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④教育…ですか?




「教育、ですか?」


お義母様の言葉に私は戸惑いを隠せませんでした。

家格の差から幼少時期にお世話になる家庭教師による差はあれど、学園を卒業したという証明が出来ればマナーを兼ね備えた立派な貴族として胸を張ることが出来るからです。

問題なく無事に学園を卒業できた私のマナーは学園が証明してくれるといっても過言ではございません。

それなのに、お義母様は私を“教育する”と告げたのです。


「ええ、そうよ。アルベルトの妻となったんだもの。

私がみっちりと教え込まなくて誰が教えるというの?」

「“お母様”しかいないわ!」

「そうよね!オホホホホ」

「ちなみに、アルの承諾も受けているわ。アハハハハハ!」


高笑いをあげる二人に私は内心絶句しました。

それでも拒否はできません。

私の実家は男爵家であり、アルベルト様は公爵の出。

身分の差から受けている教育の差もあるのは当然のことだからです。

それにミレーナ様の話では既にアルベルト様の承諾もあると言っています。

私は黙って受け入れました。


「……よろしくお願いいたします」






「ではまず、貴方の旦那の職業を答えてみなさい」


そう言ったお義母様に私はすぐに答えます。


「アルベルト様は王立騎士団に所属しており、第一騎士団団長を務めております」

「その通りよ。アルベルトは騎士団長を務めている、…となればその妻となる貴方にもそれ相応の実力を求められるわ」

「……ま、まさか私にも剣術を学べと…そう仰っているのでしょうか?」


お義母様の言葉から憶測を建てた私は顔を青ざめさせました。

ですがそれは行き過ぎた想像で、お義母様の求めるものとは違っておりました。


「そんなことは言わないわよ」

「ええ、流石に女性に剣を握らせようとは思わないもの」

「そ、それではなにを……?」


否定する二人に私は安堵しつつも尋ねます。


「家事に決まっているじゃない」


当然のように告げるお義母様に私は首を傾げました。


「あの……家事はメイドたちの仕事です。メイドたちの仕事を私がするのは……」

「まぁ!!なんてことなの!?」

「……ど、どうかなさいましたか?」


まるで芸術家が描く女性の叫びの絵画ように驚愕するお義母様に私はたじろぎました。


「どうしたのじゃないわ!貴方今とんでもない差別発言をしたのよ!?ひぃ!恐ろしいわ!」

「……え?」


私は意味がわかりませんでした。

そもそもメイドたちを連れてきたことは、アルベルト様も私と同じ考えなのだと思っています。

というよりアルベルト様から相談されたのです。

デルオ公爵様、つまりアルベルト様のお父様が再婚した事で、お義母様が連れてきたメイド達が加わり、公爵家で雇う人数が多くなってしまったとのこと。

長い時間の労働は身体に不調をきたす恐れがありますが、短すぎても問題となります。

雇用する人数が増えたことで、一人当たりの勤務時間が短く、サボっている者が見えてきたと報告が上がり始めたそうです。

だけど解雇するとなったら、公爵家からクビを言い渡されたということとなり、その者たちは次の雇用先に困ってしまう。

それでは罰が重すぎると考えた末、私達の元で働いてもらいましょうという話になりました。

公爵家で溢れていた労働者の過多は解消されますし、私たちも募集に時間をとられることもなくすぐさまお任せすることができるというメリットが生まれます。


それなのに、メイドたちの仕事を“とりあげる”?


「…あのお言葉ですが…」

「まぁ本当に性根が歪んでいるのね!」

「え?」

「だってそうでしょう?貴方の言葉は“メイド如きがする仕事を何故私が行わなくてはならないの?”と言っているようなもの。

メイドだって同じ人間よ?それなのに男爵令嬢如きの貴方がアルと結婚出来たからと調子に乗っている。アルの築き上げた実績を我が物顔しているだけなのよ。貴方自身に価値なんてないのに」

「なっ!」


何故そのような考えに至るのかわからず、私は思わず声を荒げてしまいそうになりました。

ですがぐっと堪えます。

ここで反論してしまえば肯定するようなものと理解しているからです。

そんな私に紅茶を一口飲んだお義母様はいいました。


「それにこれは貴方のためでもあるのよ?」

「……どういうことですか?」




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