25 少女に振り回される大人たち
フラグ「はい、回収しちゃおうね~♪」
クリスマスに グハッ>(゜Д゜(⊂(゜Д゜)<シャラープ
「うぷっ…、食い過ぎたな。」
「けふっ…ん、お腹いっぱい。」
ニーニャが自らの下着を俺に晒すというハプニングがあった後、嫉妬と僅かな正義感に狂った冒険者達が血涙を流しながら気絶した俺を憲兵に引き渡そうとしたり、引き渡された俺をとりあえず詰所に連れて行こうとした憲兵をリタとニーニャが止めたり、目覚めた俺がその憲兵が街初日に約束を交わした憲兵だと気付いたり、誤解の解けた非番の憲兵(彼はマーカスと名乗った)を昇級祝いに誘って約束を果たしたりと色々あった。
中でも一番の衝撃は…
─ ラストのE級昇級祝いの席の一幕 ─
「ゴキュゴキュ…ぷは~っ、やっぱ奢りの酒は旨いぜ!」
出来上がったマーカスが、本日3杯目のエールを飲み干して言う。
誘ったときは「冗談だったんだが…。」などと遠慮していた癖に、付き合いで1杯飲んでからおかしくなった。
どうやらマーカスは、酒好きだが酔うのが早かったらしい。
「にしてもラスト、お前ちょっと細くなった途端にこんな美少女を掴まえる何てな?」
そして絡み酒でもあるらしく、同席するニーニャを意味深に見て俺に言う。
「そんなに変わったか?」
細くなったと言われ、無自覚だった俺は半信半疑で聞き返す。
俺の身体はそういう体質なのか、これまで幾度減量しようとしてもオーク体型は変わらなかった。
「あー…いやそういう意味じゃねぇ。
ただ前は脂肪って感じだったが、今は脂肪の下にちゃんとした肉がついてるみたいに見えるぜ?」
つまり身体の太さは変わらないが、中身が多少変わったということか。
それについてなら、自分でも冒険者を始めてから腹回りが引き締まったと感じていた。
「前はともかく…今のお前なら好む女もいるだろうな。」
そう言ってマーカスはギルドの奥に視線を向ける。
ギルドの奥と言えばギルマスだ。
…確かにギルマスも俺程ではないが、細身とは無縁の体型をしている。(この際内訳は考慮しないものとする。)
なのにリタのように可憐な娘を産んだ(推定)超美人を妻に出来たのだ。(この際冒険者ランクは略)
「獣人なんかはその傾向が強いらしくてな…」
ニーニャは猫人族…つまり獣人であり、マーカスの言う通りならワンチャンあるってことだ。
「ん、大きいは強い。」
ニーニャがマーカスの言葉を肯定する発言をし、また料理を食べ進める。
「良かったなラスト、獣人の女の具合は人間族とは比べ物にならないらしいぜ。」
「ぶふっ…!ちょ…おま、ニーニャはまだ子供だぞ!?」
あまりにも明け透けなマーカスの物言いに、俺は口の中身を噴き出しマーカスを咎める。
憲兵の癖に子供の教育に悪過ぎる!
「あん?…ああ、安心しろ。
俺たちの成人は15だが、獣人の成人は13だ。」
マーカスは獣人の発育は人間より早いから大丈夫だと言いたいようだが、それにしてもニーニャに男女のアレコレの話は早いと思う。
「ん、わたし12才。」
「「…はっ?」」
俺とマーカスの声がハモッた。
…てか、あまりの衝撃にマーカスの酔いが醒めただとっ!?
「12才、だと…?」
そう呟いたのはマーカス。
ニーニャは子供じゃないと自分で言っておきながら、その驚きようは明らかに予想が大きく外れていた者の反応だ。
(…ああ、街と村の認識の違いか。)
街初日の記憶がふと呼び起こされ、俺が子供だと考える年頃とマーカスが子供だと考える年頃に、マーカスの方が幾分か早くズレていることに思い至った。
街の子供はマセガキ、これテストにでるぞ。
(って、今はそうじゃないだろう!?)
俺も軽く現実逃避をしていたらしく、自分にツッコミを入れて正気に戻る。
「なあニーニャ。」
俺は確かめなければならなかった。
「何、ご主人。」
これを聞いてしまえば、ニーニャの回答によっては俺は危機に直面することになる。
「…獣人の成人が13ってのは本当か?」
恐る恐るニーニャに訊ねる俺。
「ん、わたしのトコはそう。」
そしてニーニャは事もなげに頷いた。
[ラスト は SAN値チェック に 失敗した!]
(合法少女っ!止めてくれっ!
俺が社会的に死んでしまうぅ~っ!!)
獣耳美少女・好感度良好・言いなり・成人間近で法的拘束無し。
これだけの好条件が揃っていてDTの俺が堪えられるだろうか?
いや堪えねばならない。
今のニーニャに手を出した時点で、この街に俺の居場所はなくなってしまう。
それだけは絶対に避けたいことなのだ!
だから、保ってくれよ俺の理性…!
─ そして時は現在へ戻る ─
結局三人で大銀貨1枚分近くの料理を平らげ(内半分はニーニャの分だった)、苦しい腹を抱えて〈寝るだけの宿〉へと戻ってきた。
「トリ婆さんいるかい!?」
俺は無人の宿の受付の奥に呼び掛けた。
「姐さん、または女将と呼べと言ってるだろう木偶の坊!?」
俺の呼び掛けに大声で返しながら、〈寝るだけの宿〉二代目女将…ベアトリス婆さんが出てくる。(略称がトリなのはお察しで)
「スマンがもう一人泊まれるか?」
いつものやり取りのためスルーし、用件を言う。
「部屋なら空いて…って、ウチは連れ込み宿じゃないよ!」
「そんなんじゃないって!」
ニーニャを見て誤解するトリ婆さんに、俺は即座に否定する。
「つかこの宿の部屋そんな広く無いだろ!?」
一人用のベッドが2つ入るかも怪しい狭い部屋でナニが出来るものかっ!?
「文句があるなら他所行きな!
寝るだけの宿に一ヶ月も入り浸る貧乏人が!」
売り言葉に買い言葉、俺とトリ婆さんの言い合いはいつも以上に白熱してしまう。
「わたし、ご主人、一緒の部屋。
…良い?」
「「ひょえっ!?」」
何故か尻尾の毛を逆立て、瞳孔を細くしたニーニャが有無を言わせない迫力で言う。
えっ?ニーニャ…さん。何で怒ってらっしゃる?
「分かったよ、部屋は同じでも一人1,000ゴールドさね。」
流石は年の功と言ったところか。
顔を引き吊らせながらもトリ婆さんは案内を行う。
「ご主人、払って?」
言葉だけ聞くと語尾にハートマークの付きそうな甘えた声だが、それを言うニーニャの様子が恐ろし過ぎた。
結局俺とトリ婆さんの口喧嘩は、乱入したニーニャの独り勝ちという結果で有耶無耶となったのであった。
ニーニャって借金奴隷のままでも問題なかったのでは?
言葉「ご主人」意味(おい、下僕)
お猫様ですね。
あ、昼にもう一話上がります。
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