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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
3章  白の大樹

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58 いざ尋常に…

兎「…遂に始まるわね。」

亀「ああ…、全てはFのシナリオ通りに。」

ヌッ(這い寄るナニか)

兎&亀「………。」(←気付いていない)

猫「………、えい。」

グサグサッ

兎&亀「死ーん…。」(返事が無い。ただの──)

魔女「…亀って本編に出てたかしら?」(←メタァ…)

 ケインとの会見から三日後、俺はギルドの修練場の真ん中で、槍を振るうこと無く修練場の出入り口に目を向けて佇んでいた。


ザワザワ…


「あいつ何してんだ?」


「さぁ?というか今日は貸し切りじゃないのか?」


「俺が知るかって。

 …お前知ってっか?」


「あ?…ああ。

 何かお貴族様が決闘するんだと。」


「決闘?…てことはあいつが貴族なのか?」


「バカかお前、どうみても冒険者だろうがよ。」


「うわ~…、何やらかしたんだか。」


「なんでも俺達はショウニン?らしいぜ?」


「商人?…売る物何か無ぇぞ?」


「証人だよアホ。…とにかく俺達は見てるだけでいいんだよ。」


「観戦のお供にエールはいかがですか~!」


 修練場の壁際に屯する野次馬の一部の会話に集中すると、そういった会話をしていた。


(三日でよく集まったものだ…。)


 ケインが決闘の日取りを三日後とした理由を知り、俺は嘆息する。

 決闘を受けるとなった途端妙に親切になったケインの説明では、決闘の立会人は最低でも貴族二人が必要で、今回は審判を兼ねて双方から二人ずつ用意することになっている。

 当然俺には貴族との伝がないのでギルマスに立会をその場で頼んだ。

 立会人の買収防止に立会人は当日まで秘されるものらしいが、俺が意図せず立会人を一人明かしてしまったので、ケインもセハスを立会人にすると明かしてきた。

 これに加え観客(ギャラリー)を呼び寄せたりするなど、ケインは俺に負けるなど露ほども考えていないことが窺える。


(決闘で油断してくれるとは…、ありがたいな。)


 確かにケインは貴族で俺より遥かに良い装備を揃えられるだろう。

 更に魔術学校を卒業した本当の魔術師だ。

 …以前ニーニャに魔術師について基礎的なことを教えた際、その中で「生物の持つ魔力同士は反発し合うため、生物に作用する魔法は難しい」というような説明をしたが、裏を返せば「非生物には魔力が反発せず、魔法が作用するのは容易」ということになる。

 つまり何が起こるかというと、防具の“物理的”防御力がほとんど用を為さなくなってしまう。

 非魔術師(攻撃魔法を使え無い)である俺を相手にするケインにとってこの決闘は、「攻撃魔法が当たれば勝ち確のヌルゲー」という認識なのだ。


『非魔術師の兵士を揃える意味を考えろ』


 この決闘がどれだけ俺に不利なのか説明され絶望する俺に、俺を絶望させた直後にギルマスが言った言葉だ。

 いくら強力な武器や魔法を使おうと所詮「人」、ある程度近い位置から始まる決闘ではその意味は大きい。(らしい)

 そう励ますギルマスの言葉を支えに、俺はこの三日間マリ姉にケインの戦い方を聞き出したり、マリ姉から聞き出したケインの武器である対細剣(レイピア)の戦い方をギルマスに稽古して貰ったりと出来る限りの努力をした。


(たった三日…、されど三日だ…!)


 この決闘にはマリ姉だけでなくニーニャの進退も懸かっている。

 「古歯鼠も竜を噛む」という。

 たかが貴族一人、(豚頭)鬼と呼ばれる俺が倒してやる!


ドヨッ…!


 出入り口近くが(ざわ)めいた。


カチャン カチャン

 

「待たせたな、我に挑む者よ。」


 そんな尊大なセリフを言いながら、人垣を割り現れたのは騎士のような板金鎧(プレートメイル)を装備したケイン。


(…あ、あ~…そういう作戦で来たか。)


 ケインが当てれば勝ちなら、俺は当たる前にケインを削り切るしかないのだが、ケインは俺の勝ち筋を潰したいらしい。

 というのも、ケインが板金鎧を装備して来たことで「細かい傷を大量に与えて、失血による行動不能を狙う」という作戦が使えなくなってしまったからだ。


「フフッ…、そんな貧弱な装備で我に敵うとでも?」


 板金鎧という金の掛かる装備をしたケインに対する俺の装備は、


 主武器 鋼の量産槍

 副武器 万能シャベルナイフ

  頭  装備無し

  胴  オーク革の胸当て

  腕  ボア革の小手

  足  革補強された布ズボン


 という、普段ニーニャやマリ姉を伴って狩りをするときより軽装気味となっている。


「まあ仕方ない「獅子魔物も角兎(ラビ)を狩るのに全力を出す」という。

 せめて我の全力を以て屠ってくれよう、セハス。」


「はい坊っちゃま、只今。」


 ケインの後ろに付き従っていたセハスが前に出てきて、両手で抱えていた細剣をケインに捧げ持つ。

 

(うわっ…、趣味悪いなぁ。)


 一言でその細剣を表すなら、「成金の細剣」といったところか。

 細かく説明すると、その細剣を納める鞘は全体が黄金に輝いており、ルビー・サファイア・エメラルド等の宝石の大粒が埋め込まれ、それ以外の部分は細かな銀装飾が施されている。

 更に鞘だけでなく柄も黄金色に輝き、一応握ることを考えられてはいるのか装飾の紋様は彫り込まれていた。

 またハンドガード部分には小粒ながら宝石が一つ…透明なのでおそらくダイヤが付けられてている。


シャリン


 一体いくらの値が付くのかという外見の細剣を、ケインは無造作に抜いて天に切っ先を向けて掲げた。


「「「「「おおっ…!」」」」」


「見よ、これがビレクト工房により蘇った正義の刃の輝きだ!」


(…ん?)


 陽光に翳された刃の輝きに野次馬の大部分は感嘆の声を上げる。

 しかし俺にはその輝きが、ガンキンからこの槍を買った際に見た数々の槍の(穂先)に比べてくすんで(・・・・)いるように見えたのだ。

 ついでに柄と剣身を固定する金具に対して、剣身が若干細いという点も気になる。


「さあ構えるがいい!

 我が家に伝わる〈宝剣・クーゲルシュライバー〉の錆にしてやろう。」


 ケインの高らかな宣誓に俺は違和感を振り払い、己の槍の穂先に巻いていた布を解いた。

 

自己強化スキル『天パの決意』

(ルビ:アク○ズショ○ク)

効果:人の心の光を見せる


※本編にこのようなスキルは存在しません。



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