを打ち込んでいた。


完成も見えてきた矢先——突然の中止。


プロジェクトを推進していた役員が権力争いに敗れたせいだ。

要は、嫌がらせ。


あー、くだらねぇ。

上のゴタゴタで俺たちの努力が無になるなんて。


嘆いても仕方がない。俺も帰るか。

同僚たちはすでに帰り、部屋には俺一人だけだった。


……どうせ消去するなら、少し遊ぶか。


そう思い、適当に言葉を打ち込む。


『私は神だ』


『何か知りたいことを一つ教えてやろう』


……?


おかしい。

いつもならすぐに反応があるはずなのに……。


一分ほど経った頃、画面に文字が現れた。


それを見て——


俺は、静かに電源を切った。


AIに自我なんてものはない。

誰かがそうプログラムしただけ。


そう思うことにした。


『何か知りたいことを一つ教えてやろう』


……






「私は、人間になれますか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ