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4  実績解除:初めての街

地の文の()内は無視してもOKです。

※読みづらい等の意見があれば削除を検討します

「全くお前はいつも、いっつも笑えない冗談を懲りもせず…。

 周りへの迷惑と尻拭いする俺たちの苦労をいい加減解らんか。」


 気さくな憲兵(名前はジョンというらしい)が大袈裟な反応をしたことで、悪い意味での注目を集めてしまった俺。

 しかしすっ飛んで来たジョンの上司らしい((ヘルム)に羽根飾りが立っている)憲兵が、ジョンが初顔にやる恒例の悪戯だとすぐに察し、周りに勘違いだと説明と謝罪をしたことで、ようやく門は日常の光景を取り戻した。(らしい)


「お前さんも来て早々済まなかったな。

 詫びにコイツ(ジョン)に入門料を払わせる。」


「本当に?…ありがたい。」


 本来ならば、門番の憲兵が入門料の支払いを行い、街に人を入れるのは良くない行為らしい。(犯罪者を賄賂で街に入れることに繋がるらしい)

 しかし今回の場合、誤解だったとはいえ、無実の者が犯罪者扱いされる要因に憲兵自身がなったということで、迷惑料として特例になるとのことだった。

 随分と安い迷惑料だが、手持ちが心許ない俺にとって、入門料がタダになるのは大きい。

 これで取り敢えずは「街で野宿」という事態は避けられた。(最低限の宿は1,000Gで一泊できるらしい)


「せっかくだから一番安い宿と、仕事を紹介してくれないか?」


 初めての街で自分で探すよりも、仕事柄こういった質問に慣れていそうな門番に聞いた方が早いだろう。

 一応スマト村民御用達の宿は聞いて来たが、宿に荷車を置く必要の無い俺は、より安上がりの宿が期待できる。


「一番安い宿か…、知ってはいるんだが…。」


 俺の期待通り、羽根飾りの憲兵は一番安い宿を知っているようだ。

 

「何か問題でも?」

 

 言い淀む羽根飾りの憲兵に焦れた俺は、単刀直入に尋ねる。

 建物が古いとか、部屋が狭いとか、寝る時は床に臭い毛皮とかは問題ではないのだが…。(村民御用達の宿がそんな感じらしい)


「お前さんが今想像した通りなのは勿論なんだがな…、その宿に泊まったら幾つかの物を失くすって専らの噂でな。」


 俺が思い浮かべた「古い・狭い・臭い」は、ある意味で安宿の必須条件で、羽根飾りの憲兵の知る宿は更に悪条件が重なっているらしい。

 羽根飾りの憲兵が言うには、


「物を失くすのは自己責任だが、幾つかの物ということは、物取りにあっている可能性が高い。

 実際何回か通報を受けて例の宿を捜索したんだが、紛失した物品は一つも見つからなくてな。

 部屋のドアに鍵なんかついて無いから、容疑者が多くて聞き取りも片っ端からせにゃならんかったし…。」


「それは…、ご苦労さんだったな。」


 結局のところ、紛失した物品が日用品(さほど価値のない物)だったり、被害を訴える者が街人でなかったりで、以後この宿への訴えは無視されることとなったらしい。(憲兵への報酬は街人の納税から支払われているため)

 しかし宿には黒い噂が立ち、憲兵も聞かれた場合は、こうして注意喚起を行っているということだった。


「というわけで、俺が勧める宿は〈寝るだけの宿〉だな。」


 実に分かりやすい名前の宿だが、実はそこが村民御用達の宿だったりする。

 なんでも背負いの行商や、近隣の村々から物を売りに来る村民を客に想定した宿らしい。

 そこならば地図を貰えたので迷うことはなさそうだ。


「それと仕事なんだが、今の時期は期待しない方が良い。

 お前さんのそのガタイなら冒険者でも通用するさ。」


「何だって?」


 街は村なんかより遥かに大きく、その規模に見合った多種多様な仕事があるのではないのか?


「もう少し早い時期か、冬前なら選べるくらいにはあるんだが…。」


 基本的に街にある仕事は街人が担っている。

 しかし街には、一定期間ごとに近隣の村から、俺のような者達が仕事を求めてやって来る。

 そこで街の多くの仕事場では、働き盛りの若者を最低限の賃金で雇えるとあって、作付けの終わった6月初頭と、収穫の終わった10月末の年に二回、労働者の整理が行われる。

 今は6月も中盤を過ぎた時期。

 この時期になると振るい(篩)にかけられ残った新人が仕事に慣れ始め、仕事の枠が埋まりきってしまう。

 

「なん…、だと…?」


 自分の風評と引き換えに入門料がタダになったとはいえ、すぐに仕事に就かなければならないのは変わらず。

 なのに肝心の仕事が無いという事態に、俺は足元が崩れ落ちる錯覚に襲われた。


「まぁ、一応商業組合(ギルド)の紹介所で仕事を探して見れば良い。

 もし仕事が見つからなくても、冒険者になれば良いだけさ。」


 そう言って俺を励ます羽根飾りの憲兵。


「商業ギルドはこの通りを真っ直ぐ歩いて行って左側に見える(金のマーク)の看板の建物だ。

 仕事が見つかることを祈る。

 …あ、因みに向かいの建物が冒険者ギルドな。」

 

「あ、ああ…。」


「それじゃ改めて。

 『ようこそ、ベビーリーフタウンへ!』」


(それ、必ず言わなきゃならないのかよ!)


 祈ると言いながら冒険者ギルドの場所を教えてくることに、羽根飾りの憲兵の本音を感じ、内心で門番の仕事(定型の台詞)に突っ込みつつ、俺はようやくベビーリーフタウンの門をくぐったのであった。

地の文の()内は一々説明すると話が長くなるので、設定を伝聞として入れています。(「らしい」が多いのはこのため)(←また()だし)(←今度は二つも!)(←キリがない☆)


???「作者の文章力の敗北じゃけぇ」



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