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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
3章  白の大樹

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51 思い出の味?

モブに肉がついていく…、何故だ!



昨日のPV数がいきなり倍近くになっていて不思議に思った作者です。

ご好評、ありがとうございます。

 いつかもそうだったような気もするが、この串焼きにされているオーク肉は多分…昨日俺達が倒してギルドに売却したオークの一部だ。


「いらっしゃい!

 〈ノーブルの串焼き屋〉に無い串焼きは無いぜ!」


 (俺達)が来たことに気が付いた店主が、決まり文句(?)を言いながら、焼き網に落としていた視線を上げる。


「おっ?」

「…ん?」

「あっ…!」


 顔を上げた店主は俺達を見て面白そうな反応をし、俺は店主にそんな反応をされる理由が分からなかったが、ニーニャは何やら気付いたような反応をする。


「あん時のデカい兄ちゃんと白猫の嬢ちゃんか!?

 また来てくれたんだな。」


 メニューの既視感と俺とニーニャを知っているらしき店主。


「…あっ、あの時の!」


 ここに至って、俺はようやく思い出した。

 ニーニャを保護した日、ニーニャがねだった串焼きの屋台のおっちゃんだ。

 あの時はニーニャ(美少女)に頼られるという人生初の経験に浮かれていて、ニーニャの求めるまま、ろくに店も見ずにオーク串を購入したのだったか。


「覚えていたのか…。」


 あの時から今日までは数ヶ月の期間が空いている。

 その間この屋台に客が一人も来ないというのはあり得ないし、通りすがる街人を含めると、たかが一見の客であった俺とニーニャを覚えているとは思わなかった。


「そりゃお(めぇ)さんみたいなデカい男が、白猫の嬢ちゃんみたいな可愛子ちゃんを連れて歩いていれば…なぁ?」


 俺の呟きが聞こえたらしき屋台の店主…ノーブルが、むしろ忘れる方がおかしいといった返しをする。

 …多少注目されていたことは自覚していたが、どうやら俺の自覚以上にあの時の俺とニーニャは目立っていたらしい。


クイクイ…


「ねぇご主人…。」


 ノーブルと話し続ける俺に、空腹で元気が出ないのか、ニーニャが控えめに催促してきた。


「おっと、しまった!

 客にひもじい思いをさせたままとは、〈ノーブルの串焼き屋〉の名折れだな!」


「あ、悪いニーニャ。

 オーク串4本に、えっと…肉串と野菜串をお任せで10本くらい。」


 俺はニーニャに謝り、おどけるノーブルに慌てて注文する。

 注文した後に10本は多いかと思ったが、昼飯代わりだ。

 

(それに余ったら晩飯で食えば良い。)


 そう思いはしたものの結局、食べ盛りのニーニャを主に、マリ姉もタレの研究がてら(成人男性)と同じ本数を食べ、買った串焼きは一本たりとも余ることは無かった。


 …という未来を知らない俺は串焼きが焼けるのを待つ間、ノーブルから様々な話を聞かされたのであった。

 そのほとんどが「串焼きに使っている甘珠瓜は末姫様のために品種改良された、その名も〈王女甘珠瓜〉という」や、串焼き屋台はノーブルの趣味でやっていること、東隣の国の麦が不作だったこと、ノーブルの本業がしばらく忙しくなりそうだということ…等の、俺達には直接的には関係しない話であった。

 …しかしその話の内の一つ、というより警告が問題だった。


(ニーニャの所在を聞いて回る“自称「商会役員」の男”ねぇ…。)


 ニーニャに関わりのある商会というと、〈アーコギ商会〉が思い浮かぶ。

 男は商会名を明言しなかったらしいが明らかに怪しいので、ノーブルはその男の質問に「知らない」と答えたそうだ。

 いくら田舎の街と言ってもそれなりに人は多いわけで、そうそう特定されるものではないが、俺達は思っていたより目立つことがわかったため楽観は出来ない。


「ご主人どうしたの?」


 ノーブルの話を聞いて表情が強張っていたりしたのだろうか?

 夢中で串焼きを頬張っていたニーニャが、いつの間にか串焼きを食べるのを止めて、俺の顔を覗き込んでいた。


(いかんな…、ニーニャに心配をかけてばかりだな。)


 スマト村のウリボア退治の後もそうだったが、落ち込む俺をニーニャが慰めようとしてマリ姉に相談した結果が、あの日の逆夜這いだったらしい。(マリ姉の供述)

 今でさえ際どいことをしているのに、これ以上マリ姉に変なことを吹き込まれても困る。


「いや、皆大変だなって思ってな。」


 俺が聞き流した話の中には、話の当事者の生死が関わるようなものもあったので、俺がそう思ったのもあながち間違いではない。

 ただ…他に意識を向ける優先度が高い問題があるだけだ。


「…“それ”旨いか?」


 ふとニーニャの持つ食べかけの串焼きに意識が向き、俺はついニーニャに訊ねた。


「ん、…ご主人も食べる?」


 味を訊ねたことで、俺がその串焼きを食べたがっていると勘違いしたのだろう。

 頷いたニーニャは食べかけのそれを、俺の方へと差し出してくる。


「い…いや、今は腹がいっぱいでな。」


 一口味見する程度も出来ないほどではないものの、焼いた甘珠瓜を食べたら吐く未来しか見えないので断る。


(ノーブルぅっ!甘珠瓜は野菜じゃねぇだろ!?)


 本職不明の趣味屋台のオヤジに、俺は内心で抗議の念を送るのであった。


「ぎゃああぁっ、か…辛っ!?

 み…水、誰か水をちょうだいぃ~!」


 マリ姉はレッドクロー((鷹の爪))の串焼きを食べて悲鳴を上げている。

 てか、何で食べた!?


「ゴクゴク…ぷはっ、治ったぁー!」


「水代わりにポーション飲んでんじゃねぇ!?」


「え、…どうしよう?」


「いや、買い直すだろ。」


「モグモグ…。」


 大騒ぎする俺とマリ姉。

 その横ではニーニャが、マイペースに甘珠瓜の串焼きに舌鼓を打っていた。


「モグ…。

 あま…、うま…。」

辛さは痛感なのでポーション飲むのは正解だったり?

(それにしてもマリ姉のポンコツ化が激しい)




いつも読んでいただきありがとうございます。


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