52 休日終了(強制)
屋台の話長w(ほぼ2話分)
昨日もPV数が前日より大幅に増加しました。
まじでなんでや?
(困惑しつつもモチベが上がる単細胞な作者w)
騒がしく昼飯代わりの串焼きを食べ終わった俺達。
(まさか全部食べるとは…。)
ニーニャはオーク串2本を含み6本、俺とマリ姉はそれぞれ4本を食べた。
ニーニャは別として、俺とマリ姉がその本数を食べ切れたのは、串焼きに塗られたタレのおかげだろう。
このタレのおかげで胃もたれ必至のオーク串の油があっさりとしたものになり、食用に向かないウルフ肉も臭みがなくなり「ちょっと固い肉」程度の感覚で食べることができた。
マリ姉なんかはこのタレの秘密を探るべく、明らかにネタ枠のレッドクローの串焼きを食べたくらいだ。
マリ姉曰く、
「味の異なる食材のものを食べ比べることでこのタレに含まれる特定の要素を割り出し、割り出した要素を含む食用可能な物質を(以下、理解出来ないので略)」
ということだ。
だからといって激辛なことが分かりきっているものを、何の用意もなく食べるのは…正直言って「ばか」としか…。
「で、秘密とやらは分かったのか?」
わざわざ辛い思いと、ポーションを消費したのだ。
「何も分かりませんでした!」はちょっと納得し難い。
「理屈は理解出来たから、後は味よね~。」
期待に反してマリ姉は特製タレの仕組み(?)が分かったらしく、既に味の再現を検討している。
試行錯誤の末の“特製”を、一回食べただけで再現可能とは恐れ入る。
ノーブルは泣いて良いと思う。
…それはそれとして、今度から気に入った屋台があれば、一度マリ姉に食べさせることを心に決めたのだった。
…………………。
…………。
…。
食べ終わった串焼きのゴミを「屋台通り」にいくつか設置されている屑籠に捨て、俺達は買い出しを再開する。
「ラス君、後は何が必要なんだっけ?」
「…。」
キョロキョロ
(怪しい男は…うん、いないな。)
俺はノーブルに聞いた話から、ニーニャを探しているという男らしき人影が近くに無いことを確認して、ひとまず安心する。
「ちょっとラス君聞いてる!?」
「うわっ、スマン!…何だって?」
気を抜いた瞬間に浴びせられたマリ姉の怒った声に、俺は反射的に謝罪をしてから用件を訊ねる。
「はぁ…、「ぼー…」っとしてたら危ないわよ?
後は何が必要かって話。」
別に呆けていたわけではないのだが、マリ姉に話しかけられていることに気付けなかったのは事実。
こういう時に言い訳をしても、大概は互いに不快な気分になるオチだ。
だから俺はばつの悪い顔で、とりあえずマリ姉の質問に答えた。
「あー、…後は聖水くらいじゃないか?」
実はニーニャが空腹を訴えてきた時点で買い出し自体は完了していた。
もしニーニャが空腹を訴えてきていなかった場合、教会で聖水を1ダース貰ってから、家で少し遅い昼飯と洒落込む予定だったのだ。
予定外に高めの外食になりはしたが、おかげで「ニーニャが狙われている」という情報を得たので、結果的には良かったと俺は思う。
…………………。
…………。
…。
創世教の教会内。
「こちらがお求めの〈二級聖水〉になります。」
救護院で世話になったシスターが、聖水瓶の入った細長い木箱を渡してきた。
「ああ、助かる。」
ゴソ…
「これは寄進だ。」
俺はシスターから木箱を受け取り、ポケットを漁って予め用意していた銀貨1枚を渡す。
「ありがとうございます。
あなた方に神の祝福がありますよう。」
…という慣れたやり取りの後、俺達は教会の出口に向かう。
「ん、はぁ~…。
いっつも思うんだけど、相変わらず肩が凝るやり方よね。」
大きく“伸び”をしたマリ姉が、シスターに聞こえない程度の声量で言う。
ユサッユサッ
(おおっ…!)
マリ姉が上げていた両腕を脱力に任せて下ろすと、反動によりマリ姉の豊作の果実が上下に揺れる。
…まぁ、マリ姉の言いたいことは分からなくもないが、教会の施しと信者の寄進という体をとることで組織の腐敗を抑えていると言われたら、教会の恩恵を受ける側としては教会のやり方に文句は言えない。
それはそれとして…
(肩が凝るのは別の理由じゃないのか?)
「肩が凝るのは、その胸のせい。」
俺が(半分冗談に)疑問に思ったことを、断言する形でニーニャがぼそりと言う。
視線を正面に固定し絶対にこちら側を見ようとしないニーニャから、何やら黒いモノが滲み出ていたのは…きっと目の錯覚だろう。
「おっ、へへ…今日の俺達はついてるぜ。」
自分を誤魔化しながら教会から出ると、どこかで見た顔の「ザ・荒くれ」な4人の男達に囲まれた。
「おめぇがラストか?」
サッ
「…何の用だ。」
咄嗟にニーニャを背に隠し、俺は警戒も顕に男達に問う。
「おぉっ、勇ましいねぇ?」
「警戒するなよ、傷ついちまう。」
「なぁに、ちょいとある所に顔出して貰いたくてな?」
俺の問いに、口々に応える男達。
(見つかっていたのか!?いつの間に?)
ニーニャ…とついでに後衛のマリ姉を背にしつつ、俺はこの状況をどう打開するかに考えを巡らせる。
街中での乱闘はご法度だが、自己防衛なら罰は受けるが赤にはならない。
有効かどうかは別として、この際過剰防衛を装って口封じしてしまおうか?
ザッ…!
俺の名前を尋ねてきたリーダーらしき男が、囲みから一歩踏み出す。
(…、いつでもこいっ!)
俺は男の初撃を凌げるように気構える。
「ギルドに行け、ギルマスが探していた。」
「…。」
まさかのまともな用件に、俺はなんとも複雑な気持ちになってしまう。
(…お前らも苦労してるんだろうなぁ。)
俺が向けられてきた感情とは別物だろうが、容姿で苦労するということに勝手ながら共感する。
ペコ…
そして俺と男達のリーダーは、どちらともなく軽く会釈をし合う。
この時の俺達は言葉を交わさずとも、確かに同じ苦労を分かつ“同士”であったのだった。
異世界あるある:見た目ゴロツキだけど善良な奴ら
ネタが分かると男Cのセリフが切実過ぎる件
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