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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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171 決闘の行方 ※別視点

Tips 無し!

※残酷描写注意!!

─ 半鐘前 ギルド ─


 ラスト達〈白の大樹〉がまだ宿で寛いでいた時間。


 ギルドの修練場には早朝にもかかわらず、普段の利用者の倍は軽く越える人数の冒険者が集まっていた。

 彼らの目的は、昨日突発的に決まったヒューバートととある探索者の男との決闘だ。


「…チッ、遅ぇ…。」


 集まった冒険者達の輪の中で、地面に突き立てた槍に寄り掛かるようして立つ男が、舌打ちをして苛立たし気にボヤく。

 

ザワッ…!


 その時、野次馬に集まった冒険者の輪の外側が騒めき、その騒めきはどんどんと輪の中心に近づく。

 やがて、中心に佇んでいた男の前に、冒険者達の人垣を割りヒューバートが現れる。


「ボソッ(ようやくお出ましか。)

 …よう、よく逃げ出さなかったな…褒めてやろうか?」


 男は待たされ苛ついていたことなど尾首にも出さず、挑発のためかヒューバートに嘲りの言葉を掛ける。

 しかし挑発されたヒューバートは、何処吹く風といった様子で男に言葉を返す。


「逃げる必要なんかないので、褒めて貰わなくても結構ですよ。」


 決闘前であるというのに気負い無く、にこやかな表情できっぱりと断るヒューバート。


「はんっ!…余程酷い目に遇いたいようだなぁ!?」

ズボッ!


 挑発したつもりが遠回しに「お前なんかに負けるわけ無い。」とヒューバート談じられた男は、地面に突き刺していた槍を引き抜き今すぐにでも飛び掛からんと気焔を上げる。

 …ただ、男が引き抜いた槍の捻れた穂先には土が付着していて、微妙に格好がついていなかったのは…この際目を瞑ろう。


「ケツ捲って逃げれば良いのによぉ!

 …外野が止めるのを期待しても無駄だぜ?

 何せ、コイツらはテメェが無様にブッ殺されんのを見に来てんだからなぁ!?」


 ヒューバートの余裕を崩そうと、男は罵詈雑言を吐き威圧する。


「暇人ですか…。

 …まぁ、僕としても一回で済むなら歓迎なんですけど…。」

チラッ


 ヒューバートはそう呟やき、背後に控える〈悪魔〉に視線を送る。


ペコリ…


「…っ、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!

 行くぞっ!」

ダッ!


 男は軽く頭を下げた〈悪魔〉に一瞬気を取られるもヒューバートが構えたのを見て、先手必勝と言うにも些か不意を打って駆け出す。

 男の持つ魔槍の抜身の穂先が、一直線に無手のヒューバートに迫る。


ザッ!


 不意を突かれたヒューバートは、なす術無く捻れた穂先により貫かれる。



 …………………。

 …………。

 …。



 …かに思われていた。


ヒラリ


 自身に迫る槍に対し、ヒューバートは一歩踏み込み身を翻す。


クルリ


 槍を躱した流れに任せ、右腕を引きつつ左回りにその場で一回転。

 再び正面を向いた時には、突撃を仕掛けてきていた男がヒューバートの間合いに入っていた。


ザッ…


 左足を突っ張り、二回目の回転をしようとする身体を留める。

 

「なっ、避け…!?」


 ここでようやく勝利を確信していた男の顔が、驚愕へと変わる…が。


ゴッ!


 再び変わる男の顔。

 男の顔面に、ヒューバートが振り抜いた拳がモロに突き刺さったのだ。


「ぶべらっ…!?」


 予期せぬヒューバートの反撃に、無防備だった男は頭を軸に半回転して倒れる。

 

「全く…、危ないじゃないですか。」

シャリン…


 躾のなっていない子供を嗜めるような口調でそう言いながら、メインウェポンらしき大振りのナイフを抜き放つヒューバート。


「ぐっ、うぅ…。」


 激痛に呻きつつも、何とか起き上がる男。

 しかし脳震盪により、立ち上がることは困難だった。


「…()ほうはん(降参)()…。」

ズリズリ…

 

 一撃で追い込まれた男は戦意を喪失し、降参を口にしながら後ろに下がる。


「うん?…何言ってるか分かりませんねえ。」

スタスタ

 

 しかし惚けたヒューバートはナイフ片手に、顔面が崩壊した男に歩み寄る。


「っ!?ほ、ほうはん!」

ズリズリ…


 男は驚愕に目を見開…けず、歯が折れて悪くなった発音で必死に「降参」と訴える。


スタスタ、ピタッ


「そう言えば…、…殺しても良いんでしたよね?」


 男に追い付いたヒューバートはそう言うと、手にしたナイフをこれ見よがしにゆっくりと振り上げ─


「まっ…!」




 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。

 


十数分後。


「コヒュー…、コヒュー…。」


 ヒューバートの残虐な行為に堪えかねた冒険者に呼ばれギルドマスターが修練場に来た頃には、男は四肢を切り刻まれ樽のように修練場の中心に転がされていた。

 息も絶え絶えな男は、何もしなくとも命が長くないことが明らかだった。


「…ま、これくらいで良しとしますかね。」


 それを行っていたヒューバートは、涼しい顔をしてそう言うと立ち上がる。


「おい、ヒューバート…─」


 あまりの惨状に不干渉の不文律を破り、制止に入ろうとしたギルドマスター。


ドッ!


 しかしギルドマスターが制止の言葉を発する前に、ヒューバートは四肢を失った男を蹴り飛ばした。


ドオオォンッ!!


 冒険者達の人垣を飛び越え、修練場の壁に激突する男。

 特殊な強化が施された壁に、新しく罅が作られた。


「「「「「………。」」」」」


 それを行ったヒューバートの異常さを突き付けられ、ギルドマスターを含めその場にいた全員が沈黙する。

 その場にいる誰一人として、ヒューバートの決闘相手の男の安否を気にする者はいなかった。

 


 



 

ヒュ「今楽にしてあげるね?」

ゲシッ

一同(あ、悪魔や…。)



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 あらまぁ、随分と乱暴になっちゃって…!? これはもしかしてアレですかね?アモ○の意識乗っ取りアタック(?)を逆に乗っ取り返してデビルマ○と化した不○明と違い、ばっちり悪魔たぁんに…
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