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②私の初夜



私の旦那様となったアルベルト様はデルオ公爵家の三男として生まれた為、爵位を賜るのはアルベルト様のお兄様となります。

そして私も実家の爵位を継ぐのは長男であるため、実家でもデルオ公爵家の屋敷でも過ごすことはなく、アルベルト様が王都に土地を購入し建てた屋敷が私たちの家となりました。

ちなみに、言わなくてもわかるかとは思いますが、王都に屋敷を建てたのはアルベルト様の勤務先である騎士団の本部が王都にあるからです。


使用人とメイドを数人公爵家から私たちの屋敷へと連れてきたアルベルト様と私は、結婚式を終えた後屋敷に移動し、そのまま初夜を過ごすこととなりました。


照明の灯火を消してしまった部屋は暗く、月明かりでしか周囲を確認できる明かりがありません。

メイドに身支度を手伝ってもらった私は羞恥心を抱きながら、アルベルト様が待つ部屋の扉を開きました。

月明かりに照らされているアルベルト様は窓近くに備えられているテーブル椅子に腰かけていました。

私と同じくお風呂から上がったばかりなのでしょうか、少し上気した頬に汗ばんだ肌がバスローブの隙間から見えました。

そんなアルベルト様のお姿がとても艶っぽく、私は先程からドキドキしていた心臓を更に高鳴らせました。


「あ、あの…」「メアリー」


メアリーというのは私の名です。

メアリー・リンカー改め、メアリー・デルオとしてこれからアルベルト様と共に生きていきます。


そしてアルベルト様と言葉が被ってしまいましたが、私は「は、はい!」と返事をしました。

少し声が裏返ってしまったのが少し恥ずかしいです。


「こちらへ」


そう口にしたアルベルト様の傍に行くため、私は“少し透けている”夜伽の服を抑えながら近づきました。

今迄暗闇にいた私の姿は、アルベルト様からは見えなかったのでしょう。

アルベルト様の元に向かう私の体を月が照らし、アルベルト様の目が見開かれました。

アルベルト様の様子に、私は艶っぽいアルベルト様を見て忘れてしまっていた羞恥心を今更ながらに思い出しました。

脚を止め体を隠すように背中を向ける私を見て、アルベルト様が立ち上がり近づきます。


「……恥ずかしい思いをさせた」

「い、いえ…」


アルベルト様の言葉を聞いて、咄嗟に口にした私でしたが、やっぱり恥ずかしい気持ちは消えません。

顔を俯かせ透けて見えてしまっている胸を両腕で隠しました。

淑女教育では夜伽中は旦那様に身を任せることとされています。

これからどうすればいいのかわからなかった私は、恐る恐るといったように後ろに立つアルベルト様を見上げました。


「きゃっ!」


突然持ち上げられ私は小さく悲鳴をあげます。

ですがすぐに降ろされた私はベッドの上ということに気付きました。


私の顔の横に両手をついたアルベルト様は、私に覆いかぶさるように四つん這いになっています。

真剣な眼差しからは熱を含んでいるようにも見えて、私の心臓は爆発しそうな程に高まっていました。

でもそうなってしまうのも無理はありませんでした。

アルベルト様からの申し込みで婚約し、そして婚姻した事実。

私はアルベルト様に好かれている。

憧れて、そして私もアルベルト様に恋をしているのです。

好きな方と初夜を迎えているのですから。


「…いいか?」


と、アルベルト様に尋ねられた私は頷き目を閉じます。

アルベルト様の吐息を感じた次の瞬間、唇同士が触れました。


何度か角度を変えちゅっちゅっとキスを繰り返し、唇が離れたかと思えばまたくっつきました。


「口を開けて」


というアルベルト様の言葉に従い、閉じていた口を開くとアルベルト様の熱い舌が私の中に入り込みました。

ぞくぞくとした感覚が体を走ります。


……とまぁ、このような感じで私とアルベルト様の初夜は無事に終えることができました。




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