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71 外れる思惑

【 お知らせ 】

 毎日0時に更新していた本作ですが、リアル多忙等の理由により、遂に執筆が追い付かない事態となりました。

 そのため誠に勝手ながら、今後予告無く更新をお休みすることがあります。

 作者としましても連続で更新無しとならないように執筆していきたいと思っているので、今後とも本作をよろしくお願いします。

 実を言ってしまえば、このスタンピードの発生原因など、一冒険者たる俺達には関係無い。

 それは他の冒険者とて同様で、依頼…しかも参加は強制であるものの、参加するだけで100万ゴールドという報酬にむしろ非常に乗り気だ。

 危険の大きい前線組(Dランク帯)は、特別報酬に期待して気炎を上げている。

 俺が思った通り、安全というわけではないのに報酬も期待出来ない防衛組(Eランク帯)が一番沈んでいる。

 

俺達(〈白の大樹〉)はどうなるんだ?」


 俺はEランク、ニーニャが未成年のためGランク固定、この間ギルドカードの凍結が一部解除されたマリ姉はなんとDランクだった。

 すると平均は大体…EよりのEとFの中間。

 ニーニャがランク以上の実力を証明していることを加味して考えられたとしても、少なくともDランク帯(前線組)に回されることはなさそうだ。

 俺の考える理想は避難誘導だが…まぁ、人数の関係上防衛組に回されそうだ。

 人数分布的にはEランク冒険者が一番多いのだが、平均ランクを利用してDランク二人にEランク一人の三人、又はG・Fランクパーティーに引率役としてEランクが入って五人というような臨時パーティーが乱立しているのだ。

 理想からは外れてしまうが、〈白の大樹〉にはソロDランクで攻撃魔法使いのマリ姉がいるのだ。

 いつものように俺が壁になれば、マリ姉やニーニャに及ぶ危険など、二人が自分でどうにかしてしまう程度のものだろう。

 避難誘導だろうが、防衛組だろうが〈白の大樹〉として動いている限り懸念はあって無いようなものだった。

 そして懸念が晴れたところで、一旦置いておかれた話を開封する。


「クエストのことは了承した。

 …てことで、リタのその格好なんだが…?」


 こうして改めて見ると、無骨で丈夫そうなシャツ・ズボンの上下に、革の胸当て、肘から手首までの手甲に革グローブ、脛当て(レガース)

 腰には細剣…ではなく細身のショートソードと、副武器として短剣の二本を佩いていた軽装剣士という格好だ。


「実はですね、私もギルドに登録している冒険者なんです!」


 「エヘン!」と胸を張って、得意げな顔をするリタ。

 しかし俺はそれどころでは無くなってしまった。

 というのも…


フルルッ…!


(おおぅ、弾力っ…!)


 今はまだ胸当てを締めていないのかリタが胸を張ると、硬い革の下に隠されたものが揺れる。

 …これは俺が女に飢えているというわけでは決して無く、リタの揺れるそれが男という生き物に取って魅力があり過ぎるのだ。

 リタの得意顔も微笑ましいのだが、揺れて主張してくるそれに目を奪われ無いなど、成熟した男と言えるのだろうか?


ジトー…


「…むぅ。」


 そんな俺に一部の猛者達にはむしろ「ご褒美」と言われそうな視線を向けるマリ姉と、自分とリタのそれを見比べて拗ねたような声を出すニーニャ。

 最近のニーニャはちょくちょく自分のものを気にしているが、俺としてはニーニャの手のひらにフィットするサイズのそれも大好きだ。

 ただ勘違いして欲しく無いのは、あくまでもニーニャやマリ姉そしてリタの、俺に好意を向けてくれる女のものであるから好きなのであって、「女性の胸に貴賤は無い」などと気障なことをいう軟派野郎とは違う…断じて違う。


「…リタも戦う?」


 内心で熱弁する俺をダメだと断じたニーニャが、胸を張って得意顔のままだったリタに訊ねた。 


「いえ、私自身はFランクなので…」


 リタは成人前からギルドの業務に携わっていたと聞いているので、小遣い稼ぎの一環でギルドと取引できるように登録しただけの良くあるパターンだろう。


「ですがギルマスに手解きは受けているので、門で物資と人のやり取りを行わせていただきます!」


「!?」


 リタのランクの割り当てが街中の任務(避難誘導)で安心したところに、なんてことの無いように付け加えられた情報に驚愕する。


「ああ…、門を閉じて壁外組を閉め出すわけにはいかないものね。」


 言われて見れば尤もだとは思う。

 強さのランク的には余裕のある割り当てがされているが、それはあくまで目安であり乱戦では不測の事態が起こることだろう。

 そうして出た怪我人の退避や、物資の補給には門が空いている必要がある。

 リタは依頼を強制した側として、安全とは言えない場所で、戦う冒険者達のサポートをしなければならないのだ。


「そうですね…。

 それに皆さんみたいに戦う力は無くても、私は私に出来ることをやりたいですから。」


 であるにも関わらず、リタはあくまでも自分の意志であることを話す。


(良い娘や…!)


 「勇者」パーティーには救世教の「聖女」が同行していたが、俺にはリタのような娘が真の聖女ではないかと思う。

 仮にも「聖女」を名乗るのであれば、何気ない言動で誰かの内心をカンサイベンに変えてみろってんだ!


「健気ねぇ…。

 …それじゃ私達が貴女をしっかりと護ってあげるわ!」


 身分上決定権の無いマリ姉がリタに宣言したが、〈白の大樹〉に否やは無い。

 しかし…


「ありがとうございます。

 あっ、でも確か…」


 次のリタの言葉に、いくらリタの言葉と言えど俺は拒絶したくなった。


「〈白の大樹〉の皆さんは暫定的なパーティーランクがDだった筈ですよ?」


 

オークをポンと狩って来るパーティーがEランクなワケ無かろうに…。

因みに〈初心者の森〉魔物ランク(単体)


 歯鼠・角兎→G

 ウリボア・ゴブリン→F

 ウルフ・オーク→E

 オーガ→D


という感じです。



いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆、いいね等、執筆の励みになります。

「面白かった」「続きが気になる」という方は是非、評価の方よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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