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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
2章  ラスト、パーティーを結成する

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43 ゴブリン顔に鉄拳

ちょっとザマァ回

カンカンッ、カッ


 ギルドの修練場に小気味の良い音が響く。


カンッ!


 一際大きな音を響かせ、俺は構えを解く。


「フゥー…。」


カーン…カーン…


 深い息を一つ吐き脱力したところで、丁度天後二の鐘((午後2時))が聞こえた。

 木人への打ち込みを始めてすぐに分け鐘((30分毎の鐘))が聞こえたので、鐘一つ((30分))は打ち込みをしていたことになる。


「ご主人、お疲れさま?」


 動きを止めた俺に、一区切りついたと思ったのか、ニーニャが首を傾げながら手拭いを渡してくる。


「ああニーニャ、ありがとな。」


 なんだかんだで鐘二つ丸々は修練していたこともあり、ニーニャから手拭いを受け取り、お返し代わりに頭を撫でる。


ぎゅっ


「むふぅ~…」


 するとニーニャはあろうことか、汗だくの俺に顔を埋めるようにして抱きついてきた。


「おいニーニャ、離れ」

 

「ふにゃぁ、ご主人…♡」


 慌ててニーニャを引き剥がした俺だったが、そのせいで見えたニーニャの蕩けた表情と甘えた声に言葉を失った。


(その表情(かお)はヤバい!)

 

 蕩けた表情にも種類があるが、ニーニャのその表情は昨晩マリ姉で知った表情と同種のものであった。

 つまり公共の場でしてはいけない表情であり、何故か今日に限って利用者の多い修練場では致命的だ。


ガバッ!


 そう認識するや否や、俺は無意識の内にニーニャの顔が他の野郎共(冒険者達)に見えないように、手に持っていた手拭いをニーニャの頭に被せた。


「ふぁっ、ご主人…!?」


「マリ姉、ニーニャを頼む!」


 突然視界を遮られ驚くニーニャを他所に、俺とニーニャのやり取りを見守るようにしていたマリ姉を呼びつけ、手拭いを被せたままでニーニャを預ける。


「頼むって…、ラス君は?」


 急なことに戸惑いながらも、俺が押し付けた“マル危”状態のニーニャを抱きすくめるマリ姉が訊ねてくる。


「俺は」


「オット-、テガスベッタ-。」


 「もう少し慣らしてから行く。」と続ける前に、木剣が俺目掛けて振られる。


ゴッ…!


 鈍い打撃音。


「ぶぎゃ~っ!おで、おでのはにゃが~っ!」


 痛みに悲鳴を上げ、転げ回るのは木剣を振るってきた冒険者。

 実を言うとその冒険者は、俺が打ち込みを始めたあたりから、俺に悪意を隠していない視線を度々向けていたのだ。

 それに加え、俺とニーニャがやり取りをしている間に、木剣を振り回しているにも関わらず、俺達にやたらと近い位置に寄って来ていたことから“万が一”に備えて警戒していたのだ。


(まさか、わざと“万が一”をやってくるとまでは思わなかったな。)

 

 その冒険者には“借り”もあったので、この際仕返しも兼ねて警告に対応してみたところ、俺の持つ木槍の石突部分が見事に顔面を捉えたというわけだ。


「ホラフキー!」


「大丈夫かっ!?」


(ひで)ぇ…、鼻と歯が折れてやがる。」


 その冒険者…法螺吹きホラフキーのパーティー仲間らしき、いかにもチンピラの三下感溢れる野郎三人が、俺に非難の目を向けてくる。


「そりゃ剣が飛んで来たら、咄嗟に防御(反撃)はするだろう?」


 避けられないこともなかったことを敢えて言わず、修練場にいる他の冒険者達に正当防衛だとアピールする。


ザワ…ザワ…


「確かにそうだけどなぁ…。」


「鼻と歯が折れてるって言ってるぜ?」


「でもホラフキーが近過ぎたのは確かだし…。」


「どこで練習しようが勝手だろ?」


「んなこと言っても暗黙の了解(マナー)って奴があるだろ。」


 元々がこんな時間(真昼間)にギルドに屯する不良冒険者だ。

 不相応な美女・美少女を侍らせる俺の主張に、正当性はともかく否定的な者がやや多いようだ。


「チクショウッ!」


「前からお前のことが気に入らなかったんだ!」


「ホラフキーの仇だ!」


 そう言うとホラフキーパーティーの三人は各々の武器を構えた。


「おいおい、マジかよ…。」


 当然ながらそれは犯罪行為だ。

 そこまで恨まれているのかと愕然としながらも、俺は木槍を構え直す。


「「「………。」」」


「………。」


 睨み合い、一触即発。


ザッ…


 踏み込み飛び出す、まさにその瞬間。


「トン、チン、カン、そこまでにしろ!」


ビビクゥッ!


 修練場に響いたギルマスの声に、4人揃って飛び上がる。


「ギ、ギルマスッ!?」


「何でここに!?」


「えっと…、これは…その。」


 自分たちが犯罪行為を行っていることを自覚した三名は、水を浴びたのかというくらいの冷や汗を流し始める。


「馬鹿者共がっ!」


ドカッ、バキッ、グシャッ!


 武器を抜いた三名に、ギルマスの制裁が下る。

 …約一名は人体から出てはいけない音を出したような気もするがギルマスのことだ、問題は無い(生きてはいる)のだろう。


「三日間は牢屋で反省しやがれってんだ。」


 街中で武器を抜いただけであればその程度の罰で済む。

 なんならギルマスの制裁ですら過剰な罰になりそうなものであるが、それは言わぬがブッダ()だろう。

 不細工(ゴブリン顔)になったホラフキーを含め、気絶したままのホラフキーパーティーに説教を垂れ続けるギルマスを尻目に、俺達はそそくさと修練場を脱したのであった。


因みにギルマスが修練場に来たのはマリアの件でラストに用があったからです。

(当然脱走したラストは後でギルマスに怒られた)




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― 新着の感想 ―
トン、チン、カン。…ス○ルにボコられた奴らかな笑真っ先に○e:ゼロが思い浮かんでしまった。
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