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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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186 報酬早よ!~“めでたし”だけでは終わらない~

時系列的には、12月の半ば(二週目辺り)くらいになりました。


22日分の繰り上げ更新です。




 後に「迷宮都市の〈悪魔〉事変」と言われる、ヒューバート及び〈悪魔〉バトラー討伐から1ヶ月。

 この間は特に何事も無く、ダンジョン探索で腕を鍛え、合間の休息日には寝技()を鍛えた。


 …と言えれば良かったのだが、アデリナが問題無く神請魔法を使えると知ったゼニゲバーノ司祭がアデリナを連れ戻しに来たり、〈光の騎士団〉を支援していたサウリン商会の商会長であるルセウスの強引な引き抜きにあったり、ビルダーさんが26歳も年下の〈ラビリンス支部〉人気No1受付嬢に逆プロポーズされて独身冒険者達の怨嗟の声が溢れたり…とまぁ、忙しい日々を送っていた。


 そしてあっという間に過ぎ去る日々を過ごし、丁度1ヶ月後になる今日。

 俺は〈筋肉同盟〉を始めとした、当時連合を組んだ5パーティーのリーダー達と共に、ギルマスに執務室へと呼び出されていた。


ガチャ

「…良し、揃っているな。」


 入って来た途端に部屋を見回し、呼び出した6人全員が揃っていることを確認して頷くギルマス。

 …若干疲れた様子だったが、その後の処理で色々と苦労したのだろう。


「はぁ…ようやく…、漸く本部に〈悪魔〉の討伐が受理された。

 …これでヒューバート及び〈悪魔〉バトラー討伐の功労パーティーであるお前達とそのメンバーは、全員が晴れて Cランクだ。」


「「「おおっ…!」」」

「やったぜ!」


 ギルマスの言葉に〈標準騎士団〉と外回り組2パーティーのリーダーの3人は感嘆の声を上げ、〈迷宮探索隊〉リーダーに至ってはガッツポーズをしている。

 ビルダーさんは流石で、冷静に受け止めていて、俺は…現実感の薄さに呆然としていた。


「────────、〈──〉。」

「─!」


 冒険者は Dランクで、街で職に就く…いわゆる“市民”と同等に扱われるようになり、 Cランクともなるとそれまでの立場が逆転し市民に敬われるようになる。

 各村は当然のこと、小さな街では諸手を上げて歓迎され、好条件での引き抜きや有力者と縁を繋ぎ、冒険者を引退する者が多くなるランクでもある。


「─、〈──〉。」

「─。」


 冒険者の誰もが実現可能な目標としては、最上のランクが Cランクなのだ。

 正式な冒険者の最低ランクである Fランクから、一年も経たない内に Cランクにまで登り積めるのは、例外を除きそう多くは無い。


「─、〈──〉。

 …、〈──〉──。」


バシッ!

「しっかりしろラスト、呼ばれてんぞ?」


「はっ!え…!?」


 背中を叩かれた衝撃とビルダーさんの声かけで、半分飛んでいた俺の意識がようやく戻る。


「…〈白の大樹〉リーダー、ラスト。」


「あ、…はい。」


 呆れたように俺を呼ぶギルマスの様子から、俺は余程呆けていたのであろうことを察っする。

 そしてチラリと周りを伺えば、ギルマスが差し出しているものと同様の紙を持った各パーティーリーダー達が、俺に生暖かい目で見ていた。


 ギルマスからその紙を受け取り、恥ずかしさを誤魔化すように内容を見る。


 @────────────────────

   依頼内容 (ランク[緊急])

  大量殺人者〈ヒューバート〉の打倒 及び

  〈悪魔〉(個体名:バトラー)の討伐


   依頼報酬

  ・〈ヒューバート〉の打倒 (金貨400枚)

   →参加メンバー1名毎に金貨100枚 


  ・〈悪魔〉の討伐 (金貨400枚)

   →参加メンバー1名毎に金貨100枚


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「うん?」 


 どうやらあの戦いにおける報酬の詳細書らしいが、何やらいつもと書き方が異なっている。


「ああ、〈悪魔〉の討伐報酬がヒューバートの打倒と同額なのは許してくれ。」


 俺が漏らした疑問の声に、渋い顔をしたギルマスが謝罪を口にする。


「いや、それは別に構わないんだが…」


 そもそも野盗の討伐報酬が基本的に1人10万ゴールド(金貨10枚)であることを考えたら、殺人者1人に金貨100枚を参加メンバーで山分けでも破格の報酬なのだ。

 まぁ…状況的にすぐに莫大な懸賞金が懸けられただろうが、スカーとの約束通りに1人につき金貨100枚を用意するとは意外というかなんというか…。

 常識的に考えれば、口約束であることや約束相手のスカーが既に死んでいるので、しれっと適正価格に直されていてもおかしくなかった。


「であれば…、…そうか!

 誠に勝手ながら、報酬は既にギルドの方でそれぞれの口座に振り込ませて貰った。

 …流石に金貨の現物を4800枚も用意するのは難しかったのでな。」


「成る程…。」

 

 言われてみれば、金貨数百枚であれば用意出来なくもないだろうが、数千枚ともなると街中の金貨が無くなってしまいそうだ。

 それに、戦いで滅茶苦茶になった修練場の修理にも金貨は必要だろう。


「というわけで、出来れば…報酬の全額をすぐに引き出すのは止してくれ。」


 と頭を下げるギルマスだけを見ればまるで借金をしているかのようだが、報酬自体は全額支払い済みなので、国を跨ぐギルドの財力の一端を知った俺達であった。


(1人辺り金貨200枚って…、俺たちは合わせて金貨800枚か。)


 アデリナを身請けした際に払った金の、倍額の報酬である。

 まぁ…個人の報酬で考えるとまだ半分の額なのだが…


(う~ん…、金銭感覚が狂ってるな。)


 スタンピードからこの方、商人でもない俺が金貨百枚単位の取り扱いが頻繁すぎだ。

 実家を追い出される際、10万ゴールドで揉めたのが懐かしいとさえ思う。


(だからといって許さんがな。)


 それは、討伐依頼で俺が狩った〈ウリボア〉を奪い取った、あの村の住民も然り。

 銅貨1枚の黒パンを盗んでも憲兵に捕まるのだから、当然だろ?


「ブフッ!?」


 とか思いつつ、貰った紙の続きを何となくで読んでいて、俺は吹き出した。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   その他

  ・素材買取

   ・〈悪魔の角〉×2 (金貨100枚)

   →1つにつき金貨50枚

   ・〈悪魔の羽根〉×2 (金貨50枚)

   →1つにつき金貨25枚


  支払い金額合計

   9,500,000ゴールド (金貨950枚)


  備考:「依頼報酬」は各メンバーのギルド口座へ

     支払い済み


 @────────────────────





「なんか、俺が素材総取りになってる~っ!!」




 思わずそう叫んだ俺は悪くない。


 …しかしこの時ほど、ギルマスの執務室の防音性が高かったことに感謝した時はあるだろうか?




200話前に終われそうで一安心(?)です。



いつも読んでいただきありがとうございます。


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