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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
6章  初心忘れること無かれ

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225 ※適切にご用法下さい

休みなのに執筆が捗らぬ…。

 ボスが告げた畑の異常の原因。

 俺はそれに納得すると同時に、強烈な違和感も同時に抱いた。


 そもそも猫人族の村は山合にあり、川沿いなどを除くとその土の大部分は腐葉土だ。

 ただ耕して種を蒔くだけでもそれなりの実りがあるにも関わらず、農耕の知識に乏しいこの村の村人達が「追肥」を行うというのは不自然ではないか?


 まぁ…いくら知識が無いと言っても十数年と農耕をしていれば、それまでの経験等から思いつくこもあるだろう。

 だとしても、いくら村の食糧事情を支えるには足りない広さとはいえ、村中の肥をかき集めてこの畑に撒いたところで土が腐るかと言うと…答えは否だ。


「─てことなんだが…、その肥料ってのは何だ?」


 親父に「そういうもの」として教わったことの説明を終えた俺は、俺の話を聞いて唖然としているボスに出所を訊ねる。


「………、買ったんだ。」


「買った?」


 ボスの答えに意外に思った俺だったが、無いところに有るところから持ってくるというのは当たり前の話である…と納得する。


 畑の土が腐ってしまった直線的な原因は、購入した肥料による「過剰な追肥」であることは判明した。

 〈拡張袋〉を見た際のボスの反応で、猫人族の村に出入りしている行商がいることも分かっている。


(しかし「肥料を買った」、ねぇ…。)


 原因が判明して、その出所もはっきりとしている。

 カティアの依頼としてはこれで完了なのであるが、俺は「何故、肥料を買って使用するに到ったのか?」ということが気になった。


「で、でも…最初は上手くいってたんだ!」


 俺が訝しげにしていることを、咎められるとでも思ったのだろうか?

 親に悪戯が見つかってしまった子供が言い訳をするような、焦った様子でボスは“こうなるまで”を話し始めた。


 …………………。

 …………。

 …。


 事の始まりは、ボスが父親から長の仕事を引き継ぎ始めた頃。


 森を切り開き1から猫人族の村を作った父親は、村人達がそう思うようにボスに取っても誇りであった。

 …しかし父親に代わり長の仕事をするようになると、父親(先代)の偉大な功績はボス(次代)に取って重荷に感じるようになっていった。


 だがボスには幸運なことに、拓かれて十年も経ていない村には重大な改善点がいくつも存在していた。

 一つ一つは村を拓いた父親の功績に及ばずとも、その分数をこなせば父親に並び立てる。


 そう考えたボスであったが選択肢がいくつもあるが故に、何から手を着けていくべきか悩んだ。

 …そもそも、そう簡単にどうにか出来る問題であれば父親が既にどうにかしている筈。


 そんな悩みを村に出入りする行商人と話す中でふと溢したところ、その次の商いで行商人が持ち込んだのが例の肥料だと言う。

 

 〈王立研究院印の錬成肥料〉。

 「一袋使えば収穫が倍になる」という触れ込みで行商人がボスに提供したそれは、触れ込みに違わず砂漠で農耕を可能にするほどの効果があった。

 …しかし効果の高さに添うように高価であることに加え元々土地が豊かなこともあり、〈フラワーフィールズ王国〉内では、ファムさんのように大農場を持つ豪農が補助的に使用するくらいにしか広まらなかったという…。


 当然そんな高級品であることを知らないボスは「せっかく提供されたのだから…」とタダで受け取った〈王立研究院印の錬成肥料〉を、当時は今より遥かに広かった畑の一角に使用。

 すると当然ながら、肥料を使った一角は大豊作になったわけで…。


 次の年は畑全面に肥料を使用し、冬の備蓄や税の分を除いても売りに出せるほどに収穫があったそうだ。

 この時に作物を売った金で村の生活をかなり良く出来たらしく、ボスは父親から無事長の立場を引き継ぐことができたそうだ。


 そして次の年は前年の思わぬ豊作で狩りの人手が取られたことの反省から、作付けをする畑を半分にした代わりに肥料を集中させたらしい。

 …この時点で肥料の使用量は前年の倍となっているわけだが、ボスの話を聞く俺にはもう嫌な予感しかしない。


 案の定その年の収穫は、ボスの予想を裏切り前年を下回る。

 俺としてはよくぞ前の年並みに収穫出来たものだと思うのだが、それは俺が農耕についてある程度知っているから言えることだ。

 …そして肥料の導入で長としての自信を着けたボスは、まさかの収穫減少という結果に焦った。


 焦ったボスは翌年、前年の倍の量の肥料を行商人から仕入れ、その全てを最初の半分となった畑に使用。

 思い返せばこの時には既に異臭がしていたそうだが、ボス達はこれを肥料の匂いと混同してしまったようだ。

 当然ながらその年の収穫は激減。

 

 それから翌年翌々年と収穫量を取り戻すために、それまでに得た金を更に大量の肥料を仕入れるために費やしたそうだ。

 しかし肥料を費やすだけ収穫は減り、減った収穫を賄うために狩りや採取に人手を割く。

 そして狩りや採取に人手を割いた分だけ作付けをする畑が減り、残った畑に肥料が集中し…と見事なまでの悪循環だ。


 このあたりから独り身の若者を、口減らしを兼ねて積極的に街へ出稼ぎに出すようになったようだ。

 …それはさておき。

 ここ2~3年の話になると、元の1割ほどにまで小さくなった畑からの収穫は無いに等しく、それまで肥料を買うために売っていた狩りで得た毛皮等の素材も底をつく。


 そして昨年には遂に芽すら出なくなり、行商人の申し出に乗ってニーニャを身売りするに到ったそうだ。


 …………………。

 …………。

 …。

 

「………。」


 手本のような転落話に、開いた口が塞がらない俺。

 賭けや女で身を持ち崩す話は数多あれど、まさか高級肥料で同じようになっているとは思わないだろう。


 確かに利用方法を教えず、求められるがままに肥料を売った行商人もどうかとは思う。

 しかしこの話で誰が悪いかと言われたら、やはりボスの責任だろう。

 …しかも他の転落話と異なり、この話で割を食ったのは本人以外(ニーニャ)というのも質が悪い。


(「タダ程高いものは無い」と言うやつもいるが…。)


 今回はまさにそうだろう。

 

 ボスには是非とも今回のことを教訓に、次期長(チャトラン)の教育を“しっかりと”して欲しいものだ。



 

ある意味薬物濫用?


『薬物濫用、ダメ!絶対☆』

とあるハンター「裏切りヌルヌル!」

          


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