27 二人で迎えた初めての朝
ラスト視点なのでニーニャの行動が謎過ぎに見えますが、ニーニャはニーニャの考えで行動しています。
つまり天然じゃなくてようしょ
(※これ以上は赤い汚れで判読出来ない。)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃〈緊急〉目覚めたら裸の美少女!?〈事態〉┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
…というような雑談板が立ちそうな今の状況。
しかし!
気絶しまくりだった昨日の俺と同じ…と、甘く見ないで貰おうか?
「えっと…ニーニャ、その…服はどうした?」
気になるが、全力でニーニャの方を見ないように天井に視線を固定し、やっとのことで吃りながらも、何故ニーニャが裸なのかを問う。(何故“直”で聞かないのかは察して欲しい)
「服?…これ。」
シュルル…
俺がニーニャに「裸」という言葉を言えない蛇尾鶏なばかりに、俺の質問の意図を微妙に捉え間違えたニーニャが、肩に掛けていた白い布を、天井を向く俺の口元に持ってきた。
(何でそこに置いた!?…あ、昨日より濃い。)
そりゃ直接嗅げばそうだろう…あ、待て。
俺は決して美少女の衣服の匂いを嗅いで冷静に分析を始める変態ではない。
ただ…ニーニャの匂いを嗅ぐと、不思議と気分が落ち着くだけだ。(それを人は変態という)
「あ、シーツじゃなかったのか。」
よくよく考えると、この宿のベッドに、シーツなどという上等なものはなかった。
「じゃなくて、何で…その~…脱いでるんだ?」
ニーニャには迂遠な言い方は伝わらないとみて、俺は胃を決して直接的に聞いた。
「ご主人倒れたから。」
「え?」
思ってもみなかった回答に面食らう。
「具合悪いなら体暖めて寝る。
くっつくと暖かい、服邪魔。」
つまりニーニャは、気絶した俺を看病するために、獣人流効率の良い治癒術を行っていたということか。
ニーニャのその健気さに、ニーニャに興奮して勝手に限界を迎えて気絶した俺が穢らわしく思えてきた。
「ご主人元気になって良かった。」
フリ…フリ…
そう言うニーニャの尻尾が、機嫌良さげに左右に大きく揺れる。
フニッ…フニッ…
しかし尻尾の揺れに合わせて小柄なニーニャの身体も左右に揺れ、他に比べ発育のよい部分が、交互にその柔らかさを押し付けてくる。
ぐっ
「っ!…ニーニャすまん、そろそろ退いてくれるか?」
身体のとある場所に血が集まる気配を感じた俺は、朝っぱらから失態をおかすことを危惧し、俺に乗るニーニャを退かそうとした。
コリッ
「ふやぁんっ!」
ニーニャを退かすため、まずは起こそうと焦ったのがそんなに悪かったのか。
両肩を俺に押され、僅かに反ったニーニャの身体。
今まで押し付けられていた柔らかさの頂点が、圧力から解放された反動で俺の肌と擦れた。
敏感な部分に刺激を受けたニーニャは、その未熟な外見からは想像のつかない艶のある声を出した。
(あ、ヤバい!?)
そしてニーニャの媚声を聞いた俺の身体は、準備ができていたこともあったのか即座に反応を示した。
グリッ
「んあっ!」
オワタ。
昨日のニーニャの行動からすると、俺の猛りがバレてしまえば、ニーニャは受け入れようとするだろう。
こうなってしまって、受け入れ態勢を取られてしまえば、俺の理性は塵芥に等しい。
「ご主人、これ…。」
自分に押し付けられる俺の猛りに気付いたであろうニーニャ。
(頼むからそれが何なのか知らずにいてくれ…!)
マーカスの話からその可能性は限りなく低いとはいえ、願わずにはいられなかった。
「…あぅ。」
そろっ…
(えっ、何その反応!?)
思わず俺は飛び起きる。
願いは届かなかった…と思われる。
しかし俺の猛りに気付いたニーニャの反応は俺の予想に反し、顔を真っ赤にしたニーニャが、俺の猛りを刺激しないように俺から降りるという結果に終わる。
「「………。」」
顔だけでなく全身を朱に染めたニーニャが、朝日に照らされ、俺の前に立っている。
(あー…、服は邪魔って言ってたもんなぁ。)
そこで俺は限界だった。
「ちょっと便所に行ってくる。
…あ~、服は着ておけよ?」
そう言い残し、ニーニャの返事を待たずに上着とパンツを素早く着てから、宿の便所に猛りの発散に向かったのだった。
… … … … … … …。
… … … …。
…。
「おやおや…お前さん、昨夜のお楽しみに失敗しちまったのかい?」
服をちゃんと着直し、ニーニャと連れ立って再び宿の一階に降りると、俺とニーニャの微妙な雰囲気を見た女将が、お決まりの文句をアレンジして訊ねてくる。
「ああ、…そうだな。」
先ほど便所に降りた時には何も言われる間もなく便所に入った俺だが、女将の「揶揄ってやろう」という顔ははっきり見えたのだ。
「…へぇ、そりゃ残念だ。
食事はどうするね?」
俺の返答にそれ以上からかえないことを理解したのか、つまらないという顔になりながらも、朝食を宿で摂るかを訊ねてきた。
「ああ、二人分頼む。」
そう言って俺は、宿の受付台に銀貨を1枚置いた。
「毎度、すぐに出すからそこで待ってな。」
銀貨をしまい顎でテーブルが並んだ場所を示すと、女将は厨房へと入っていった。
「ニーニャ、あそこに座ろう。」
「…ん。」
名前を呼ぶと警戒するようにピクリと反応するニーニャだが、別々のテーブルに座ろうとする程ではないようで、俺は少し安心する。
「お上がりよ。」
テーブルに座って本当に直ぐ、女将が朝食の一皿料理を2皿持ってきた。
(…ずっと気まずいのも堪えるなぁ。)
今日のメニューである、ロールパン2つにスクランブルエッグ、ミックスサラダを食べながら、俺はニーニャとの仲直り(?)の方法を考えるのであった。
因みにニーニャの皿のスクランブルエッグの量が、俺の皿の1.5倍ほどあったように見えたのは、決して俺の勘違いではないだろう。
(まぁ、別に良いけどさ…。)
…やっぱり、毎回はやめて欲しい。
これにて1章(奴隷少女との出会い編)終了!
昼に登場人物紹介上げます。
???「コイツら“も”イチャつきよって…!」
スクランブルエッグの量に関しては、女将が腹いせ的にラストの分をニーニャの皿に移しただけだったりします。(安宿がサービスで増量するとでも?)
いつも読んでいただきありがとうございます。
ブックマーク、☆、いいね等、執筆の励みになります。
「面白かった」「続きが気になる」という方は是非、評価の方よろしくお願いします。
感想、レビュー等もお待ちしています。




