表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
1章  冒険者ラストの初心者生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/218

21 ニーニャの処遇

ほぼ説明回


前回の後書きにてネタバレをしてしまったことを深くお詫び申し上げます。

(さて、どうしたものか…。)


 セリアンの少女ニーニャを無事保護し、街道をベビーリーフタウンへ向かう道すがら、俺はとあることを悩んでいた。


(どう見ても奴隷なんだよなぁ…。)


 白く華奢なニーニャの首に、その存在を主張する黒鉄の首輪。

 うっすらと魔方陣が見られるそれは、明らかにアクセサリーなどではなく、奴隷に制約を課す首枷だった。


(犯罪奴隷…なわけはないから、借金奴隷か。)


 犯罪奴隷とはそのまま、犯罪を犯した者が刑罰として落とされた奴隷で、鉱山労働や戦奴などの危険な仕事を強制される。

 対する借金奴隷は、払えなかった借金分を労働で返すことになった者で、基本的人権(古の勇者のもたらした概念)が守られ、違約金を含めた借金額を返済したら解放される。

 基本的に借金奴隷は借金をした本人しかなることが出来ないが、抜け道として給金を前払いしてからの奉公として、便宜的な借金奴隷にするという方法もある。

 身売りのようだが、干魃や虫害などで食うに困った農村などでは、この抜け道が奴隷に落ちる者とその家族双方が助かる道となるのだ。

 大方ニーニャもそのクチなのだろう。


(厄介事の匂いがプンプンするな。)


 借金奴隷は基本的人権…つまり生命や健康が保証されなければならない。

 しかしニーニャは、荷馬車がオークに襲われた際に囮にされたわけで…。

 それもニーニャが、オークに襲われた混乱に乗じて脱走したと主張されてしまえば、御者の言い分が信じられるだろう。(奴隷となった時点で信用は最低となる)


(だからってここでバイバイはニーニャが脱走奴隷になってしまうし…。)


 そうなるとニーニャは詐欺罪で犯罪奴隷にまで落ちてしまう。

 それを避けるには(第三の関係者)が事情を説明する必要がある。

 こういった奴隷の使役者と奴隷のトラブルでは、第三の関係者>使役者>奴隷の順で証言が優先される。

 つまり俺がニーニャの今後を左右する立場にあるのだ。


(子供を犯罪奴隷になんか出来るわけないだろう…。)


 その選択を兄に対しても取れなかったからこそ、俺は街で冒険者をやっているのだ。

 そうこう考えている内に、ベビーリーフタウンへ入門する人々の列が見えてきた。


「ニーニャ、おそらく俺たちは詰所に連れて行かれる。」


「ラスト、何か悪いことした?」


 ニーニャが怯えないよう事前に忠告したら、何故か俺が犯罪者とニーニャに勘違いされた。


「いや、俺は善良な市民だ。」


「何だぁラスト、遂に誘拐に手を染めたか?」


 ニーニャの勘違いを正す説明をしようとして、今一番会いたくない憲兵に当たってしまった。


「また憲兵長にシバかれたいようだな、ジョン。」


 初めて街に来た時に悪戯されてから、度々俺を標的にする、気さくな憲兵ことジョン。

 この前はウルフの毛皮を剥いで持って来たら、「山賊が来た!」などと騒ぎ、飛んで来た羽根飾りの憲兵こと憲兵長(名前はまだ知らない)に鉄拳制裁されていた。


「いや、今回だけは半分本気だ。

 明らかに娘とかじゃないだろ?」


 確かに俺は15になったばかりで、ニーニャは見たところ10、11才といった外見だ。

 俺の娘だとしたら、俺は最低でも4才(幼児)の内に父親になったということだ。


「精通どころか自我が芽生えたばかりだよっ!?」


 俺の反応(ツッコミ)を面白がっているのはわかってはいるが、ジョンのボケはツッコまないと尤もらしく事実にされてしまうのだ。


(それに半分本気って、結局冗談じゃねぇかっ!?)


「???」


 俺とジョンのやり取りに、両者の顔の間で視線を行き来させるニーニャ。

 その様子に俺は密かに和むが、俺とジョンのコント(古の勇者以下略)に終わりを告げる者が現れる。


「ジョ~ン~…、ま た キ サ マ か。」


 お察しの通り憲兵長(鉄拳制裁魔神)である




 ──────────────────────


 ピン ポン パン ポ~ン♪


「おるぅあ!」


ドガゴンッ!!


〔只今映像が乱れております。暫くお待ち下さい。〕


「ミギャ~~ッ!!」


 ──────────────────────




 ということで詰所内に移動しての、ニーニャの保護の経緯の説明だ。

 ジョン?…あいつは良い奴だったよ。

 それよりもニーニャの件が重要だ。


 ──────────────────────


 カクカク シカジカ 四角い ○○○♪


 ──────────────────────


 オークに荷馬車が襲われたのを目撃してからの流れを一通り話し終わった。


「なるほど…、だからアーコギの奴ら妙に慌てていたわけだ。」


「アーコギ?」


 ニーニャの件には関係のなさそうな名称に、俺は一人納得したようにする憲兵長に聞き返す。


「ああ、済まん。

 アーコギってのはチョイと評判の良くない商会でな。」


 憲兵長曰く、アーコギ商会というのは「安く買い、高く売る」という商人の基本を、些か過剰に行っており、売り物の質は良いには良いのだが見た目から金持ちしか真っ当な客として扱わないという。


「そんな商会、すぐに潰れるだろう?」


「それが何故かそうでもないんだ。」


 当然そう思う人は多く、一度はアーコギ商会に任意の調査が行われたらしい。

 要請した当初は店の風評を理由に渋っていた商会だが、ある日突然の要請受諾。

 行われた調査では、いくつかの貴族家と特別な品(これは店の秘匿とされた)の取引が、アーコギ商会の主な利益となっていたらしい。

 因みにこの話はかなり広まっていて、もはや機密でもなんでもなくなっているらしい。

 「何処から漏れたんだかねぇ…。」とは、機密漏洩の調査を行った監査官の(げん)だと憲兵長は言った。


奉公人(借金奴隷)の斡旋…、それがアーコギ商会の秘匿ってやつなのかもな。」


 借金奴隷は借金を返済したら解放しなければならないが、保証する義務の衣食住(賃金から差し引き可能)を意図的に好条件にすることで、支払われる賃金と同額にして一生解放しないということも出来てしまう。(古の以下略曰く「リボ払いかよっ!?」とのこと)

 アーコギ商会はそういった実質タダで使える人材を、いくつかの貴族家に高値で斡旋(売って)しているのではないか?というのが憲兵長の推測だ。

 人を人とも思わない所業だ。


(だからニーニャを魔物の囮にすることが出来たのか?)


 元々秘匿された商品だ。

 他の荷と命と比べたら切り捨てるのもやむ無しという考えなのだろう。


「そうなると少々不味いかも知れんな。」


 憲兵長がニーニャと俺を見て、難しい顔をして言った。

 なんでも借金奴隷を意図的に危険に曝す行為は重罪で、(証言者)ニーニャ(被害者&証拠)が揃っている以上、有罪は確定も同然とのこと。


「真っ先に憲兵に伝えたのは良い判断だったな!」


 判断もなにもジョンのせいで詰所に連れ込まれたようなものだが…。

 理由はさておき、これで俺かニーニャに万が一があった場合、アーコギ商会が真っ先に疑われるということらしい。


「万が一が起こる前にどうにかしてくれよ…。」


「ははっ、それは無理な相談だ。」


 貴族家との繋がりがある相手である以上、一市民の命を守るために先立って動くことは、憲兵といえどもリスクが高いと、憲兵長は申し訳なさそうに俺に説明してのだった。


(はっ、世知辛いもんだぜ…。)

 

深夜テンションって恐ろしい。


(年始の連投をどうするか悩み中です。)



いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆、いいね等、執筆の励みになります。

「面白かった」「続きが気になる」という方は是非、評価の方よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ