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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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185 実績解除:悪魔殺し

祝!!初ゴールドトロフィー

目出度いので投稿時間繰り上げです。


ギュルルッ…!


 激しく渦を巻く螺旋の槍が、唸りを上げてバトラーの背中に迫る。

 しかし予想通り、攻撃の気配に気付いたバトラーが後ろを見た。


「なっ!魔槍だと!?」


 自らに飛んで来た槍がただの投擲槍でないことに気付いたバトラー。

 伝説に語られる魔槍が持つとされる『追尾(ホーミング)』や『絶対命中』等の武器付与スキルを警戒してか、バトラーは身体ごと振り返り回避よりも防御を選択した。


「くっ…!其の身を実とし壁を成せ『影の(シャドウ・)─」


 これまでその魔法を発動させたことは、永遠を生きるとされる〈悪魔〉の生でも少ないのだろう。

 態々詠唱してくれたことで準備も間に合い、バトラーの意図やタイミングが非常に図り易かった。


(…今だ!)

「『割り込み(カッティング)』ッ!」


 俺はここ(〈ラビリンス〉)に来る前に覚えアデリアがパーティーに加入以降、自衛手段に乏しいアデリアを護る為に使用していたスキルを発動。

 しかし今回、俺がスキルの対象に選んだのは敵である筈のバトラーであった。


シュンッ…!


 スキルを発動した次の瞬間、俺は背後にバトラーを庇う位置に居た。


「ッ!『転移(テレポート)』だと…!?」


 突然俺の背中が目の前に現れたことに驚き、詠唱が中断されたことで魔法の発動に失敗するバトラー。


ギュルルッ!


「せぇぃやああぁっ!」 

ギャリリッ!!ブチィイッ…!


 俺は裂帛の気合いの声を上げて自分が投げた魔槍を受けるも、高速回転する螺旋の穂先は金属製の盾に食い込む。

 保持補助用の革紐を腕に通していただけの盾は、見事に革紐を引き千切った魔槍に毟り取られた。


 だが盾を失った甲斐はあり、高速回転する魔槍は俺たちを逸れて落下して行く。


「っ!?、???」 

「ッ…、『薙ぎ払い(スマイト)』オォッ!」


 そして俺に庇われバトラーが混乱している内に、魔槍を逸らした反動に乗せて、俺は間髪入れずに自分の槍(〈巨象魔猪の骨槍〉)をバトラーに向かって横薙ぎに振るう。


「ッ!」

ガッ…!メキィ…ッ!


 この不意打ちに反応して見せたバトラーであったが、遅れて気付いた上に片手では、スキル効果の乗った攻撃を完全に防ぐことまでは出来なかった。


グググ…

「おおお…ッ」


(なんてパワーだよ…!)


 折れた左腕で俺の両腕での押し込みに対向し、右腕で脇腹に斬り込んだ穂先が外されてしまった。

 投げ槍からの『割り込み』、そして『薙ぎ払い』による…名付けて“自作自演(マッチポンプ)空中殺法作戦”は失敗した。


 それを覚った俺は、素早く武器を引き─


グッ…!

「逃がさぬぞっ…!」


 しかし俺の槍を確と握ったバトラーに、俺は退避を阻まれる。

 最早、脇腹の切れ込みや折れた左腕を再生する力も無いにも関わらず、俺を睨むバトラーの目の奥には、激しい怒りの炎が渦巻いていた。


 …まぁ逃げるつもりなど、動き出した最初(ハナ)から無いのだが。


ゴソゴソ…

「これ、何だと思う?」


 俺は槍をバトラーに掴まれたままポケットを漁り、1本のポーション瓶をバトラーに見せびらかすように揺らす。


「馬鹿め!〈ポーション〉など効かぬと─」

キュポンッ!バシャッ…


 俺は親指で蓋を弾いて外し、何かを言っているバトラーの全身に薄黄緑色(・・・・)の中身をぶっ掛けた。


シュウウウゥッ!

「グワァアアアアァッ!?」


 直後、身体中から白い煙が上がり、バトラーが絶叫する。


シュウシュウ…!

 

 スライムが体内に取り込んだエサがそうなるように、バトラーの身体の所々が溶けるように消滅していく。


「どうだ!〈エリクサー〉の味は気に入ったか!?」


 しかも人形スライム達の作る〈エリクサー〉の中でも、特に濃い(・・)らしい“エリちゃん特製”だっ!


「お前っ…オマエッ…、オ゛マ゛エ゛ェ゛~ッ!」

フラッ…


 半分以上が溶けてぐしゃぐしゃになった恐ましい顔で怨嗟の声を上げるバトラーだったが、翼のほとんどが溶けて失われたことで落下を始める。


シュル…

「オマ゛エダゲバ、ミ゛ヂズレダアァ~ッ!

 アァ~ハッハッハァ!!」

 

 槍を持つ俺の右手首に伸ばした指を絡ませ、バトラーが哄笑する。


(…大体9~10mくらいか?)


 対する俺は現在の高さを推測し、一度の僅かな羽ばたきで2~3mも上昇することが可能な〈悪魔〉の翼の性能に関心する。

 

 スキルの底上げ有りかつ巧く受け身を取れたならば、この高さから落下しても死ぬことは無い。

 しかし今の状況はスキルの発動はともかく、俺とバトラー…二人分の重さがあり、俺の右手首にバトラーの指が絡み受け身を取れそうに無い。


「そうか…。だがお前は俺が殺す…!」

グググッ…!


 〈巨象魔猪の骨槍〉…その乳白色の穂先を、バトラーの眉間にピタリと合わせる。


「これなら外さないぜ、『猪突ぅ…」


「そのスキルはっ…!?」


 俺が発動しようとしているスキルを察し、驚愕するバトラー。

 まぁ…それはそうだろう、とは思う。


 伝説級の武器の付与されているか、強力な魔物を倒した際に稀に得ることがある…いわゆる“唯一(ユニーク)スキル”と言われるスキル。

 これらのスキルは英雄の必須条件とも言われる程に強力だが、その反面基本的に“連発が難しい”という難点がある。


 バトラーが驚愕したのはヒューバートの中にいた際、俺が既に一度使っていたのを知っていたからだろう。

 まさか俺自身と俺の武器、その両方が同一のユニークスキルを持っているとは思いもしなかっただろう。


 唯一と言われるスキルではあるが、その中で本当に唯一なのはほんの一握りなのだろう。


「ま、待て!?」

「猛進』っ!」

グンッ!


 スキル光に包まれた俺は、バトラーを伴い地面に向かって加速する。 

 端から見たそれはまさに、闇の帳を斬り裂く一条の落星。


「魔王様っ、魔王さまぁ~~ッ!!」


ドオオォンッ!!


 修練場の地面を、最大で3mも抉った落星。

 その時に舞い上がった土埃は修練場の壁を軽く越え、同街内の何処にいても目撃されたらしい。


 そしてその陥没(クレーター)の中心には、槍を地面に突き刺し踞る俺と、〈悪魔〉の遺した素材の幾つかが散らばっていたのだった。

(これで完結で良いのでは?)

後は後日譚と閑話、キャラクター紹介ですかね?



いつも読んでいただきありがとうございます。


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