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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
3章  白の大樹

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63 切れない剣の活用法

あれ?もしかして今までの買い取り魔石消えてた?


「──ってことらしい。」


 翌日、俺は今日の狩りの成果の精算待ちの間、昨日ガンキンに聞いた話を暇潰しがてらニーニャとマリ姉に話していた。


「ん~…、凄いの?」


「…あれを見せられたら、ねぇ?」


 俺の話を聞き終えて、微妙な反応を示す二人。


「…まぁ、そうなるか。」


 ガンキンの話を聞いた直後は聖剣の元となったかも知れないということに興奮した俺だが、一晩経って落ち着くと「でも壊れたし、ナマクラだし。」という現実的な考えが浮かんだ。

 ニーニャは“見えない来歴”より“自分が見たまま”で物事を考え、マリ姉は剣がどうというより剣を使っていたケインの無様な姿を思い出してしまうようだ。


「私達の反応は別として、ラス君はあれを使うつもりなの?」


 昨日ガンキンに見せに行ったのも元々は、マリ姉達には「修理が可能か確めるのが目的」と言っていた。


「ああ─」


「ええっ!?」


ビクッ!


 俺がマリ姉の「使うのか?」という質問に答えようとすると、マリ姉は俺が肯定したことに非常に驚き、マリ姉の驚いた声にニーニャが驚いて肩を跳ねさせる。


ザワッ!


 マリ姉の出した大声に、ギルド中の視線が集まる。


「…あ、尻尾膨らんでる。」


 一瞬静まり返ったギルドに、誰かの呟きが取り残された。


「っ!?……。」


モゾッ…


 その呟きにニーニャが反応し、然り気無く自分の尻尾をテーブルの下で抱えこんだ。


ザワ…、ザワザワ…


 直後視線が外れ、ギルド内に雑音が戻った。


「…ごめん。」


 ギルドがいつもの雰囲気に戻ったことで、騒めきの中で同じテーブルに着いて辛うじて聞こえる小声でマリ姉が謝る。


「ああ。」


「…ん。」


 その謝罪は果たして何に対しての謝罪なのか?

 …なんて野暮は俺もニーニャも特につっこむことなく、マリ姉の謝罪を受け入れた。

 

「8番の方、買い取りカウンターにどうぞ~!」


 と、ここで待ち札の番号を呼ばれたので買い取りカウンターに向かう。


「やあ、リタ。」


「…あっ、ラストさん!?

 これ(8番)〈白の大樹〉の待ち番号だったんですね?」


 臨時で買い取りカウンターで受付をするリタに声をかけると、何やら真剣な表情で買い取り詳細を見ていたリタは意外そうに言った。


「何か問題が?」


「いえ、ただ…いつもボンレスさんが〈白の大樹〉の持ち込む素材は綺麗だと言っていたので…。」


 ボンレスさんというのは買い取りのおっさんのことだろうか?

 俺が冒険者となってから数ヶ月、初めておっさんの名前を知った。

 それは置いといて、リタが言いたいのは買い取りに出した素材の状態がいつもと違っていたからだろうか?


「ああ!…上手いこと縄張り争いしていたとこを漁夫れたからな。

 買い取りの詳細を頼む。」


「はいっ、ええっと…。」


 以下、本日の成果だ。


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓


 討伐 ・オーク2体 6,000ゴールド

    ・ウルフ6体 6,000ゴールド


 素材 ・オーク肉200kg   30万ゴールド

    ・オーク革      3万ゴールド

    ・オークの睾丸2個  20万ゴールド

    ・魔石(中) 2個  2,000ゴールド

    ・ウルフの毛皮6枚  1万8,000ゴールド

    ・魔石(小) 6個  3,000ゴールド


  買い取り総額  56万5,000ゴールド

  買い取り手数料 5万6,500ゴールド

  支払い額    50万8,500ゴールド


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


 俺達の1日の狩りの成果としてはダントツの50万ゴールド(オーバー)の収入だ。

 惜しむらくはオーク肉とオーク革が少し、ウルフとの縄張り争いで駄目にされていたことか。

 代わりと言ってはあれだが、毛皮が冬用に買い取り強化されていたのは良かった。

 実はこれに加えて街と森を繋ぐ街道でニーニャがラットをスリングで討伐したのだが、証明部位やらの回収前にウルフに横取りされてしまった。

 今更200ゴールドを逃しても惜しくは無いが、魔物も冬を前にして必死に食い溜めをしている時期なのだろう。


「あの~、50万ゴールドものお支払いとなるとギルド預金をお勧めしたいのですが…。」


 確かに金貨を50枚も持ち歩くのは重いし不用心だ。


「ちょっと待ってくれ。

 …ニーニャ、マリ姉、ちょっとこっちに来てくれ!」


 ~説明&手続き中~


 ニーニャとマリ姉との相談の結果、これからは報酬の一部を現金で貰い、大部分をギルドに預金する方針で決まった。

 何故か支払いは俺のギルドカードからしか出来ないように押し切られたのが解せないが、ニーニャとマリ姉はむしろ嬉しそうなのでいつまでも文句を言っていられない。(のか?)


「んじゃリタ、また明後日な。」


「ばいばい。」


「また明後日会いましょう。」


 俺に続きニーニャ、マリ姉が辞去の挨拶をリタに言う。


「はいっ、また明後日お待ちしています!」


 こうして俺達は俺達のパーティーハウスへ、揃って向かうのだった。










「ねぇ、そう言えばケインの剣の件なんだけど…」


「ブフッ!?」

「クスッ…」


 帰宅中、マリ姉が話始めた言葉に吹き出す俺と、笑いを堪え切れなかった様子のニーニャ。

 

「ちょっと!何?」


 マリ姉は笑い出した俺とニーニャを咎めるが、本人が至って真面目なのがまた可笑しい。


「…あ、ああ悪い。

 ケインの剣がどうしたって?」


「あの剣を使うってどういうこと?」


 マリ姉の質問に、そういえば何も話していなかったことを思い出した。


「ああ…使うには使うけど、使うのはマリ姉だよ。」


「えっ!私?

 …でも私、剣なんか使え無いわよ?」


(…出来ればサプライズが良かったが。)


 誤解するマリ姉に、俺はネタバラシを決意して思惑を話す。


「マリ姉の持つ剣は護身用の短剣だけで良い。

 あの剣の剣身をマリ姉の片手杖(ワンド)にしようかなって」


 マリ姉は俺の治療費に杖を手放したのか、今まで素手で魔法を使用していた。


「あの剣身が魔鋼とかって素材らしくてな?

 杖が無いよりはあった方が良いだろ?」


 何だったら…金属製の杖なら万が一の際、短剣より扱い易いのではないか?


「あ…。」


「…嫌だったか?」


 マリ姉の反応に、勝手にし過ぎたかと不安になる俺。


「ううん、そんなこと無い。

 むしろなんて言うかこう…、凄く嬉しい。」


「良かった。」


 サプライズは出来なかったが、歩きにくい程身を寄せてきたマリ姉の様子に、俺は心からの言葉を返す。

 尚、この後マリ姉にたっぷりと“お礼”して貰ったのは…言うまでもなかっただろうか?


 

マリ姉、杖で殴るスタイルの魔法使い化か!?

…そして空気化したメインヒロイン。


ギルド預金は預金と言っていますが、要はクレカみたいなシステムです。



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所で質問獣人族って急成長とか来ちゃったりするのその年になると急に大きくなるとか?
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