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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
5章  忍び寄る戦争の影

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189 我々は帰って来たー!

祝、新章開幕!!

開幕記念 & 総合17,500pt到達記念の繰り上げ投稿

ブクマ & ☆評価、ありがとうございます!

 新しい一年を迎えてから数日後。

 ダンジョンでの修行の遠征を一端切り上げることにした俺たちは、俺たちの(拠点)がある〈ベビーリーフタウン〉へと向かっていた。


「ううっ…、流石に冬の野営はキツいわね…。」


 寒さに身体を振るわせながらそう言うマリ姉だが、ならせめてマントをしっかりと閉じれば良いと思うのは野暮なのか?

 1日目の野営の際に厚着をするよう言ったのだが、魔素(マナ)の繊細な操作やら吸収効率やらと魔法使いにしか分からない話で煙に巻かれた。


(「勇者」一行の魔法使いはローブを被っていたんだがなぁ…。)


 もしやあのローブの下はマリ姉のような格好なのだろうか…と想像するが、そんなことはない筈だ…と頭を振って浮かんだ姿を掻き消した。

 魔法学校で爪弾きにされていたマリ姉が魔法を学んだ師は異端だったらしいので、マリ姉の言ったことが完全に嘘とは言わないが…かなりの割合でその師の趣味だろうと考える。


 ただ…それが正解だとして、ダンジョンで入手した白魔女装備がマリ姉の以前の装備とほぼ色違いなだけという点が謎だ。

 …ひょっとするとそれが魔女の正装という主張が正しいのかも知れない、…が今は廃れたということはそういうことなのだろう。


「…あ、見えた。」


 そんなニーニャの呟きに釣られて顔を上げると、前方に小さく〈ベビーリーフタウン〉の外壁が見えた。

 〈ラビリンス〉を出て、徒歩5日目のことであった。


 … … … … … … …。

 … … … …。

 …。


 それから鐘4つ分((2時間))程も歩けば、もうすぐそこは門だ。


「ようこそ…って、ラストか!?」


「あ、どうもバーンさん。」


 俺たちが入門の手続きをしようとすると、どんな偶然か門番をしていたのは、顔馴染みでありこの街の憲兵隊長であるバーンさんであった。


「久しぶりだな!一丁前の戦士の顔になったな。

 …にしても、こんな時期にどうして?」


 再会を喜びつつも、バーンさんは門番の仕事である来訪理由を訊ねてくる。

 顔馴染みと言えど憲兵を纏める隊長という立場から、こういった規則をなあなあにするわけにはいかないのだろう。


「向こうで一区切りついたんでな。

 …あと、拠点の様子見に…な。」


「…そうか。」


 …それに間に辺境伯領を挟んでいるとはいえクレク連邦と戦争状態の今、野営するのも厳しい冬場に態々遠くからやって来た冒険者を警戒しない理由は無い。

 敵国に雇われた冒険者が起こした内部の混乱により、最終的な勝敗はともかく、敗戦した戦いや陥落した街の話などは枚挙に暇が無い。


 国に縛られることをよしとしない冒険者であるが、こういったことも冒険者の地位の低さの原因の一つであるのかも知れない。


「お前らのことは疑って無いが、ギルドガードを見せてくれ。

 …そっちの新顔のシスターさんも仲間か?」


「はい、アデリナと申します。」


「…これは、丁寧にどうも。」


 俺とのやり取りよりも、やや固いやり取りをするバーンさんとアデリナ。

 憲兵隊長ですら緊張して接するという、冒険者とは真逆の地位の高さ。


 その様を見せつけられた俺は、教会関係者が高慢になるのも致し方の無いことかも知れないのではと思ったのだった。

 …まぁ、〈ラビリンス〉のゼニゲバーノ司祭─ 


 (いや()司祭か…?) 


 ─のように、神に認められた契約を破ろうとして神の意思を騙り、逆に神罰を受けるような者は稀だろうが…。


「ほらよ。」


 アデリナの豊かで柔らかな部分から視線を逸らそうとして失敗しているバーンさんに、ギルドカードを投げつけるように渡す俺。


(アデリナのそこは俺のだっ…!)


 …器が小さい?

 何とでも言え、俺に恥じる気持ちは少ししかない。

 逆に嫁を他の野郎の厭らしい目から守るのは、夫として当然の役目だと思うが?


「おっと!?

 おい、お前の大事なギルドカードだろ?」


 バーンさんは俺のギルドカードを取り落としかけたことを、アデリナの胸部を凝視(※誇張)していたことを棚に上げて、俺を非難することで誤魔化した。

 流石大人、汚い手を使う。


「どれどれ…」


…タタタ


 そんなことは尾首にも出さないバーンさんが、俺のギルドカードを見ようとしているその背後から、一つの人影がこちらに駆け寄って来るのが見えた。


「何っ、C ランクだと!?」


 しかし俺のギルドカードに書かれたランクを見て、驚くバーンさんは気付けない。


タタタッ、ドンッ!

「ぬぉっ!?」

「ラストさんっ!」

ガバッ!

「おわぁっ!?」


 俺の前に立っていたバーンさんを押し退け、俺に襲い掛かって…もといジャンピングハグをかましてきたのは1人の女性。

 

「ラストさんっ、お帰りなさい!」

 

「あ…ああ、ただいま…リタ。」


 その女性とは、冒険者ギルド〈ベビーリーフタウン〉支部の人気新人受付嬢。

 そして…久しぶりに会う、俺の愛しい婚約者の1人であった。


「リタ…お前、…その格好…ぶつか……」

ガクッ…


「門番さん!?」


 自身に轢かれて力尽きるバーンさんにも構わず、俺との再会を喜ぶリタ。

 慌てたアデリナがバーンさんに使った神請魔法が『蘇生』であったが、それがパニックによるアデリナの選択ミスなのか、適切な魔法の行使だったのかは、誰も知らない。




次のヒロイン(嫁)は誰だ!?


多分今章はそこまで長くならない筈…。



いつも読んでいただきありがとうございます。


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