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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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164 〈白の大樹〉、帰還

Tips :〈中折れ式多弾種発射筒〉

 通常弾、散弾、徹甲弾、果てには核弾頭弾までも発射可能な、異世界の中折れ式ランチャー。

 筒内に入るものであれば石礫でさえ打ち出せる、非常に汎用性に優れた魔銃の亜種。

 強大な軍事国家である〈インペリアル帝国〉が所蔵する遺物であるが、〈インペリアル帝国〉の技術では弾の製造が不可能なため、その場の石礫を用いた弾切れの無い、皇族が非常時に用いる武器として運用されている。

 しかしこれまでの戦では無数の兵や精強な近衛騎士が突破されるという非常事態は無く、当然ながらキルレートは未だ0のままである。

 鑑定屋と一口に言っても、〈第1層〉のダンジョンマーケットにある鑑定屋は複数存在する。

 今回…この店選びに関しては、いつも頼りにしているマリ姉や、〈ラビリンス〉を拠点としてきたアデリナとビルダーさんも門外漢だった。


 アデリナは探索者パーティーに同行することはあっても、結局のところは部外者になるため鑑定屋にまで同行しないというのは分かる。

 マリ姉も一時期ここで活動していたと言っても、アデリナと似たような理由で鑑定屋には馴染みが無い。


 ではビルダーさんはどうかと言えば、ビルダーさん…というか〈ラビリンス〉を拠点とする探索者のほとんどは素材の売却を主としていて、ビルダーさんのパーティーでは偶に入手出来る遺物はギルド経由でオークションに出すのが常だったらしい。


 というのもダンジョンマーケットの鑑定屋の中には、『鑑定』スキルを持たずに適当なことを言って遺物を買い叩く詐欺紛いの鑑定屋も多いらしく、であれば「多少の手数料を取られても相場以上の値が付くことが多いオークションに流す」というのも賢い選択だろう。

 まともな鑑定屋で鑑定して貰えたところで、探索者に遺物を価値以上に売れる伝手は中々無いのだ。


 俺たちが今回鑑定屋を探す目的は「装備として使えるかどうか」なので、仮に売ることになっても鑑定額より多少安くなっても構わなかったりする。

 遺物での一攫千金を狙うトレジャーハンターには悪いが、俺たちには遺物を簡単に入手出来る伝手があるからこその余裕だな。


 そして見つけた、マーケットで一番の店構えをしている鑑定屋。

 一先ず試しに…と、〈魔力刃の円筒〉を『鑑定』して貰う。


 攻撃用の魔道具…魔導武器は、いわゆる欠陥品であっても100万ゴールドは下らなかった。

 だとすれば遺物、しかもマリ姉曰く難易度の高い魔法を使えるようになる魔導武器はどれ程の価値があるのか?


「………、ゴミですな。」


 しかし俺の予想に反し、単眼鏡(モノクル)をかけそれっぽい格好をした鑑定屋は、〈魔力刃の円筒〉を一通り眺め「価値無し」と断じた。


「…何故か聞いても?」


 と、驚愕を飲み込んで訊ねた俺に、鑑定屋は面倒臭そうな顔をして話し始める。


「これは何かの部品らしい。

 …確かにこれだけにも何かしら機能はあるようだが。

 だからといってお前らが要らなくて売る物を、誰かが買うと思ってるのか?」


 ………つまり機能は他所にして、買う奴がいないから価値が無い、ということか?

 もしそういうことならば、とんだ暴論である。


 この鑑定屋の言い分からすると、今この店に置いてある遺物は、売れるその時まで全て無価値であることになる。

 そのことをこの鑑定屋は気付いているのだろうか?


(気付いて無いんだろうな…。)


 店構えは立派で人の出入りもあったことから悪徳商では無かったのであろうが、逆に言えばこの〈魔力刃の円筒〉は容易に道を外させる程の価値があるということだろう。


「そうか、なら引き取るとしよう。」


 俺は置かれた〈魔力刃の円筒〉を、残念そうな顔をしながら回収する。


「あっ!ちょ─」


 俺がこうもすんなり取り下げるとは思っていなかったのだろう。

 俺が〈魔力刃の円筒〉を売らないとみると、途端に慌て出す鑑定屋。


「ゴミを売り付けようとして悪かったな。

 ほら、鑑定代だ。」


ポイッ


 そんな鑑定屋に構わず、俺はつい先ほど得た金貨1枚を鑑定屋に投げ渡す。


「待てっ…いや、待ってくれ!

 10…いや、20万でどうだ!」


 「どうだ」もこうも…、アホか。


「行くぞ、皆。」


 必死に引き留めようとする鑑定屋を無視し、二度とこの店には来ないと心に決め、俺たちは鑑定屋を後にしたのだった。


 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。


 ダンジョンマーケットで一番デカい店が詐欺紛いのことをしてきたことで、俺たちはダンジョンマーケットの鑑定屋に見切りを付けた俺たち。


 ふと、〈ラビリンス〉に来てから贔屓にしているヘリーさんならどうだろうかという考えが浮かぶ。

 そのことを皆に伝えると、ヘリーさんなら信頼できるという意見が一致した。


 またビルダーさんが生存報告をしたいということで、俺たちもついでに帰還報告をしようということで、ダンジョンを後にする。


(〈ラビリンス〉よ、俺たちは帰って来た~っ!)


 安全圏であるダンジョンマーケット内で2つものトラブルに遭遇したからか、安全圏と言ってもダンジョン〈第1層〉だからか。

 地上に出た時の解放感が尋常ではなく、爽快感に思わず叫びそうになった俺であった。

 

話の区切りで短め。

Tips は悪ノリの産物です。



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